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ヘタレと酷いオッズ

 マリーを抱きしめ続けて1分が過ぎた。


「‥‥マリーもういいか?」


「‥‥もう少し駄目ですか?もう少しだけですから‥‥」


 マリーにそう言われては抱きしめた手を離すことは出来ず、もう少し抱きしめ続ける事になった。


「ありがとうございます」


 抱きしめた手を離すとマリーにお礼を言われた。


「ごめんなマリー、酷い事したみたいで‥‥」


「いえ、あれはラスティーさんではありませんでしたから‥‥私が感情的になってしまっただけです。でも抱きしめてもらえて嬉しかったです」


 さっきまでの涙目と違って輝く様な笑顔がそこにあった。


「もう!マリーったら!結局本物のラスティーに抱きしめてもらえるなんてズルいわ!」


 リースが可愛く拗ねていた。


「リースさんはいつもラスティーさんに甘えてるじゃないですか」


「でもっ!ラスティーから抱きしめてもらうなんてズルいわよ!」


「たまには私だって甘えたいんですよ、こんな役得があってもいいでしょう?」


「う~!ラスティー私も!」


 リースにそう言われたが、俺はリースから視線を外した。


「あ~、何でよ!マリーにはしたのに私はダメなの?私よりマリーが良いの?」


 はぁ~、また話がややこしくなってきたな。


「リース俺はマリーが良いとか、リースが良いとか、考えたことはないぞ。お前らは皆大切で、今の俺に必要な存在だと思ってる」


「‥‥それは嬉しいけど私はラスティーの一番になりたいわ」


 リースの気持ちは嬉しいけどな、今は特定の誰かを好きになるって気持ちが俺にはよくわからないんだ。


「リースさん丁度良い機会なので今言います。今までは側にいれれば満足でしたが、今回の事で自分の気持ちの強さが分かりました。私もラスティーさんが大好きです!独り占めなんてさせませんから!」


「なっ!」


「えっ!」


 俺とリースの声が重なった。

 マリーまで俺のことが好きだと宣言した!前に好きな殿方は目の前にいるとか言ってたから好かれてるとは思ってたが、皆の前で堂々と宣言するほど強い思いだとは知らなかった。


「‥‥じょ、上等じゃない!私は負けるつもりなんて、なっ、ないわよ!」


 マリーに宣言されてリースが動揺している。


「ええ、私も負けません!‥‥胸の大きさ以外で負けるつもりはありません!」


 そうマリーが言うとリースは自信と笑顔を取り戻しマリーに言った。


「あら、ラスティーの大好きなポイントで負けてる時点で勝敗は見えてるんじゃないかしら?ラスティーは貧乳はステータスなんて思ってくれないわよ」


「なっ!‥‥‥私は普通です!貴女が大きいんです!」


 うん、マリーは普通だと思うぞ、リースやフランが大きいだけだよ。


「ふふっ!そうかしら?」


「そうです!」


 怖い怖い!背景に龍と虎が争ってる様な雰囲気が見える。


「なあサクラさんや、俺別に好かれる要素なんて無いと思うんだがどうだ?」


『そう?ラスティーは命の恩人だし、強いし眼鏡外せば格好いいから、好かれる要因はあるんじゃない』


 格好いいか俺?俺の中では格好いい男は、人生経験抱負で何事にも動じない、背中で語る様な渋い男が格好いいと思ってるんだが、皆は違うのかな。


「命の恩人だからって好きになるものではないだろ?」


『まあね、でも女は運命って不確かなものを信じるものなのよ。ましてやこの世界の男って男尊女卑って訳じゃ無いけど、力を誇示して女を物にしようとする輩多いじゃない?盗賊然り冒険者然り』


 まあそれは確かに、この世界で出会った男で良いイメージの奴は少ないな。


『そんな中で、貴方は物凄く強いのに、その強さを誇示しないし、全うな性格をしてるもの』


「全うかな?」


『ええ、そうよ。前にも言ったけど、こんな可愛くて綺麗な奴隷がいて手を出さないのは貴方が全うな証拠よ』


 ふむふむ、サクラの中で俺の評価が高くて驚いた。


『まあ、ここまで好かれてるのに手を出さないのはヘタレとも言えなくもないけどね』


 うぐっ!ヘタレかよ!それは嫌だな。


『そうよ、このままじゃオッズがあるのに結果が出ないじゃない』


「オッズ?何の話だ、サクラ」


『あっ!‥‥え~と、私そんな事を言った?』


 サクラは急にばつの悪そうな顔になり焦りだした。


「ああ、オッズがあるって言ったぞ」


『きっ!気のせいじゃない?』


 誤魔化そうとしてるのが見え見えだ。


「言え!何のオッズだ!」


 サクラが目をそらそうとするのを手で頭をガシッと抑えた。


『‥‥‥』


「そうか、そんなに野宿がしたかったのか。サクラは暫く家に出入り禁止だな」


『言います!言います!野宿は嫌よ!』


「それで、何のオッズなんだ?」


『‥‥ラスティーが誰に手を最初に出すかのオッズよ‥‥』


「‥‥何だよそれ!」


『そのままの意味よ、ギルドの冒険者の中でそういう賭け事があるのよラスティーは知らないだろうけどね』


 俺は額を手で覆い天を仰いだ。なんだよ!その酷い賭け事は。


「因みにどんな配当なんだ?」


『1番人気が、ラスティーベッタリのリースで、2番人気がツンデレのフラン、3番人気が家事が得意なマリー、4番人気が超大穴ダークホースサクラちゃんって感じよ!』


「‥‥‥」


『因みに私は配当が高い自分に、一月の半分の小遣いを賭けたわ!私に手を出すのも有りよ!』


 笑顔で舌を出して手をサムズアップしながら此方を見やがった。

 うわぁ、このバカ物凄く殴りたい!殴って良いよな?これ。それよりも聞かなければならない事がある。


「で?この賭け事を企画した胴元は誰だ?」


『シュナイダーさんよ』


 シュナイダー?誰だ?そんな奴いたかな。


『ギルドでいつもお酒飲んでる、ラスティーがオッサン呼ばわりしてる人よ』


 誰だか分からず、腕を組んで考えているとサクラが教えてくれた。

 よし!帰ったらあのハゲは一発殴る!絶対殴る!






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