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マイホームと気持ちの変化

 盗賊から豪商の娘を守った俺達は彼女の護衛をしつつ、街に帰ることになった。


「自己紹介をしましょう。××家の娘のラビニアですわ」


「俺は冒険者をやってるラスティーだ。こっちはえーと、フランとマリーだ」


「それにしてもラスティーはお強いのですのね、あっという間に盗賊十人を倒してしまって、特に最後のは遠目でしたけど、光ったと思ったら終わってましたわ」


「大した事じゃない、あいつらが弱かっただけだ」


「そうでしょうか?大事な商談ではないので護衛人数は三人だったとはいえ、中位クラスの護衛を雇ったのに全く役に立ちませんでしたわ」


 全く役に立たないとは、守るために命をかけた彼等が少し可哀想である。


「そんな事はない。彼等がいなかったら俺達が来る前に君は盗賊に捕まっていたよ」


「そうですわね、そう考えれば彼等は役に立ってくれたのでしょう」


「ラビニアさんはどんな商品を扱ってるんだ?」


「ラビニアでいいですわ、命の恩人ですし歳も近いんじゃなくて?」


「俺は十七だラビニア」


「私は十八ですわ、私の方が一つ上でしたのね。私の扱ってる商品でしたわね、私は食料品と武器、あと土地の利権を扱っていますわ、父はもっと幅広く商いをしてますわ」


 土地かぁ、上手くすれば格安で家が買えるかもしれないな。


「さて、自己紹介もすんだ事ですし、報酬の話をしましょう。ラスティー貴方は私に何を望みますか?そのために私の扱っている商品を聞いてきたのでしょう?」


 流石、商家の娘だバレていたか。


「私の扱っている商品だけでなく、父の扱っている商品も掛け合えば少しは融通は利きますわ」


「そうだな・・・」


 俺が考えているとラビニアが、予想外な事を気まずそうに顔を少し赤くして言ってきた。


「父に頼めば知り合いの奴隷商に安く奴隷を買える様に紹介状を書いてもらう事もできますわ。その・・・ラスティーはその歳で愛玩奴隷二人も連れている所を見ると・・・そういうのが趣味なのでしょう?」


 俺は即座に否定する。


「ちがっ!違うよこの二人は愛玩奴隷じゃないよ!」


 誰にでも間違われるな、この二人容姿が原因かなぁ、それとも俺がそういう趣味の人間にみえているのだろうか?


「あら、そうでしたの?戦闘奴隷には見えませんし愛玩奴隷だと思っていましたわ」


 俺はフランが元貴族という事情はふせて、やむ無く二人が俺の奴隷になった事を説明した。


「そうでしたのね、色々お二人にも事情がありましたのね」


「そうなんだ、だから当面の生活の為に家の購入資金を貯めてるんだ」


「それでしたら私の扱っている土地の家付きの物件を格安でお売りしますわ、本当は差し上げたいのですけど、これでも一応商家の娘です。商品をただにするわけにはいきません」


「ああ、助かるそれで頼むよ」


 よし!これでとりあえず家の問題は解決しそうだな。

 俺達は街に帰りラビニアを送り届けた。家は明日幾つかの物件を見して貰えるらしい。依頼達成の手続きをするためギルドに向かった。


「はい、こちらが依頼達成の報酬になります」


 受付嬢が報酬金を持ってきた。

 俺は手にいれた報酬を三人で分けた。


「今回の報酬は、銀貨五枚だから生活費を銀貨二枚抜いて残りは三枚になる。これを三当分にして一人銀貨一枚だな」


「よろしいのですか?奴隷は主人の取り分を引いた残りの少ないお金を分けるのが一般的だと記憶していますが、山分けにするなど聞いたことありませんが?」


 マリーが申し訳なさそうに聞いてきた。


「普通はな、でもお前らは形式的には俺の奴隷でも俺はその扱いはしない。だから基本的に山分けにするつもりだ」


「ありがとうございます。ラスティーさんは本当にいい人ですね!」


 マリーは笑った。


「フランもそれでいいよな」


「ええ、勿論よ文句なんか有るわけないわ」


「その代わりと言ってはなんだが、二人の首輪を外すために根をつめて依頼を受けて金を貯める事はしないぞ。俺は基本的に面倒くさがりだからな。先は長いし無理せず貯めていこう」


