ササメside
ある日の喧嘩。
ユウリ「女の子が、そんなセリフ吐いちゃダメだろ?」
ササメ「だって、ユウリが綺麗な女の人に鼻の下伸ばしてるからじゃん!」
ユウリ「な!ふ普通に話してただけだろ!」
ササメ「うそよ!だって、目線が谷間に
いってたじゃない!デレーとだらし無くしてたし……。」
ササメは、少しの間自分のまな板を見て涙ぐませる。
ユウリ「う''、な、泣くなよ。悪かったって。これは、生理現象みたいなもんで、べ、べ、別に、ふくよかだから気持ちよさそうとか、考えてたワケじゃ……。」
ササメは、余計涙ぐみ睨みつける。
ササメ「どうせ、発育不良だもん……。どうせ、柔らかくなくて、気持ちよくないもん……。」
ユウリ「ササメ!いい加減に自分を卑下すんのやめろ!俺は、お前を愛してる。どんな姿でも、だ!だから、比較して、勝手に苦しむな。」
ユウリはササメを抱きしめた。しかし、ササメの痛烈なビンタ!
ササメ「何が、どんな姿でも、よ!ユウリが!他の!女の人に!惹かれてるから腹たってんでしょうが!誰の!誰のせいよ!!」
そういうなり、ベッドに潜り込む。
ユウリは、ほっぺにできたモミジをさすりながら、ササメの機嫌を一晩中、とっていたのだった。
村や町をいくつも通り抜けた。大きな湖畔の燈籠祭りを見たり、仲のいい兄弟に間違えられたり、ユウリが他の女の人にヘラヘラしていたり。(まぁ、この時は、イラッって来たから、ぼそりと''もげろ!''って後ろから通り過ぎざまに言ってやったら、ユウリは、サッと手で大事な部分を隠して青い顔してたけど。もちろん、この日は喧嘩した。)襲撃者の撃退をしたり。そうこうしてるうちに、やっとノライトス地方の町に入る。
暖かな風が吹いている。草原が波を打ち、そよそよと揺れ、協会の印の付いた、城壁のような真っ白な外壁。それに囲まれた、小さな町。鐘がゴーン、ゴーンと鳴り響き、白い魔鴉が一斉に飛び立ち、近くの洞窟に入って行く。
ユウリは、鐘の音が鳴り響く少しの間、馬を止めた。
鐘の音で、少し魔力を削られながらも、
ササメ「すごい。…きれい。」
ポカンと顔をあげ見る。
ユウリ「俺らの所属している国が戦争時の結束を高めるために、国境の近いところ辺りはこういった建物、が多くなるらしいよ?」
軽く、地図兼ガイドブックを見ながらユウリが言う。
ササメ「ふーん。魔鴉も 、白いのね。」
ユウリ「ああ、何故か、白い魔鴉の方が鐘の音に耐性があって、影響されにくいらしい。」
ユウリは、本をリュックになおしながら、魔石を取り出して、私に手渡す。
ユウリ「ここからは、少しキツいかもしれないけど、辛かったら言って?これで少しは保つと思うけど。」
ユウリは心配してくれてる。
ササメ「それほど、影響はないわ。それに、ユウリが側についててくれるから、心配してないよ。」
それに本に、国境付近の強い魔物まで追い払わないように工夫されているって書いてあったから、大丈夫って話になったのだ。こういうのをあらかじめ、わかってて来ているのだし、今更だ。
そう、国境付近の強い魔物まで追い払うのは、攻め込む側にとっては、お得だったりする。そういうのは困るので、強い魔物は残したまま、自国に魔物が襲ってこないよう、魔物にとっては町に近づくのを嫌がる程度の効果を持たせているのだとか。
まぁ、微妙に魔力が削られ、力が軽く押さえつけられる感じの力が働いているから、理性の持ってない魔物は好き好んでは近づかないだろう。
ササメ「でも、魔鴉はどうしてこの町にいついてるのかしら?普通嫌がると思うんだけど。」
首を傾げて、ユウリを見上げる。
ユウリ「餌付けしているらしいよ。あと、伝書鴉を紛れ込まして見分けにくくしてるとか。」
一瞬、目があって、ユウリは苦笑しながら、フードを抑えて落ないようにして前を向かせる。
ササメ「ああ、なるほど…。色々、事情があって半ペット化されてるわけね。」
私は手前の馬の首元を優しく撫でて馬の気を落ち着かせる。
ユウリはそれを確認してから、馬を進ませた。
ユウリ「ササメちゃん、かわいい。ポカンとしたりしてても、俺に頼って背中を身体に寄せてくるのも。」
はいはい、ノロケは、けっこうですよー。(棒読)
ユウリ「微笑みながら、馬を撫でるササメちゃん。どうせなら、膝枕されながら、あの笑顔で、頭撫でられたい。」
うわー!大の男が、甘えたとか、構図的に引くわ〜。えっ!だって、十歳くらいの女の子の膝に15、6のお兄ちゃんが、甘えた側デスヨ?
ユウリ「解説、微妙に傷つくわ!これでも恋人同士なら、普通にありえるシーンだろ?」
ふん!ロリコンめ!
ササメ「か、解説のバカー!!!」
ユウリ「えっ!さ、ササメいつから……?」
あ、足がこ、凍りついた、ササメちゃん、走ってたから暫くこのまま……?ユウリは、恥ずかし発言聴かれて固まってるし……。もう嫌じゃぁぁぁぁぁああ!!(泣)