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創作力、磨いていこうの会  作者: 茎乃ハル
感情を解剖する
9/10

『緊張』から、冷静さを取り戻すには

試験や試合、面接、スピーチなどの場面で、『緊張』のあまり息が上がったり、冷や汗をかいたり、あるいは頭が真っ白になって、思うようにいかなかった。

そんな経験を持つ人は、多いのではないでしょうか。


創作においても、

人物が『緊張』している場面を描写することはよくあります。


しかし、本人に「緊張している」と自覚させ、

そこから冷静さを取り戻そうとさせる描写には、細心の注意が必要です。


なぜなら、強い緊張状態では、感情を増幅させる脳の働きが活性化する一方で、状況を冷静に分析する機能が抑えられてしまうからです。

言い換えれば、IQが下がっている状態に近い。


そのため、人物の内面で「緊張している」と語らせるのではなく、

視線の動き、耳に入る音、匂い、皮膚感覚といった五感を通して状況を描くほうが効果的です。


そして、それらを一歩引いた位置から捉える視点が入ったとき、人物が緊張を俯瞰できるようになり、冷静さを取り戻したことが自然に伝わります。


では、なぜ「自分は緊張している」「パニックになってはいけない」

といった自覚的な言葉を使ってはいけないのでしょうか。


多くの場合、そうした言葉を意識に上げた瞬間、

脳は「落ち着こうとしている自分」ではなく、パニックに陥っている自分の映像を先に思い浮かべてしまいます。


その結果『緊張』はかえって増幅され、先ほど述べたように冷静さは失われていきます。

人物に『緊張』という言葉を、言霊のようにつぶやかせ続けるとき、

読者に伝わるのは理性ではなく、《《混乱》》です。


だからこそ、

『緊張』は語らせるものではなく、行動と感覚で、滲ませるものなのです。


では、

状況を冷静に分析する機能が抑えられている『緊張』状態から、どのようにして冷静さを取り戻せばよいのでしょうか。


**一歩引いた位置から捉える視点が入ったとき、

人物は自らの緊張を俯瞰できるようになり、冷静さを取り戻す**


——言葉にすれば簡単ですが、

それが即座にできるのなら、『緊張』に悩む人は存在しません。

試験でも試合でも、人は常に自己ベストを更新し続けているはずだからです。


今回は、

「緊張から、冷静さを取り戻すには」というテーマのもと、


『緊張』を解剖していきます。



☑️アウェイで能力を発揮できなくなる理由


スポーツの世界ではよく、「ホーム」「アウェイ」といった言葉が使われます。野球でもサッカーでも、ホームとアウェイでは、試合結果に差が生じがちですが、そこにも『緊張』の度合いが大きく関係しています。


「ホーム」の場合、

居心地の良い空間。普段から練習しているグラウンド。

身体も感覚も、自然と動く状態。

選手たちは慣れている環境なので、『緊張』することなく、のびのびと試合をすることができる。


「アウェイ」の場合、

グラウンドまでの道のりには見慣れない建物が並び、到着しても芝生の状態はホームとは違う。応援席には敵側の観客が多く、音や視線も普段とは異なる。

選手たちにとって不慣れな環境なので、『緊張』でIQが下がり、身体もかたくなり、いつも通りのプレーができない。


★『緊張』の度合いを埋める方法


では、「アウェイ」でも「ホーム」と同じように、

リラックスして能力を発揮するにはどうすればよいのでしょうか。


答えはシンプルです。

「アウェイ」を、自分にとっての「ホーム」(居心地の良い場所)にしてしまうことです。環境そのものを変えることはできなくても、環境の捉え方は変えられます。


これはスポーツに限った話ではありません。

試験や面接、スピーチなど、人が『緊張』しやすいあらゆる場面に当てはまります。


そして、創作においても同様です。

登場人物に『緊張』する局面を、どのように乗り越えさせるのか。


「アウェイ」に置かれ、『緊張』と向き合う場面で力を発揮させるためには、

その空間を「ホーム」に変えてしまうだけの準備、

あるいは「自分は達成できる」という自己評価の高さを、

物語の中に組み込んでおく必要があります。


登場人物にとっての「ホーム」と「アウェイ」を、ぜひ考えてみてください。


重要なことなのでもう一度言います。

もしその人物に、熟練や老獪さ、強い自負といった資質を与えるのであれば、

それに見合うだけの準備や※経験、

そして「自分は達成できる」という高い自己能力の自己評価を備えた人格を、

作者はあらかじめ用意しておきましょう。


※ただし、経験に依存しすぎることには危うさも潜んでいます。


それでは次回、

・「アウェイ」を「ホーム」に変えるために必要な準備とは何か。

・目的達成における高い自己能力の自己評価とは何か。

・経験によって「アウェイ」を「ホーム」に変えることがなぜ危険なのか。


この三つについて、順に説明していきます。

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