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雪女と少年  作者: 干からびた芋
115/163

ササメside

ササメ「ねぇ、ユウリ!私、人の街の中で初めて、同族にあったかも!」

ユウリ「あ~、他の街とかじゃ、入れないからね。使い魔じゃないと。」

ササメ「こんな街が沢山あったらいいのにな。皆仲良く暮らすの!」

ユウリ「あ~、大抵の人って怖がりだから無理かなぁ…いつでも、自分たちが殺されるかもしれない力を持ってて、なおかつ自分たちに理解出来ない何かがあると怖がるし、疑うから。」

ササメ「そう、残念…。」

ユウリ「あ~、…でも、仲いい人が沢山出来ると問題なくなるけどね。だから、小さい町とか村の方が実現しやすいかも。」

ササメ「うん、そうだね。まずは小さな事からコツコツと!」

ユウリ「…いやぁ、元気になったのはいいけど…。」

ほら、子供は現実が見えてないから!(笑)

ユウリ「まあ、そうなれば確かにいい事だし、難しいけど、願わないと実現しないよ。」

おや、意外とロマンティストですな。

へっ!どうせ私めは捻くれた大人ですよーだ!

ユウリ「いや、それいうなら、捻くれた子供じゃね~の。」(笑)

フンだ!ユウリのイーだ!



ディアスさんに会えた。無事に出られたことも伝えて。それから、ディアスさんは、てきぱきと冒険者さん達の組み分けとすべき事を伝えると、ユウリを

連れて行ってしまった。

私は、他の人型魔物達と同じ所にいる。

角がはえてるから多分、鬼族?耳の尖た金髪白肌のキレーなエルフ?大きいし、羽もないから多分。えっと、す、スライム?さっき腕が伸びたし透明だった…。

そうして、キョロキョロしていた。他の人たち?は最初にこっちをチラッと見て視線を外して、くつろいでいる。

連れてこられたのは、酒場っぽい。ディアスさんに、「悪いけど、しばらくここにいてくれ」って。

皆、聖印のブレスレットを嵌めている。

同族も数人、龍もいた。とりあえず、空いている席を見つけて座って、集落にいた頃に聞いたお酒の名前を思い出して頼んだ。

情報収集の時にこのお酒を頼むといいらしい。正直、お酒の名前なんて知らないし、情報も欲しかったしちょうどいいだろう。

ササメ「雪酒。ごく薄めで。」

お酒なんて飲んだことないし、酔っても困る。だから、そう頼んだ。

同族の人たちが集まって来た。

ボーイッシュな方の雪女の人が

「マジでこんなガキが?…雪女の集落どこまで腐ってやがるんだよ…。」

淑やかそうな方の雪女の人が、口に一本指をあて、

「しっ。まずは事情を聴いてから、ね。」

そう言って微笑む。

私は、軽く防音結界を張ってから、

ササメ「ええっと、初めまして。集落と牢屋以外で初めて同族に会いました。ササメと申します。」

外套を外して自己紹介をした。

彼女達は、情報収集員らしい。

店員の人が机にお酒を置いて離れていく。

ボーイッシュな方が雪緒(ゆきおさん、お淑やかそうな人が紗雪(さゆき)さん、というらしい。

ユキオさんは、私の手を掴むと、魔力を流しこんできた。すると、鈍く頭痛がすると共に、色んな場面が切り替わり頭に流れ込んでくる。

サユキさんがユキオさんに怒っている。

サユキ「まだ、何も聴いてないのに、情報を流すなんて。それに、情報収集員かどうかも判ってないのに。」

ユキオ「あ?そんなん、''雪酒''を''ごく薄め''で頼んでんだ間違えようねぇだろ?雪酒みたいに酒精が低くて少ししか甘くねえ酒をわざわざ薄めて頼むバカいねぇからな。しかも、雪女は酒なんて飲まねぇからな。」

サユキ「まぁ、確かに飲めないけれど。」

情報を整理しながら、その言葉に反応する。

ササメ「?どうして、雪女は酒を飲めないの?」

ユキオ「はあ?お前バカ?毒だからに決まってんだろ。体ん中から融けてくぞ?」

ササメは飲まなくて良かったと安堵しながら、すっとコップを遠ざける。

ユキオさんは呆れている。し、サユキさんは、ほれ見たことか、とユキオさんを睨む。

入ってきた情報は、他の雪女の集落の場所、人の魔導技術発達に伴う雪女の入れない街や、村、集落に新たに合流した人たちの顔や名前、捕まった雪女の顔と名前、国の情勢の大まかなところ、それから、隣国の魔物の暴走について。

