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第10話:一旦撤退


大勢の人が逃げ惑う中、広場の中央の場所だけがみんなから避けられるようにしてすっからかんとしていた。

それもそのはず、そこには先ほどの悲鳴をあげたであろう女性の死体と緑色をしたヤモリのようで、爪が鋭く伸びている魔物が立っていた。


俺が来てから少しして、彩香も追いかけてきた。

「も〜、いきなり走るからビックリしたよ!」と息を切らしながら言っていた彩香だったが、その魔物を目撃すると、「瑠奈さん、早く逃げましょう!」と半泣きで言ってきた。たしかに、普通なら死ぬほど怖がるだろうな。でも、今の俺は不思議と恐怖を感じない。


「私は忘れ物しちゃったから先に逃げてて。」

と言って、彩香を逃げさせた。


周りにも、もう人は誰1人として居らず、みんな逃げてしまったみたいだ。


それにしても、あの女性はあまりにも可哀想だ。女性の亡骸を見てみると、とても綺麗な顔をしていた。そして、額にはバツじるしが……。

ふと、朝流れていたニュースが頭をよぎった。

「お前が、人を何人も殺した犯人か!」

そう、このバツじるしは間違いなくニュースで報じられていた連続殺人犯のものだ。そして、この魔物なら何人もの人を殺せるだけの力があることもみてとれる。


俺の中で怒りの感情が沸き立つのがわかった。

「このクソが‼︎」

こんなやつ、俺が吸血鬼になってぶっ倒してやる‼︎


しかし、俺が吸血鬼になろうとした瞬間、黒猫が私の前に突然現れた。それはリリムだった。

「リリム、そこをどけて‼︎」と俺は言ったが、リリムはどけようとはしない。


「今戦うのはまだ早いです。瑠奈さんはまだ、戦う為の技をまだ全然使えてないじゃないですか‼︎」


「だからってここで見逃したら、また、被害者が出てくるじゃないか!それに、この前だってスライムに勝てたんだから大丈夫だよ。」


「その魔物はスライムと比べ物にならないくらい強いんです。そんな強敵に、魔物とほぼ初めて戦う瑠奈さんが勝てるとは思えません。魔物ランクっていうのがあるんですが、それでいうと、スライムが最低ランクのEで今回の魔物はCランクです。しかも、その魔物は、動きがとても早いんです。」


「でも......」


パトカーのサイレンの音が聞こえてきた。しかも、かなりの数だ。


「警察も来たことだし、このまま吸血鬼になっても、こちらも狙われるだけです。警察に任せて帰りましょう。」


確かにリリムの言う通りだな。


「分かった。でも、リリムにお願いしたいことがあるんだ。その魔物を倒すための方法を一緒に考えてくれないかな。次会った時に倒せるように。」


「もちろんです‼︎」


その夜、俺がテレビをつけるとニュース番組で、あのショッピングモールに駆けつけた警察の半数が魔物によって殺されたというニュースが流れていた。

そして、その魔物はまだやられていないようだった。


怒りが体全体に広がっていき、俺は怒りに侵食されていく。


なぜ、こんなに人の死について、熱くなっているのだろうか、自分にも不思議なくらいだった。だが、その思考もやがて無くなってしまっていた。




俺の中には怒りのみ。

罪もない大勢の人を殺した魔物を殺す、殺してやると……

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