 二人は笑顔で頷いてくれた。

 その日の夕飯は初めてのパーティーを組んで手に入れた金で、いつもよりちょっぴり贅沢な夕飯になった。

 宿に帰り俺達はラビニアに紹介してもらうマイホームの話で盛り上がった。


「どんな物件を紹介してもらえるのか楽しみですね!」


「そうだな安くしてくれると言っても限度があるだろうしな」


「安くても狭すぎるのは嫌よ!」


「分かってるよ、でもあまり広いと俺達だけじゃ使いきれないし、多分高くて買えないだろうな」


「丁度いい広さの家が紹介してもらえればいいのですが」


 その後も、会話は続き夜もふけた頃、結局見てみないとわからないっていう当たり前の答えに行きつき、その日は寝ることにした。昨日に比べれば、俺もフランも眠ることが出来た・・・相変わらずマリーは熟睡であった。

 次の日、俺達はラビニアと待ち合わせの時間に、××家を訪れた。ラビニアの家は商家の家にしては大きくちょっとした貴族と変わらない家構えをしていた。俺は呼鈴を鳴らして待った。


「はい、どちら様ですか?」


 執事が出て来て聞いてきた。


「ラビニアさんと待ち合わせ予定のラスティーです」


「承っております。お入りください」


 執事がそう言うと俺達は屋敷に入り客室に案内された。

 ソファーに座り待っているとすぐにラビニアがやって来た。

 ラビニアと俺達は挨拶を交わし早速家の資料を見せてもらった。


「貴方達のためにオススメ物件を持ってきましたわ」


「ありがとうラビニア」


 俺達はラビニアが持ってきてくれた物件を、相談しながら吟味した。


「この物件は三人で暮らすにはギリギリね」


「こっちは広いけど今の貯金じゃ厳しいな」


「この物件は隣の街に引っ越す事になりますね、ラスティーさんは引っ越すのは大丈夫ですか?」


「ああ、別にこの街に特別なこだわりはないが、その隣の街は駄目だろお前ら的に・・・」


「そうね、あの街には私も戻りたくないわ」


 フラン達の元住んでいた街だ。知った顔がいるかもしれない場所に帰りたくはないだろう。今は隷属の首輪がついてるしな。


「おっ!これなんか良いんじゃないか、広さも申し分ない、と言うより少し広い位だが庭付きで金貨五枚」


 俺の今出せる限界の値段だ。


「それにしてもこの物件、他に比べて安すくないか?」


 俺はラビニアに尋ねた。


「その物件は築年数が他に比べてたっているのですわ、でもしっかりとした作りで住む分には問題ないはずですわ」


「へぇー、築年数はこっちは気にしないし、二人はこの物件はどう思う?」


「少し広い分には困らないので良いと思います」


「私も良いと思うわ」


 二人の了承をを得たので、ラビニアにこの物件を見せてもらうことにして、マイホーム(仮)に向かった。


「へぇー、思ったより庭が広いな」


「玄関も広いわよ、ラスティー」


 フランが足早に家に入っていった。余程楽しみにしていたらしい。


「家の中も、資料で見るより広く感じるな部屋数も多いし問題なさそうだな」


「お気に召しましたか?」


「ああ、この物件を買いたいと思う」


「分かりました。急いで契約書を発行しますわ」


 中を見ての物件を気に入った、俺達は家を購入するためラビニアの屋敷に戻る。

 予め用意していたのか契約書は、一時間も待たずに出来て俺は契約書にサインして、金貨五枚を支払った。


「助かったよ、ラビニアありがとう」


「礼には及びませんわ、貴方は私の命の恩人なのですから、それに優秀な冒険者に出会う機会は多いにこした事はありませんわ」


「はははっ、商魂逞しいな」


 ラビニアに挨拶をして屋敷を後にした、俺達は早速引っ越しのため宿に帰り、荷物をまとめてマイホームに引っ越しを開始する。

 荷物も少なく引っ越しと家の掃除は夕方には終わってしまった。


「ラビニアには感謝しなければな、まさかこんな良い物件が格安で手に入るとはな」


「そうですね、これで生活面の問題は片付きましたね」


「こんなに早く一人一部屋の生活が出来るとは思わなかったわね」


「明日からまた依頼を受けて金を貯めるぞ二人とも、家を購入するので貯金は、ほぼゼロだからな」


「はい」


「ええ」


 二人は元気に返事をくれた。マリーは料理が出来るらしく家を購入してキッチンを手に入れた俺達の食事はマリーが作ってくれるらしい。

 今日は時間も遅くなってきたので明日の材料だけ買い、外食することにした。明日からのマリーの手料理が楽しみである。

 復讐に失敗して空っぽの2ヶ月を過ごしたのが、嘘のような感じだ。

 十年間復讐の為だけに生きてきたが、これからは自分の楽しみだけに生きるのも良いかもしれない。そんな事を考えながら俺は眠りについた。






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