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『トールは【教会の護珠】をてにいれた!』

リオレの祭祀教会は街の中心部から少し西に行ったところにある。

街の中央を東西に走る街道に面しており、古い旧市街のほぼど真ん中だ。

かなりの歴史と由緒がある古い教会だね。


このリオレという街は、西側を流れる大河リオレウスから治水河川を引く過程でできあがってきた街だ。

なので西の運河に面したあたりが最も古い旧市街。

そこから時代とともに東へ東へと大きく発展していったというわけ。

つまりこの祭祀教の教会は、リオレという街の成り立ちから、ずっとここにあったものなんだな。


生粋のリオレっ子は、生まれた時にこの教会で祝福を受けて、死んだ時はこの教会で弔われる。

リオレという街にとっては、下手すると領主館なんかよりも象徴的なものが、この教会なのかもしれない。


そんな教会の礼拝堂は、昼も過ぎたこの時間には訪れる信徒もまばらで、落ち着いた雰囲気だ。

ちなみにこの祭祀教。

この国では一番、というかヒト種にはもっとも広まっている宗教。

信仰してないのは、魔族くらい。


とはいえ、そんなにガチガチの教義で固まってる訳でなく、どちらかと言えば修道士が自らの修行のために祈り説く宗教という印象だ。

この世界の為には、まずヒトを安らかにしよう。

その行いは必ずやヒトをさらなる高みへと上げ、それがさらなる世界の安寧につながる。


たしか、そんな感じの宗教だ。

多神教でもあるので、なんとなく小乗仏教に近いかな。


なので、修道士であると同時に冒険者でもある、なんていうのも、稀にいる。

ウィオラさんなんかは、全く冒険者向きではないくらいのステータスだが中にはムキムキ筋肉ダルマの肉弾坊主みたいなのもいて、なかなかにハードな側面も併せて持っているね。

その昔は教会の勢力を護るための僧兵なんていう組織も持っていたそうだ。

もちろん、今ではそんな物騒なものはなくなっていると、されている。

まあでも、それなりの組織でもあるんだから、荒事専門の組織くらいは、抱えてて当たり前なんじゃないかな。知らんけど。


そんな祭祀教の教会の、礼拝堂を抜けてその奥。

人が四人も入れば満員という小部屋でトールはウィオラと二人向かいあって座っていた。

窓すらないうす暗い部屋で巨乳修道女と二人きりなんて、トールさん緊張しちゃうよ。


二人の間の立ち机には岩を四角く削り出したような真っ黒くて重そうな魔道具が備え付けられていた。


これ、あれか。 鑑定板てやつか。

板にしては分厚いというか、、アレだ電子レンジみたいだな。。

焼く蒸す茹でる、なんでもできるちょっとお高い高級なやつ。

目立つボタンとかツマミもないから、ホントにタッチパネルのお高いやつみたい。


「 さーー、ではでは、いーーきますよぉーーー」


修道服の袖を捲って、ウィオラさんが気合いをいれる。

うで、ほっそっっ。

さすが体力E−。。

スレンダー巨乳とか、属性マシマシだなおい。

トールさん、そういうの好きぃ。


「痛くないですからねー、はーい深呼吸ぅーーー」


これ、教会定番のボケな。

トール記憶にもあるわ。


程なく電子レンジ、もとい鑑定板が低く振動しはじめて、ぼうっと淡い光につつまれた。

【ヒール】とかでよく見る魔素の反応光と同じだけど、蛍の光みたいにか細くて揺らぐ微かな光だ。


実際なんだろ、なんか視線みたいなのは感じるけど、痛くも痒くもないね。

と、そんな電子レンジが頑張ってる向こうでウィオラさんも両手でがっしりと角を持って、むむむむって頑張ってる。


いやこれ魔道具だから起動しちゃえば使用者はなんにもしないでいいはずだよね。

もー、かわいいなあ。なんだこの動物。


チーーーン。


ほとんど電子レンジまんまな音にガクッとしていると、わずかの時間差で、その電子レンジの天面に白く文字の羅列が浮かび上がる。



☆トール・エアリス

☆種族 ヒューマン(男)20才

☆職業 冒険者(ランクC)

☆加護 運命神の加護

☆所持スキル 【両手剣】



思ったとおり、これまた【ステータス確認】より淡白な鑑定結果だな。

細かいステータス値とかは出ないんだな。

スキルの【鑑定】もそうだけど、あまり性能的に高くはない感じだな。

トール記憶にも体力値や魔力値なんかのステータス値という概念が無いっぽいから、この世界にはそんなRPGみたいなもんは無いのかもしれない。

なら、これでいいのか。


本来なら五個もあるスキルもひとつだけの表示だし、加護も、、あれ?【導き】じゃなくて【加護】になってるな。

なにか違うのかな?


