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雪女と少年  作者: 干からびた芋
112/163

ササメside

メリークリスマス!

ササメ「メリークリスマス、解説さん。」

あれ、何してんの?サンタコスチュームの赤いワンピースに帽子被って。…手に持ってるのはプレゼント?くれるの?

ササメ「あわ、あの、違う!ゴメン。解説さんにはないの。」

ああ、ダヨネ。ユウリにダヨネ。

ササメ「あの、これ、少し味見してくれる?あ余った分なの。」

おお、クッキー!チョコクッキーですな!!パクっ……………………………………。

ササメ「…はぅ!これは、ダメだ。今のうちに処分しておこう………。普通のクッキーのつもりだったんだけど…。」

ユウリ「おはよう。うわ、解説、白く燃え尽きて灰になってる。ササメ?その格好どうしたの?」

ササメ「はわ!な、な、なんでもないの!」

ユウリ「ん?う後ろに持ってるの何?」

ササメ「な、何もないわ!ああっ!」

ユウリ「クッキー、作ってくれたんだ。」

ササメ「いや、違うの。これは、あのダメー!!!」

ユウリは、石化した。そして、しばらくして、ぎこちない笑顔で、美味しいと言った。そこで燃え尽きたのだ。

奴はある意味では勇者であった。

サラバ!ユウリよ!風と共に世界をまわるのだ。

ササメ「うっ。もぅ、料理は封印しよう。うっ。」 (泣)

こうして、世界に平和が訪れたのだった。テッテレー!!!

自分が情けなかった。

また、ユウリに心配させた。

ベッドに寝ころびながら、町に入るときに着けさせられたブレスレットを見る。魔核に直接作用し、能力を強制的に半減させる物だろう。

私の魔核が壊れかけでなければ、問題はなかったのだろうな。多分、脚から力が抜けたかもしれないけど、意識が一瞬飛ぶ事はなかったと思う。

門番にも、迷惑をかけてしまった。

でも、ユウリが私の為に怒ってくれた事も、恥ずかしかったけど町中でお姫様抱っこで大事に運んでくれた事も、嬉しかった。

それに、さっきのキス…。

思い出して、身体が熱くなる。頭の中がクラクラした。ユウリの流し込んでくれた魔力の感覚がまだ残っている。

ユウリが、私の事だけを考えてくれている。その事が、ユウリに対する申し訳なさと、相反する嬉しさとを心に湧かせている。

自分勝手な気持ちをどうしようもなく抱えながら、少しずつ沈んでいく意識に身を任せたのだった。


部屋に(ユウリ)が入る気配を頭の隅でボンヤリと感じる。

頬に手が添えられ、優しく撫ぜられる。キスをされ、魔力を補充される。リップ音と少し声が、私の方から漏れた。うっすらと目を開けると、ユウリが心配そうに、でも、優しく見守ってくれている。

頬が思わず緩んでしまう。きっと、だらしない顔を私はユウリに晒して居るのだろう。

ササメ「ユウリ、心配かけてごめんね。でも、こんな時に、不謹慎なんだけど、ユウリが、私の事だけ考えてくれているのがすごく嬉しい。」

ユウリ「…馬鹿だなぁ。いつも、ササメの事は大事に思ってるさ。」

顔を真っ赤にさせながらプイと向こうを向くユウリ。その行動が、可愛くて、愛おしくて、思わず笑ってしまった。

ユウリはますます、耳を赤くさせてたけど。

ユウリの手の平に出来ている傷を治しながら、ごめんねって呟く。ユウリは、私の事で自分を責めているのだろう。その事が心苦しかった。

ユウリ「謝るのは、こっちのほうだ。」

ユウリはギルドで知った様々な事を話していく。

強制参加で''魔物の相変異による暴走''に対応しないといけないかもしれない事。その為に、大きな街に移動しなければいけない事。聖印のブレスレットは、この警戒体制が解けない限りは外せない事。誓約書を書けば、ブレスレットの効果を緩めてもらえる事。

その上で、ユウリは、「今のササメに誓約書を書かせることも、戦わせる事もさせないから。」そう言った。

私は、首を横に振り、ユウリをまっすぐに見る。

ササメ「ユウリは、対処しなくちゃいけなくなったら、戦いに行くのでしょう?私は、ユウリが危ないかもしれない時に、安全圏に居たくない。…それに、足手まといにもなりたくない。」

ユウリ「今のササメに誓約書は、俺がさせたくないんだ!」

ササメ「どちらにしても、私はユウリについていく。例え、反対されても。」

ユウリ「俺が安心できないんだ!だから此処に居てくれ。」

ササメ「ユウリ、だったら命令すればいい。私はユウリには逆らえないから。」

ユウリ「そんなこと出来るわけないだろ!!」

私は、ユウリに悲しい顔をさせたい訳でも、苦しませたい訳でもない。

ユウリが悲痛な顔で、私を心配して、此処に居るよう懇願している。それに、反対するのは心苦しい。

でも、魔物の相変異による暴走がどの規模なのか、また、主に居る魔物の種類も判っていない。しかも、隣国の防衛都市を壊滅させた事が判っている。

そんな危険な所にユウリを行かせたくない。ユウリが行くのなら、私も一緒に行く。私だって心配なのだから。

ユウリを困らせているのは解っている。でも、私も引くつもりはない。可愛くないのだろうな。そう、分かっていても、譲れなかった。

ユウリに怒鳴られながらも、自嘲気味に微笑む。

ユウリも私が譲る気がないのがわかると、それ以上は何も言わずにベッドの横に反対向きで潜り込む。

ユウリは怒っていた。わかっていたから暫く私も黙って寝ころんでいた。

ユウリが動かなくなってから、ポツリとゴメンねと言うと、ユウリは起きてたみたいで、呆れ気味に、バカって返してきた。

譲る気がないのに謝んなよって事だろう。

うん。でもゴメンね。そう言って返した。

ディアス「次あたりには、出してくれんだろうな?解説?」

あ〜、いやぁどうでしょ。そもそも、会えるかどうかわからんって話で進めてたような?

ディアス「おい!早く出しやがれ!」

ここに、出てるから良いのでは…?

ディアス「…えっ?なに?本編出れねぇの?」

いやぁ、ワタクシに言われましても…。

ディアス「おいおい。お前さんに聞いてわかんねぇなら、誰に聞きゃあいいってんだ?なあ!」

ひぃ!そう、言われましても。ワ、ワタクシにはわかりかねますぅぅぅぅう!!ドピューン!!!

ディアス「あ、逃げた。俺、そんな(こぇ)ぇか?………。」

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