第100話:デート的な……
この話で記念すべき第100話‼︎
全体的に言えば、116部分目なんですがね……
「ねえねえ、次どこ行く?」
「お好きにどうぞ」
放課後に特に用がなかった俺は、彼女に連れまわされていた。
きっとクラスの奴らはこのシチュエーションを見て、羨ましがるだろう。場合によっては恨まれるかもしれない。
だから、俺は彼女に1つだけ要求を出した。それは、俺たちの通ってる学校からなるべく遠くならどこでも構わないということ。
俺の要求を聞くと、彼女は「うん、わかった」と言って、隣町に俺を連れてきたのだ。
「じゃあ、ここー!」
商店街を歩いている途中、たまたま通り過ぎたゲームセンターを指差し、彼女は止まった。
「ひとおおいねー」
彼女の言うとおり、ゲーセン内はここの近所にある高校の制服を着た学生が多くいた。
一組だけ違う制服の男女のため、少々周りからの注目を集めたが、ここに我が校の生徒はいないようで安心した。
「わぁ、たくさんあるねぇー!」
目をキラキラと輝かせながら、彼女はクレーンゲームのコーナーを見て回っている。
俺は後ろから保護者のような暖かい眼差しで、はしゃいでいる彼女を眺めていた。
すると、彼女は何か気に入ったものが見つかったらしく、俺の方へかけもどってきた。
「ねぇねぇ、あれ可愛くない?」
彼女の指差す方を見ると、そこには『魔剣ダークマター』と書かれたおもちゃが置いてあるクレーンゲームがあった。
「まだ中二病から脱出してないのか⁉︎」
「ち、ちがう‼︎ となりとなり‼︎‼︎」
促されるようにとなりを見ると、うさぎのキャラの小さめぬいぐるみストラップがあった。
「わたし、挑戦してみようっと」
彼女は気合を入れて100円を投入口に。
だが、彼女は全くダメで10回目に突入していた。
さすがに彼女の無駄遣いを許せなかった俺は、自分の財布から100円を取り出し、彼女をどかした。
「無駄遣いが許せないし、俺が1発でとってプレゼントしてやるよ」
「ええ、ホント⁉︎」
嬉しそうにして隣でワクワクしながら覗いている彼女。
ここまで言ってしまった以上、失敗するわけにはいかないので、俺は気合を入れた。
その結果、見事一発でうさぎのぬいぐるみストラップを手に入れた。
「わぁ! すごいね‼︎」
「まぁ、なぜだかこれは昔から得意なんだよ」
少しドヤ顔になりつつ、彼女にストラップを渡した。
「すごくうれしい! ありがとー‼︎」
彼女はニッコリと太陽のような明るい笑顔になった。
そんな彼女の表情を見て、俺は目をそらせてしまった。なぜなら、このままこの笑顔を見てると惚れてしまいそうだったからだ。
その後も彼女と目を合わせられないまま、時間が過ぎていった。
元からペラペラ話していたわけではないが、彼女のことを意識してしまい、口数が一段と少なくなっている俺に彼女が「おなかすいたねー」と話しかけてきた。
「それじゃハンバーガーショップにでも行こうか」
「うん!いこう♪」
彼女は「おなかペコペコだよ〜」と言いながら、楽しそうに歩く。
俺はそれを横目にハンバーガーショップに向かった。
ハンバーガーショップにつくと、ラッキーなことに2人席のテーブルが1つだけ空いていたのでそこに腰掛けた。
「空いててよかったねー♪」
「そうだな」
彼女と俺は同じ照り焼きバーガーセットを頼んだ。
「わぁ〜美味しそう‼︎」
彼女はよほどおなかが空いていたのか、バクバクと照り焼きバーガーをむさぼり始めた。
俺は彼女のその様子を見て苦笑いしながら、ポテトフライを口に入れた。塩加減が絶妙だ。
「あのさ、俺、聞きたいことがあるんだ」
彼女の食事がひと段落ついてから、俺は話を切り出すと、彼女はジュースを一口飲み「なに?」と聞き返してきた。
「気になってたんだけど、君ってキャラ変わった?」
これは彼女の黒歴史を知ってしまってからよく感じることだった。
クラスで見ている限りでは明るいのには変わりない。だが、普段の女々しさのないキッパリとした性格の彼女と今の彼女ではどうしても違和感を感じるのだ。
「なんか、街角でぶつかった時と雰囲気違うよね。もっといえば、クラスではいつも通りだけど、俺に対する時だけなんだか違う感じがするんだ……」
それを聞いた彼女の顔は急に真面目な顔になった。
「それはたぶん、亮太くんが私の弱みとなる秘密を知ってしまったからじゃないかな」
「それだけで?」
「うん、私には重要なこと。ねぇ、これから私の家に来てくれない?」
俺の知っている限り、彼女のこんなに真面目な何かを決断したような意志の顔を見たことがなかった。
昨日に引き続き投稿させていただきました。
書き溜めた分の第3章の終わりまでは、毎日投稿していこうと思います。
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