ピンポンダッシュ
生まれてから今まで俺という人間に友達があったことはない。
友達が欲しい。とは言っても言うほどに簡単ではないことはすでに俺が証明してしまった。どうして私には友達ができないのかと思うのにもそろそろ飽きていないこともないのだが、一人でいいから欲しいものだ。
「ピンポーン」
おやおや誰か来たらしい。もしかしたら大家さんが家賃の徴収に来たのかもしれない。今月きついから滞納しちゃおうと思っていたのを読まれたのかもしれない。だがしかし俺を誰だと思っているんだ。エアーだぜ、エアー。エアー入間。・・・。よし、大家が帰った。俺の勝ちー。たまには役に立つよなー。ただ、空気人間とか呼んでるやつらマジ許さんからな。あいつらの葬式とか絶対に行ってなんかあげないんだかんね。黙とうぐらいはするけど・・・。
「ピンポーン」
誰だよ今度はと確認してもいない。さてはピンポンダッシュだな。遊んでほしいようだが遊んでなんかあげないんだからね。別に誘拐犯と思われて通報されるのなんて怖くなんてねえし。おやじに怒られるのが怖いだけだし。本当は遊んでほしいんだからね。
「ピンポーン」
今度こそ本当に誰だよ。
「どちらさまでしょうか」
「エアー入れてくれよ俺だ佐藤」
「どこの佐藤だよ、佐藤とか多すぎんだろ。改名しろ改名、伯方とか塩に」
「佐藤ちがうジャンもはや・・・。ていうか早く入れてよー、外寒いから」
「入れてやりたいのは山々だがどこの馬の骨とも知らねえ佐藤さんを入れておいてそのまま犯されるほどお人よしじゃないんでね」
「犯さねえよ、普通に遊びに来ただけだし・・・」
「私とのことは全部遊びだったのね」
「いや全部も何もないよね」
「そうやってしらばっくれる、おとこってみんなそう。だから望まれない子が生まれるのよ」
「あのさーもうそろそろいいかなー。とりあえず中に入れてマジで凍えて死にそう」
「人にものを頼むのに・・・」
「どうか中に入れてください。お願いいたします」
「どうぞお入りください」
「こたつだぁーしかも掘り炬燵だぁー。うーんいいですね温かくて」
「俺の懐は寒いがな」
「いまなんて?しかし掘り炬燵付の物件とは珍しいですね」
「いやなんだ俺が作ったからな」
「えっ」
「おっ」
「まずくないですか」
「きっ、まずいなんてもんじゃないかなりまずいから、この通り」
「帰ります」
「そこをなんとか」
「どいてください」
「そんなに急いで・・・、おれのことが嫌いなのか」
「ピンポーン」
「そんなのねえよー、そんなのねえよ、そなのねえー」
と、夕焼けの空に彼の姿を探したが見つかったのは彼の走る去る姿とみかんの消失だけだった。被害届は出さないでおこう。
これがいわゆるピンポンダッシュである。
少し頑張って自分としては長めの作品に挑戦してみました。正直言って疲れはしませんで楽しいままにできたと思います。今後もたまにはやっていきたいと思います。




