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最終話 小さな翼

そして今日は『万聖節』。


万聖節は、カリエンテ修道院においても、とても重要な日だ。

先人の御霊に祈りを捧げて……自らの生に感謝し、さらには未来への希望その思いを新たにする。

いま頃は、聖歌隊が荘厳な讃美歌を歌い上げていることだろう。


昨夜の儀式での、アレッタと父母との対面。

アレッタは秘めていた感情をあらわにして、凍りついた心も融けて。

止まっていた時は動き出して……。


アレッタは声を取り戻した。


父母の姿を降臨させたのがきっかけではあったが……それは立ち直る時期を早めたに過ぎなかったのかも知れない。

アレッタには、リディアやマリセア……優しく暖かな修道院のみながついていたのだから。


だがおかげで僕は、アレッタの咲き誇るかのような感謝の笑顔を授かることができたのだから……今回の魔法の見返りとしては十分過ぎるだろう。


本日の聖歌隊、その讃美歌には、リディアもアレッタも参加しているはずだ。


アレッタの担当はやはりハンドベルだそうだが……その可憐な歌声を聴くのも、そう遠い未来のことではないと思う。




そして僕は、新たな旅路に乗り出していた。


歩きすがらに。懐から、例の便箋――もとい紙飛行機――を取り出して。

飛行機の折り目を若干調整してから。

秋晴れの空……青く澄んでどこまでも高い空に。

アレッタ直伝の投法で――紙飛行機を繰り出した!


紙飛行機は、青空に吸い込まれるように空を舞って。

僕のほうには戻ってこない!――宛先はあらかじめ塗り潰してある!


上空の風を捉えたのか……白い点のように見えていたそれはやがて……見えなくなった。


紙飛行機は、どこまでも、どこまでも、飛んでいくことだろう。

それは『小さな翼』を手に入れた『アレッタ』も同じことだ。


どこに飛ぶのかは、まだ分からない。

でも、その翼があれば、どこにだって飛んでいける。


きっと。


-Fin-

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