ササメside
ミーノ「なんで!私が!こんな辺鄙なとこまで行かなきゃいけないのよ!!」
ジャンケンで負けたんですよね。
ロイド「そうだぞ!ジャンケンで負けたんだ。大人しく調べとけよ~?よろしく。…まぁ、原因の予想はついてしまったのだがね…。」
ミーノ「はあ?私、行き損じゃない!?」
ロイド「いやあ?調査報告と、原因となる魔力波形は、調べてもらわんと困るから、行くのは必要だけどな。」
ミーノ「それなら、港町の方の調査員で事足りたじゃない…。馬で腰痛めたわよ。乗り慣れてないのに…。せめて、調査費用ケチらず馬車くらい出しなさいよ…。」
ロイド「いや、この町のギルドの財政状態と、後はかかる日数を考えれば、馬車はなぁ…。つーか、早く調査終わらせて、帰ってこいよ!」
ミーノ「お、鬼!せめて腰大丈夫か?とか一言ぐらいあったっていいじゃない!それを、また馬に乗って早く帰って来いだなんて!!」
ロイド「いや、こっちも泣きたい状況だから…。」
私とユウリは、龍?竜?の目撃情報のあった町の通り道近くを彷徨く。とくに、変わったところもなく、もう引っ込んだのだろうか。冒険者が逃げ込んだ際に一度出てきただけなのでは?と思う。
そもそも、竜なら姿が大きいから居たらすぐに見つかる。隠密に優れている個体もいる事はいるけど、今回は黒竜との事だし、スケルス個体でも、潜るタイプでもないから。スケルス個体なら基本姿を現さないようにするらしいし、土竜なら基本茶色だし。まぁ、どちらにしろ、魔力が少しでも動いていると、多分、私が気づけるはず。だから、隠れている線はないかな。
ユウリ「この辺で、見つからないとなると、問題なさそうなんだけど…。ん~、塒の方へ行って、確認した方がいいかなぁ。…無為に刺激したくないからなぁ…。」
ユウリが悩んでいるので、そのまま、近くに来て見上げて尋ねる。
ササメ「こっそり覗いてこようか?」
ユウリは笑って頭を撫でると、
ユウリ「ここにいても、仕方ないしな。もう少し様子見てから、そうするか。」
そう言った。その時、私は感知で引っかかったものに気がつく。
ササメ「待って、居る。竜じゃなくて、龍だよ。とりあえず、近づいて様子見と、話せれたら説得?」
ユウリが頷くと、一緒に風飛びで龍のいる方に向かった。
そこに居たのは、見た目、黒髪の金色の目をした15、6歳の普通の女の子っぽい感じの子だった。威圧感は、龍なので、半端ないけど。じっとこっちを見ている。
向こうも気づいているし、隠れても仕方ないので、ある程度の距離を保って止まる。
ユウリ「話がしたい!攻撃の意思はない!」
ユウリが両手を上げ大きな声で話しかける。
「誰?何の用?」
彼女は、小さな、けれどよく通る声でこちらの声に反応を返す。こちらを1度睨みつけてから、視線を逸らし、した唇を噛み、泣きそうな顔をした。
ユウリ「俺は、ユウリ。ギルドから、町道に龍が出るから、出ないようにしてくれって言われた。このままじゃ話しにくいから、近づいていいか?」
ササメ「私は、ササメ。ユウリの使い魔の雪女です。」
ユウリに続いて、簡単に自己紹介する。
彼女は、こちらに顔を向け、強い意志を持った目で見た。
「こちらも、攻撃の意思はない。お願いがある。リリックを呼んできてくれないか。」
そう言った。
私とユウリは顔を見合わせ、何か事情がありそうだと、頷きあい、彼女が話すのを促すことにした。
そう言えば、龍と竜使い分けてるけど、ここでは、どういう基準?
ユウリ「一応、人型なれて、知性があるのが龍、んで、人型なれずに、喋れない知性の低いのが竜って認識かな。」
ササメ「まぁ、今回退治しなくて済みそうで良かったね。もし、退治だったら依頼は受けれないよ。彼女強いもん。」
ユウリ「そうだね。竜でも、前は危なかったから、今回の竜のレベルがどれほどか確認する意味もあったしね。」
あれ?竜だとおもってた?
ユウリ「だって、巨大化する必要性が感じられなかったからね。普通に人型でも、強さは変わんないから。」
ふーん。そんなもんなんだ。
ササメ「はいはい!龍のことなら、私も多少は知ってるよ?雪女と龍って住むところで意外とぶつかってたらしくて、特徴とか技とか色々、皆から聴いてたよ?」
はいはい、それはまた今度ね。
ササメ「えー!!!解説のイケずっ!」