強化の訓練
朝起きると、食欲そそる良いにおいがした。リビングに向かうとマリーが朝御飯を用意していてくれた。
焼きたてのパンに、ハムと卵、豆のスープにサラダがテーブルに並んでいた。
「あっ!お早うございますラスティーさん」
「おはようマリー」
「丁度今出来たところですよ」
「ああ、旨そうだな」
「私はフランを起こして来ますね」
そう言うとマリーは足早にリビングを後にした。
まさか、朝起きて誰かの手料理を食べられるとは、少し前なら考えられなかったな。
フランも起きてきて、みんなで朝食を食べる。
パンは焼きたてで香ばしく、卵はふわふわでハムを挟んで食べると口のなかに旨味が広がる。サラダは新鮮で瑞々しく、豆のスープは温かく体に染み渡る。
「どうですか?ラスティーさんお口に合いましたか?」
「ああ、凄く旨いよマリー」
「それは良かったです」
マリーは顔をほころばした。
朝食を食べ終えた俺達は今日の予定を話し合った。
「今日は手頃な依頼を受けるのと、二人に強化を施し魔法を使ってもらう」
「どういう事ですか?」
マリーが質問してくる。
「二人に最初に出会った時にフランに強化を施し魔法を使っただろ?」
「はい」
「その時に、使い終わった後フランは二時間も動けなかっただろ?」
「そうね、上手く力が入らなかったわ」
「それはな前にも言った通り、普段使ったことがない莫大な魔力を使って体が疲れて動けなくなったんだ」
「ふーん、確かにアレだけの力を使ったらそうなってもしょうがないわね。あんな感覚初めてだったもの、ラスティーの魔力が私の魔力と溶け合って爆発的に魔力が向上して、あの時なら何でも出来ると思えるような高揚感だったわ」
「あの時はフランの魔力と魔法の威力を強化したんだ」
「それは分かりました。それと今回は何故強化して魔法を使うのですか?」
「前回みたいに一回使ったら動けなくなるのは今後を考えると厳しい。だから普段から二人には強化した状態で魔法を使うのに馴れてもらうつもりだ」
「そんな事が可能なのですか?」
「勿論魔法の連発は無理だろう、だがいざという時に使って、動けなくなる事はなくなるばずだ。これからは二人には毎日一回は強化状態で魔法を使ってならしていくつもりだ」
「分かりました」
「安心しろ、前回見たいに動けなくなるような限界まで強化はしない。あの時はあのぐらいしないと足りないと思ったからそうしただけだ。ゆっくりならしていくつもりだ。それでも体は疲労感を感じるだろうがな」
話を終えた俺達は依頼を受けるために、ギルドに向かった。
ギルドに到着して中に入ると俺は掲示板の前で数ある依頼の中でどれが良いか考えていた。
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薬草の採取
場所
指定問わず
期限
××月××日から3日以内
報酬
銀貨一枚(1キロ)
依頼条件
1キロ毎に報酬を支払います
備考
薬草の備蓄が少なくなったので採取を
お願いします
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ホワイトラビット五匹の討伐
場所
××の森
期限
××月××日から一週間
報酬
銀貨三枚
依頼条件
特になし
備考
街道から発見報告あり
討伐求む
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隣街までの荷馬車の護衛
場所
検問前集合
期限
××月××日から隣街につくまで
報酬
1人銀貨五枚
依頼条件
三人以上
備考
最近物騒なため
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どうするかな、護衛依頼は二人にはまだ早いかなぁ・・・よし!ホワイトラビットの討伐にするか!
俺は掲示板から依頼を剥がして、受け付けに持っていき受付嬢に手続きをしてもらう。
依頼を受けた俺達は依頼場所の森まで来ていた。
「ホワイトラビットは特に強くはないが、敵を見ると体当たりしてくるので気を付けろ」
「はい」
「ええ」
「因みにホワイトラビットの肉は買い取ってもらえるから、あまり傷つけないように狙うのは頭だ」
話してるうちに、俺はホワイトラビットらしき気配を感知した。
「いたぞ!ここから西に400メートル位だな」
「相変わらず、その強化した感知能力は便利ね」
「まあな」
俺達はホワイトラビットに気づかれないよう残り50メートルまで接近した。ホワイトラビットは八匹いた。
「依頼の五匹より多いが問題ないだろ、相手も気づいてないし丁度いい、フラン」
「何?」
「今から強化した状態で魔法を使ってもらうぞ」
「分かったわ」
俺はフランの肩に触れると強化を施した。勿論、動けなくなるような強化はしない。
「火よ敵を焼け『火球』」
すると、ゴブリンを倒した時の手のひらサイズの火球ではなく、10倍はあろう火球が生まれた。ホワイトラビット三匹を巻き込みフランの魔法は炸裂した。
「相変わらず凄い威力ね、前回ほどの高揚感はなかったけどこの威力だものね」
俺はフランの魔法で驚いて、逃げ出すホワイトラビットを指弾で頭を正確に撃ち抜き五匹を倒す。
「あっという間に倒してしまって、私のやる事がなかったです」
「まぁいいさ、それよりフラン、体の調子はどうだ?」
「疲労感が凄いわ、動けない事はないけど」
「そうか、まだ初日だしな馴れてくれば、このぐらいの強化ならたいして気にならないようになるさ」
「さて、あとはマリーだなホワイトラビットは倒したから召喚魔法を強化して使ってみるか」
「はい」
ホワイトラビットを回収した俺達は召喚魔法を使うため開けた場所に移動する。
「よし!ここなら良いだろう」
俺はマリーの肩に触れて強化を施した。
「これが強化なんですね、不思議な感じです」
マリーはそう言うと召喚魔法の詠唱を始めた。
「我の呼び声に応じ、我と共に歩む者ここに『召喚』」
すると、マリーのすぐ近くに魔方陣が現れ光だす。光がやんでそこに現れたのは馬と同じ位の大きさの真っ白い毛並みの狼だった。
「ホワイトウルフだな中位クラスの魔物だ、ちゃんと意思の疎通は出来そうか?」
「はい、大丈夫だと思います」
マリーがそう言うとホワイトウルフはマリーに近づいてマリーの頬を舐めた。
「ふふっ、大きいのに全然怖くないですね」
マリーはホワイトウルフを撫でながら嬉しそうに答えた。
「今のマリーの力では中位クラスの魔物は召喚してられる時間は少ないと思うが十分、力になってくれるはずだ」
「はい、ありがとうございます。でもやっぱり聞いていた通り疲労感が凄いですね」
「それは仕方ない、その内馴れてくるさ」
ホワイトウルフを還して、休憩を終えて街に帰還した。
ギルドに依頼達成の手続きをして報酬を山分けして、夕飯の材料を買って家に帰る。
夕飯はシチューだった。よく煮込まれて深みのある旨味で三杯も食べてしまった。