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自衛隊、ダンジョンを制圧せり  作者: ヴァーリ
ロキのダンジョン編
5/7

作戦会議

「私たちは、あのダンジョンに潜む魔王軍を倒すためにやって来ました」


陸上自衛隊、特殊作戦群に所属する桐生圭太二等陸尉は、目の前に立つ二人の少年少女が口にした言葉を疑う。つい先日、東京湾に謎の建築物が出現し、そこから現れた食人種グールと呼ばれる悪魔に似た人外の兵士達によって品川、大井埠頭、対岸のお台場に被害が出てしまった。


そんな中、異世界からやって来たと言うこの二人は、混乱する国会議事堂へ赴き、自衛隊による迷宮制圧作戦に参加させてくれと頼みに行ったのだった。ここ迷宮制圧チーム、イーグル・アロー作戦部隊の本部では、椅子に座る屈強な自衛官たちと、異世界の装束に身を包んだ二人の少年少女が向き合っていた。


すると、一人の自衛官が口を開く。彼の名は剣崎俊也一等陸佐、表向きは今回のイーグル・アロー作戦部隊の指揮官を勤めているが、裏ではあのSと呼ばれる特殊作戦群を束ねる群長でもある。


「陸上自衛隊、イーグル・アロー作戦部隊の指揮官を勤めている剣崎俊也一等陸佐です。ようこそ日本へ、ハンターのライカさん、えっと?」

「シオンです。よろしくお願いしますケンザキイッサ」

「さて、単刀直入にいいますが、私たちは異世界から来たと言うあなた達を信頼できません。証拠も何一つありませんので、第一そのハンマーは本物ですか?」

「その点に関しては問題ないわ」


すると、金髪を肩で揃え、黒いロングコートを着たライカが、背中に背負っていたハンマーを手に持つと、幹部達の囲むテーブルの上に載せる。すると、テーブルはその重さに耐えきれずハンマーを地面に落としてしまう。そばにいたシオンが頭を抱える。


「あちゃ〜、またやっちゃったねライカ。その無理やりな癖治した方がいいぞ?」

「手っ取り早いでしょ!で、どうですかケンザキイッサ?」

「どうも何も、ここまで重いハンマーを軽々持つことなど、我々には到底無理だ。信じるしかないだろうね」


剣崎は周りの幹部自衛官たちを見回すが、誰もが異議なしと顔で訴えていた。部隊長の桐生自身も、疑り深い性格だったが何とか受け入れることができた。


「では、正式にライカ氏とシオン氏の作戦参加を認める!」


すると、作戦室の天井から天幕が降り、映写機によってダンジョンの写真が映し出された。


「これは、先ほど陸自の持つ無人偵察機RQ-4グローバルホークから捉えた写真だ。ここに注目してほしい」


剣崎の差した先には、神殿の様な建物に穴が空いている箇所だった。どうやら、ここから中へ侵入出来る様になっている様だった。


「ここから偵察犬を投入し、中へと偵察を開始した。どうやら、中は別世界と繋がっているらしく、湾の海中に存在する外観に収まり切らない大きさらしい。中は階層に分かれており、各階に一つ下の階層に繋がるワープポイントが存在した。幸運なことに、ワープポイントは元の階層と行き来ができ、通信も遮断されなかった」


そして、剣崎は画像をスライドさせる。


「そして気になる敵だが、敵は我々が想像している以上に強力な戦力を保有している様だ」


映し出されたのは、RPGゲームでよく出てくるスライムやゴブリン、オークや小さなドラゴンも多数いた。自衛隊はこれらの研究に、日本中のゲーム開発者に協力を頼み込んだ。また、自衛官が秋葉原のアニメショップに迷彩服のまま並ぶというシュールな光景も目にされた。


「これらの生物について、ライカさんとシオンさんから説明をお願いできますか?」

「はい。まず、この迷宮について説明してもいい?」

「どうぞ」

「まず、ダンジョンにはそのダンジョンを管理する管理者が最深部に存在するの。これは、魔王軍の中でも四天王、こちらの世界で幹部と呼ばれる悪魔ロキが管理するロキのダンジョンよ」


自衛官たちは信じられないという顔をする。報告では聞いていたが、まさか北欧神話に出てくるロキが管理するダンジョンだったとは思いもよらなかった。


「ダンジョンは主にノーマルフィールドとバトルフィールドに分かれてるわ。ノーマルフィールドは魔物も存在する普通の世界、バトルフィールドとはその階のエリアボスが潜むステージなの」

「エリアボスとは、例えばどんな?」

「エリアボスはダンジョンによって変化するの。例えば、炎のダンジョンであれば炎に準ずるモンスター、サラマンダーやイフリート、ラスボスはファイアードラゴンって感じね」


それを聞いて、自衛官たちは言葉が出なかった。


「…………続きを」

「ええ。ダンジョンの基本階層は二十階、だいたい五階に一階エリアボスがいるのが基本ね」

「わかりました。では、作戦はこうだ。まず、第一空挺団、中央即応集団を含む普通科部隊が先行し橋頭堡を設置。そこに後続の西部方面普通科連隊が到着次第、各階層を制圧して行く。場合によっては特科や機甲科が支援する」


剣崎は立ち上がり、今回の作戦部隊を率いる桐生の方を向く。


「桐生圭太二尉、これより貴官に作戦を命ずる。本日ヒトマルマルマル時を持って、迷宮制圧オペレーション、イーグル・アローを開始する。貴官は部隊を率い、迷宮へと潜入せよ!」

「了解!」

「なお、この作戦にはライカ氏とシオン氏が同行する!不備のないよう気をつけよ!作戦内容は迷宮の制圧及び、迷宮の管理者と思われる人物ロキの確保、復唱!」

「作戦内容は迷宮の制圧及び、管理者ロキの確保!」

「よし!これより作戦を開始する!全員持ち場へ移動せよ!」


剣崎の一言で、迷宮制圧オペレーション、通称イーグル・アロー作戦が開始される。

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