「ほら、やっぱりーーー。 運命神様のご加護がついてますよーー」


ウィオラは文字を指差して、まるで自分の事のように嬉しそうに言った。

うんうん、ウィオラさんが頑張ってくれたおかげだねーー。


てか運命神、て有名な神さまなんかね?

まんま不真面目系事務員みたいやったで??


「その、運命神さまって、俺よく知らんのだけど?」


うん、トール記憶にもなかった。

トール氏もそんなに勉強家とかってわけじゃなかったようだから、知らないことなんてたくさんあっただろうけども、少なくともこの世界の一般的な常識は持っていただろうし。

と、なればそんなにメジャーな神様ではないのだろうな。


「んーー、確かに祭祀教の主要な神様方ではありませんがーー、古い祭祀記にもちゃんと出ておられる一柱ですよーーー」


あ、そーなんや。

アレが、ねえ。


「たしかーー、古えの勇者様を導かれたのがーーー、運命神様だったとかの記述があったかと、思いますーーー 」


はい、でた。 勇者キタ。


「ほら、あのーー、お伽噺の勇者譚ですよーー」


お伽噺とかトールさん知らんし。

勇者ごっことかしたことないもんなーー。

てか、この世界。

魔王は居るけど、世界征服を企むとかそんなんでなくて、ただの魔族種の国【魔凰国】を束ねる国王が魔王だからな。

いちおうヒューマン種のこの国の敵性国家ということにはなってるけど、実際に戦争なんかしてたのは遥かに昔の話だ。

それも魔王VS勇者の一騎打ちなんてものじゃなくて、軍隊と軍隊が対峙してその結果で高度な政治的駆け引きを、みたいな割と現実的な戦争だ。


少年マンガによくある、仲間を集めて四天王を倒して〜みたいなココロ踊るバトルなんてのは、ないんやよ。


では、勇者とは?

これは祭祀教的にはおそらくそういう説話で広く民衆の耳目を集めて教義を広めよう、みたいなもんじゃないかな、とトール記憶にはある。

どうやら本当に実在した人物ではないみたいだな。


「王都往復の護衛依頼してただけなんだけどなあ」


「まー、加護はどんなタイミングでつくのかー、とかは神学者の間でもまだ解明されてないですからねーー」


なるほどねー。


「この加護と、導きって何が違うの?」


この際だから聞いてみるか。

確かリオレに唯一居るS級冒険者も、【ナントカの導き】を持ってるはず。


「よくご存知ですねーーー。 簡単に言えばー。加護の上位に導きがあるーー、ということのようですーーーー。」


フンスと鼻を鳴らしながら胸を張る。

ぽよよよよん、とご立派なモノも、はっちゃけてるね。うん、眼福。

聞いてよかった。


「でも、加護や導きをお持ちの方はー、教会の庇護を受けられますので冒険者の方には良いことですよーー」


それな。

それはギルドの講習でも聞いたことがある。

【ヒール】や【キュア】【ディスペル】などの教会特有のスキルによる治療は本来一定額以上の喜捨が必要とされるのだが、加護持ちであれば無償でそれらの治療が受けられるという制度があるのだ。

あと、教会が作る各種ポーションも、冒険者ギルドを通してではあるが、格安で購入できる。

武具の補修コストと並んで大きなコストのポーション類が安くなるのは、収支に直結するからな。


加護持ちとは教会にとってみれば、自分たちが信仰する神々にある意味認められた存在なんだから、大切にするよって訳だ。


「とーいうわけでー、はい、こちらどうぞーー」




『トールは【教会の護珠】をてにいれた!』











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