私も、情報を渡すべきだと判断して、さっきのユキオさんが流してくれた魔力をトレースし、牢屋で見た雪女達の顔と、親切にしてくれたユキハさんの情報。それから、元集落の長の顔や場所と、集落に合流しているセツカおねぇちゃんの事。ユウリと行った街や町で見た魔導技術など、渡すべき情報を整理してユキオさんに流し込む。

私は、初めての事だから、うまくできているだろうか?心配になりながら。

ササメ「あの、私は情報収集員ではないし、集落の皆に伝えることは出来ないですけど、私も知ってる情報を渡します。」

そう言って。

ユキオさんは、少し顔を顰めながらも、

ユキオ「初めてにしちゃ、上手いほうじゃね?まぁ、余計なもんも、結構入ってきたけどな。切り離しが上手く出来ねえで、それに付随する記憶も結構入ってきてるぞ?」

サユキ「なんだ、これだけ魔力を扱えるなら、成人はしてるのね。」

サユキさんは、ホッとした顔でササメの頭を撫でる。

ユキオ「いや、そいつ、集落を飛び出した変わりもんのガキだぞ?確かに、精密操作出来てるから、ビックリだけど、牢屋で必死に覚えてんだから、上手くなるだろ。」

ササメ「あれ?そ、そんな記憶まで入ってました?」

恥ずかしくなった。ユキオさんはニンマリ笑って、

ユキオ「いんや、けど、この情報から想像ついちまうよ。ましてや、こんだけ牢屋の情報が入ってきてるし、集落の奴らと別れた記憶も入ってるしな。」

ユキオさんはそう言って、サユキさんにも情報を流し込んでいる。

ユキオさんは、防音結界いらねーよって言うから、サッと結界を解く。

それから、気になっていたことを聞く。

ササメ「あの、魔物の暴走って、どういう事なんですか?私よく知らなくて…。」

ユキオ「ああ、なんか、魔物がいっぱい集まると、魔力が変質して、狂うんだとさ。」

ササメ「えっ!じゃあ、この状態はあまり良くないんじゃ?」

サユキ「クスクス。大丈夫よ。同族同士、相当集まらないとならないらしいから。」

ササメ「ふーん、じゃあ、隣国の方が魔物に優しい国なのかな?」

私が疑問に思って言うと、ユキオが吹き出した。

近くに居る魔物も何人かは咳き込んで居る。

ユキオ「っバカか?あのな、有益な物に貪欲な人間が居るのに、どの国だって住みにくいさ。増えんのは、害虫以下のゴブリンとか、被害が無ければほっておかれるタイプの魔物さ。」

ササメ「ああ!じゃあ、今回の魔物の暴走は、すぐに制圧されるわね。」

ホッとして笑顔になる。ユウリが心配だったし。ゴブリンなら群れてても負けないでしょう。

だってディアスさんも居るし。ほかの冒険者さんも、問題なさそう。ましてや、強い魔物が、ここにこれだけいるのだから。

サユキ「言いづらいけど、そういうわけではないわ。何しろ、暴走は伝染してしまうから、早めに対処しないと色んな魔物達が暴走に加わっていってしまうから…。」

もう、魔物の暴走が起きてから、かなり時間が経っているのだと、教えられた。










ササメ「ねぇ!雪女ってお酒飲めないの?」

一応、この小説の中では、そうしておりますなぁ。他はどうか知らん。(笑)

ユウリ「うん、本に載ってたよ。俺は知ってたけど、ササメちゃん…まさか知らなかった?!」

ササメ「ううっ!だって、飲む機会なんてなかったし!」

ユウリ「いや、前も思ったけど、自分の弱点ぐらい把握しとこうね!」

おお!満面の笑顔なのに、怒ってます。器用だ。

ササメ「うっ!…ごめんなさい…。」

ユウリ「はい、顔を逸らさない。だいたいさ、この間の潮水は仕方ないとして、お酒は本に載ってるし、有名だよ?………だから………だし…」

ふう!長い説教は聞いてられません(笑)。バイバイ!

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