第35話:討伐団の罠
俺は肩に猫の姿のリリムを乗せ、蝙蝠の先導のもと、空を飛び、魔物が襲われているであろう目的地へ向かった。
そういえば、電気ネズミを肩に乗せている少年のアニメがあるが、重くないのだろうか?
そうこうしているうちに目的地に到着したようだ。場所は街の路地だった。
空から地上を見てみると、討伐団の制服をきた男が三人、その三人に囲まれている私服の男が1人いた。多分、あの私服の男が魔物だろう。そして、あの三人の内の一人は見たことがある。確か、どこかの班の班長だった男だ。たぶん…
「あなたたち、その男性を放しなさい。」
ルナが地面に降り、声色を変え、呼びかけると、その三人はニヤリと笑った。
「いいだろう。この男は放してやる。ただし、お前をココで捕まえる!」
班長がそう言うと、私服の男を放した。私服の男はルナに頭を下げ、礼をすると一目散に逃げていった。
「お前たち、やれ!」
班長がそう言うと、建物の陰からたくさんの団員が現れ、俺を取り囲んだ。どうやら、初めから俺が目当てだったようだ。
あれ、そういえばリリムがいない…
「ただし、殺すなよ。麻酔銃か捕獲網弾を使え。こいつに色々と聞きたいことがあるからな。」
団員が一斉に銃を構えた。
さすがにやばいな。どうしよう…
「ルナさん、これを使ってください。」
リリムはそう言うと、俺の肩に再び乗った。
「どこにいたんだ?心配したんだよ。」
「すみません。危なそうな雰囲気になってたので、役立つものがないか討伐団が持ってきていた武器の中から、煙幕玉を持ってきたんです。」
おっ!それならこの窮地から脱出できることができる。
「ありがとうリリム!」
俺は早速、この煙幕玉を地面にぶつけた。すると、煙はどんどん出てき、周りの様子は全く見えなくなった。
今がチャンスだ! 俺はそう思い、空に飛び上がり、逃げようとした。
しかし…
強い風が吹いた。
「しまった‼︎」
風によって煙幕はすぐに晴れ、討伐団は俺が空にいることにも気づいてしまった。
「奴は空にいるぞ!噴射靴を使え‼︎」
※説明しよう。噴射靴とは最近、討伐団で発明された装備で、靴に空気を噴射する噴射口をつけることによって、体を身軽に使うことができ、身体能力を最大限に出せることができる。
討伐団員は噴射靴から空気を噴射し、建物の屋根から屋根へと渡り、ルナを追ってきた。
「くそっ!全然諦めないじゃないか。」
「ルナさん、あるじゃないですか。逃げ切る方法が。」
「えっ、どうやるの?」
「そのマントですよ。相手から一瞬でも姿を隠して、違う姿になればいいじゃないですか。」
なるほど!確かにその手があった。
普通の自分の姿にしようとも思ったが、討伐団に召集されてもいないのに、こんなに遠くにいるのはおかしいと思い、会社帰りのOLような姿にすることにした。
討伐団は巫女の姿を見失い、俺を見たがさすがに別人だと思ったのか引き返していった。
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