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なつやすみ。

なつがきた。

 ミーンミーン


 穂花は茶色の土の上に裸足で立った。


 ミーンミーン


 お天道様が穂花をぎらぎらと見つめる。


 ミーンミーン


 穂花も負けてはいられない。


 ミーンミーン


 ぎらぎら。お天道様はさっきからずっと変わらない。


 ミーンミーン

 

 穂花はふんばる。


 ミーンミーン


 蝉、うるさいよ。こっちは真剣なんだ。


 


 「おぅい!穂花なにやっちょる!」

 静かな戦いを終わらせたのはおじいちゃんの声だった。

 「そんなところにおったら熱中症になるべ」

 でも穂花は絶対に動いたりなんてしない。大事な勝負の真っ最中なのだから。


 「おうい、穂花ぁ」


 さっきよりも大きいおじいちゃんの声。


 動くものか。今は大事な喧嘩中なんだ。


 「穂花!いいかげんにしぃ!熱中症になるべ!」


 おじいちゃんの大きなどなり声。穂花は耐え切れなくなって、

 「おじいちゃん邪魔しないで!」

 と叫んだ。おじいちゃんはあきれ顔。

 「まったく…あんたはなにやっちょる。」

 「お天道様と喧嘩してるの!だから邪魔しないで!」

 「お天道様と喧嘩ぁ?」おじいちゃんは苦虫を噛み潰したような顔になった。するとげらげら笑い出して、

 「なーに日の神様と張り合っとんねん!日の神様は今忙しいけぇ、邪魔しんとき。」

 と言ってまた笑った。白い歯。穂花はそう思った。

 

 穂花が戻ってくるとおじいちゃんはスイカを切ってくれた。穂花は思いっきりスイカに噛み付く。

 しゃりっ。しゃりっ。

爽やかな音が響く。つめたい。あまい。おじいちゃんのつくるスイカは世界一だ。

おじいちゃんは冷えたタオルを持ってきた。けんかしている時は気づかなかったが穂花の顔には大粒の汗がお天道様の光に照らされ、きらきらと輝いている。穂花は思いっきりつめたいタオルに顔をつけた。

 いいきもち。

タオルの冷たさが一気に伝わる。おじいちゃんも隣で汗をふいていた。

「穂花、一緒に清妖川の畑行かんか。」

「行く!」

清妖川はひとつ山を越えたところにある川。ひとつ山を越えるといっても車で10分くらいの距離にある。穂花はあの川が大好きだ。川の水は透明で、のぞけばあゆやめだか、水草たちが顔を覗かせる。つめたい水とたくさんの木々のおかげで夏でもぜんぜん暑くない。そんな川の近くにある畑ではかぶや青しそ、にらを育てている。どれも世界一の美味しさを誇ると穂花はおもっている。

「八百万の神様のおかげじゃけぇ。」

おじいちゃんは口ぐせのように毎日そう言っている。



 あの畑が見えてきた。

穂花は急いで長ぐつに履き替えた。昨日、おじいちゃんに買ってもらったものだ。ピンクの長ぐつ。赤かぶみたいな色。

「そろそろ食べごろじゃのぉ。よし穂花!収穫するか!」

そう言っておじいちゃんはかぶをひっこ抜き始めた。穂花も同じようにかぶをひっこ抜く。

 おっきなかぶ。どろんこだ。


「そういやぁ穂花。この川の伝説ってしっちょるか?」

おじいちゃんが手を動かしながらそう言ってきた。

「知らない。」

穂花も手を動かしながらそう返した。

「じゃあ今教えたる。」


「これはある妖の話じゃ。」



 ある村に一匹の狐の妖怪がおりました。狐の妖怪は悪戯好きでよく人を化かしておりました。しかし人々はこの狐の妖怪を恨むことはしませんでした。それどころか狐の妖怪を可愛がり、悪戯を大目に見てやっておりました。ある日、村は干害に見舞われました。そのとき立ち上がったのは狐の妖怪でした。狐の妖怪はなんだかんだこの村と人々を愛しておりましたので、今までの恩返しを含めて力を使いました。するとたちまち綺麗な川があらわれ、乾いた土地をうるおしました。しかし、それ以降狐の妖怪が姿を現すことはありませんでした。村の人々は悲しむのとともに、その功績を褒め称え、愛情を込めて狐の妖怪を祀る神社をつくりました…



「それがあの神社じゃ。」

おじいちゃんが指を指した。そこには古い小さな神社があった。鳥居は色がはげてところどころに苔が生えている。お堂もすっかり緑色。誰もよりつかなさそうだな、と穂花は思った。

「穂花にはあの神社の掃除を頼みたい。」

びっくりした。驚かない方が無理だと思う。そんな穂花の心を読んだかのように

「儂は村のほうの神社と山奥の祠を掃除しとる。さすがにこの年になると毎日三つとも掃除するのは限界になってくる。じゃから穂花、お願いできるか。」

どう答えようか。確かにここは大好きだけど神社は薄気味悪い。ましてや毎日するなんて。

けどおじいちゃんの期待の眼差しには負けた。

「いいよ。」


 おじいちゃんは簡単な掃除の仕方を教えてくれた。

「清妖川の水じゃないとあかん。洗剤は使わずに水だけで洗うんじゃ。」

それが伝統的な洗い方だ、とおじいちゃんは言った。試しに洗ってみる。

 ごしごし。ごしごし。

緑が簡単に落ちる。みるみる落ちる。面白い。

「わかったか。穂花。じいちゃんはもう行くで。頑張れよ。」

そう言っておじいちゃんはわしゃわしゃと穂花の頭を撫でた。


 行ってしまった。どうしよう。

とりあえず汚れが目立つとを洗おうか。

穂花は水の入った桶と布を持って神社と向き合った。

初投稿です。文才が本当にない。ゴメンネ

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― 新着の感想 ―
お天道様が穂花をぎらぎらと見つめる これめっちゃ好きです あと、あらすじの夏が来たを、2回繰り返すのも良いなと思いました
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