追悼式と宴
掃討戦が終わって次の日、昼頃に亡くなった冒険者達の追悼式があった。今だに信じられない者、泣き叫ぶ者達が沢山いた。
追悼式が終わるとギルドをあげての盛大な宴が開かれた。
俺は参加したくはなかったが、活躍した俺は強制参加だとオッサン達に言われやむ無く参加した。
「おら、ラスティー飲め飲め!」
「オッサン俺は未成年だぞ」
「あん?お前確か今17だろ?」
そうだった、この世界は16歳で成人だったな。
「そういやもう成人してたな」
「どうした、飲んでねぇのに酔ってんのか?」
「何でもねぇよ、ちょっと勘違いしてただけだ」
「今日はお前が主役なんだぞ?」
「何でだよ!」
「当たり前だろ!お前が魔族を倒したんだから、お前が居なかったら冒険者達やこの街は助からなかったはずだ」
「それは・・・」
「だから今日はお前が主役だ」
「主役と言っても特に何かやるわけじゃないんだろ?」
「まぁな、ギルドマスターから皆に紹介くらいはあるだろ」
「はぁ、面倒くさいな」
「お前が面倒くさがりなのは知ってるが、そう言うなよ皆お前に感謝してるんだ」
「私もラスティーさんの活躍した姿を見たかったです」
そう言うマリーの頬がほんのり赤かった。
「マリー酒飲んでるのか?」
「はい、私お酒好きなんです」
「そうなのか、飲み過ぎには注意しろよ」
「はい、大丈夫です頬は赤くなりますが酔ったことありませんから」
マリーが酒好きで酒豪だとは知らなかったな。
「ラスティーは魔族も倒したし、その内二つ名が付きそうだな」
「やめてくれよオッサン、俺はそんなのいらねぇぞ」
「だけどなぁ、銀色に輝いて戦う奴なんてお前だけだぞ」
それは俺の能力だからしょうがない。二つ名なんて勘弁してくれ。
オッサンと話していると、フランがフラフラしながら近づいてきた。
「おい、どうしたって!お前その顔!」
「らりよ!わらしの顔に、らにかついてるっていうの?」
フランは完全に出来上がっていた。顔は真っ赤で呂律がまわっていない。
「マリー、フランはどんだけ酒飲んだんだ?」
「果実酒コップ一杯ですよ」
マジか、マリーが酒豪なのも驚いたが、フランは酒に弱かったんだな。
「おい、フラン大丈夫か?」
「らいじょうぶよ!」
全然大丈夫じゃないな、全く酒に弱いなら飲むなよな。
そう思っているとフランが抱きついてきた。
「おいっ!フラン!」
胸が当たって気持ちいいなんて、口が裂けても言えないな。
「マリー、フランを何とかしてくれ」
「フランは本当にラスティーさんの事を心配してたんですよ、今くらい甘えさせてあげて下さい」
「いやっ、そう言われてもな」
周囲の視線が痛いんだが・・・
「んふふ~、しゅきあり~」
「あっ!フラン!」
周りを気にしていたらフランに眼鏡を取られてしまった。
「おいっ、フラン眼鏡を返してくれ」
「にやよ!取れるもにょならとってみなゃさい!」
そう言ってフランは胸の谷間に眼鏡を隠した。
(くっ、胸のあいた服を着てるフランを見て眼福、眼福と思っていた少し前の自分を殴りたい)
「ふん、俺はそんなとこに隠しても取るぞ」
「にや!」
フランの胸に手を伸ばすと、胸を手で隠して此方を睨む。
顔を真っ赤にして涙目でこっちを睨むと俺が悪いみたいじゃないか、俺は眼鏡を返して欲しいだけなのにな。
諦めて俺は目に強化をかけて視力を上げる。
「ふふっ、ラスティーさん、眼鏡をしてない方がカッコいいですよ」
「そうだぞ、ラスティー男前だぞ」
「俺だって好きでこんな瓶底眼鏡を掛けてる訳じゃねぇよ」
そんな話をしてると、またフランが抱きついてきた。
「らしゅてぃ~」
「何だよフラン?」
「らしゅてぃ~」
駄目だ会話にならない。引き剥がしても抱きついてくるので、俺は諦め胸の感触を堪能することにした。
そうして時間を潰しているとギルドマスターに呼ばれた。
「マリー、フランを頼む」
「はい」
ギルドマスターから皆に紹介された。
「此度の掃討戦で魔族をたった一人で倒したラスティー君だ」
「「「「ウォォォー!」」」」
宴に集まった人達から歓声が上がった。
「ラスティー君、本当によくやってくれた。君がこの街に居てくれて助かった」
「いえ、俺は依頼を果たしただけです」
「謙遜しているところも好感がもてる、君の働きを考慮して報酬は君に多く出すようにするよ」
「ありがとうございます」
ギルドマスターの紹介が終わり二人のもとに、戻ろうとすると、集まった人達に捕まった。
「兄ちゃん、本当に助かったぞ」
「どうやったらそんな強くなれるんだ?」
「銀色に輝いていたのは何なんだ?」
様々な質問攻めを適当に答えて逃げ出す。
漸く二人のいる場所まで、来たら今度は集まった女性陣に捕まった。
「ラスティーは歳は幾つなの?」
「彼女はいるの?」
「今度、一緒に依頼を受けましょう」
俺はモテたことがないので、あしらい方が分からず、オロオロしながら質問に答えていると、マリーがいつもより低い声で言ってきた。
「鼻の下が伸びてますよラスティーさん」
「そっ、そんな事はないぞマリー」
今だに女性陣に囲まれていると、女性陣を掻き分けフランが抱きついてきた。
「わらしの~らしゅてぃ~れす~」
「お、おいフラン」
フランは抱きつき癖でもあるのかと思う程、今日は抱きついてくるな。
奴隷に慕われているのを見て、女性は微笑ましく此方を見て、男性は睨んでいた。
収拾がつかないので、俺達は少し早めに宴をあとにした。
「おいフラン、歩けるか?」
「ん~らしゅてぃ~」
仕方なくフランを背負って帰ることになった。
「全く酒に弱いならこんなになるまで飲むなよな」
「ふふっ、酔っ払ったフランは見たことありますが、こんなに誰かに甘えたフランは見たことありませんね」
「そうなのか?」
「ええ、お屋敷でも酔ったフランはこんな甘えた姿を見せたことありません、ラスティーさんのお蔭ですね」
「まぁ奴隷になってストレスを感じてないなら良いことだ」
「はい、私達はラスティーさんの奴隷になれて本当に感謝しています」
「しかし、フランは酔ってた時の記憶はあるのか?」
「完全じゃありませんが、前に酔った時は覚えていましたよ」
「じゃあ大変だな、公衆の面前で男に抱きついていたのを覚えてたら、明日から恥ずかしくて街を歩けないんじゃないか」
「そうかも知れませんね」
宴で疲れた俺達は家に帰るとその日はそのまま寝ることにした。




