夏に溶ける雪
初投稿です。生暖かく見守って下さい。
プロローグ
一面、真っ白な雪と、薄灰色の雲が広がっている。山にある崖の高台に萌黄色の服をきた少女が立っている。その少女を中心に吹雪いて、少女の目尻から、キラキラしたものが流れていく。「…夏なんて、…嫌いよ…。」小さくつ呟かれた声は誰に聞かれることもなく消えていく。
出会い
ある春の山中に少女が鼻歌を歌いながら進んでいた。村の集落から抜け出し散歩にやって来たのだ。「もぉ、うちの親ったら、見つかったら危ないから集落から出るなって嫌に決ってるじゃん」と小言いつつ、集落って何もなんだものって思っていた。
集落は高山の上の方にあり、一年中雪に覆われ、生き物もあまり近づかない。「あんな変化のないところつまんない」プクっと頬を膨らませながら、独り言である。何度も抜け出しているようで、迷いなく進んでいく。山の麓にある湖に向かっているようだ。
「今年も、蕗の薹がそろそろ芽を出しているはず、フフフ」
春から変化があるから少女は、春も、夏も、それから秋も好きだった。冬は嫌いだが。だいぶ麓に近づいたからか、辺りはだいぶ暖かく感じる。まだ雪は積もっているが、体は正直で少し怠さを感じるとともに、ワクワクしていた。
「そそろそろ湖につくかな…あれ…誰かいる?」
少女はこっそり茂みや木の幹で見えないようにしながら近づく。
「お男の子だ。…初めて見た…。」
集落にいる子供は、女の子で、しかも、一番年齢の近い子でも、もぅ、一緒に遊ぶ感じではなく、おねぇさん的な感じだった。