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はずれスキルか?

【運河の畔亭】は、規模は小さいながらリオレでは比較的古くからある宿屋だ。

一階が昼夜は食堂で、二階から上階が宿の個室だ。

冒険者や商隊の商人などが利用客の大半を占める大衆向けの宿屋である。


そんな宿屋の長女として生まれた彼女。

リーズはこの世界ではお年頃の15歳。そろそろ色恋も経験しようかという頃である。

とはいえ平凡な宿屋の娘に、胸躍るような出会いもときめくようなロマンスもあるわけがなく毎日を忙しい家業に絶賛捧げ中でも、ある。


そんな彼女にも、当然意中の異性がいる。

もう何年も【運河の畔亭】を定宿にしている冒険者のトールだ。

ガサツで荒っぽい印象の冒険者にしては人当たりが柔らかく面倒見もいい兄貴のような存在だったトール。

身近な存在であり、程よく歳上で経済的にも自立した、世間の荒波、、というかかなりな危険な目にもあっているであろう中堅クラスの冒険者。

それが恋愛の対象になるのは、まあ必然とも言えるかもしれない。


で、二人はめでたく、、とはならず未だにリーズは想いを告げることができずにいた。


アプローチは、彼女なりに努力はしている。

【弟をダシに相談にのってもらってそこから作戦】はそれなりに上手くいったかに思われたのだが、当のトールにしてみればそれはただの微笑ましい姉弟愛に過ぎない。

そこから恋愛に発展などするわけがないのだが、それがわからない程には彼女の経験値は貧弱なものなのであった。

恋する乙女の脳は、どこの世界でもお花畑なのだ。


まあそんな訳で、今日もとばっちりは弟のアビイに向かうのだ。


「あんた昼前準備で忙しいんだから、のんびりお茶なんて飲んでんじゃないわよっ」


歳の離れた弟のやること殆どが気に入らないのは、異世界でも同じなのだろうか。

厨房にダラダラと戻ってきたアビイの顔を見るなり、いきなりの口撃である。


「なんだよー、おれはこれから部屋の掃除担当なんだから、食堂関係ねーじゃんかー」


これは正論。

朝のパン焼きと朝食準備が終われば、アビイの仕事は夕方までに客室の清掃である。

その合間にひと息入れていただけのことだ。

彼女とは職域というものが違うのである。


アビイは子供ではあるが、ちゃんと理解していた。

姉のコレは単なる八つ当たりなんだ、と。

この歳で独り立ちを考え始めているある意味スレた子供であるアビイは、知っているのだ。

恋するメスは、周りにとっては理不尽極まる存在なのだ。

触れてはいけないのである。


彼は背後でプリプリしている姉というメスを放置して、さっさと我が職域へと避難していくのだった。






とりあえず喫緊の課題としての優先度をギルドからの呼び出しと判断したトールは、昼前の混雑する市場を避けて裏路地を歩いていた。

遠回りにはなるが、たいした距離でもない。

道すがら思案を巡らすのもできるしね。


けっして面倒そうなリーズを避けているわけじゃあ、ない。

うん、ない。


ちなみに【異世界知識】を【ステータス確認】してみたところ、、


☆【異世界知識】

☆等級 SS+++

☆LV ???

☆ラノベでよく見るご都合現象を統合したスキル

異世界知識を使ってチートで稼げるスキルじゃないからね♫


、、コレあの事務員神が書いてね?

あいつ何か雰囲気がオタク野郎の後輩に似てんだよなあ。。


てかスキルって統合とかすんのね。

そこら辺もトール氏の記憶にないってことは、この世界では異常なことなんかな?

トール氏の記憶と住田透の記憶と、2つがごっちゃにならずに共存してる今の俺は、このスキルのおかげなのだろうか?


そんな感じで目に入るモノや者、どんどんと【ステータス確認】していくトール。

見て、強めに意識すると出てくる半透明なボードには、対象物の名前と等級、簡単な説明が出てくる。

魔力がどんなものかよくわからないのだが、これによってそれが消費されているような感覚も、ない。


ホントにこれ【鑑定】やんか。

何が違うんかな。

まあ、いきなりこの世界に放り込まれた俺にとっては有難いスキルではあるけどさ。


ご都合主義万歳。


ちなみに【ステータス確認】を【ステータス確認】はできなかった。

これが一番の謎スキルなんだけどな。。



トール記憶に導かれて難なく裏路地を繋いでギルドを目指してあるく。

異世界物テンプレなら、そろそろ人相の悪そうなチンピラ共に絡まれても不思議ではないのだが、今のところそんな気配なし。

このリオレというある意味ごった煮のような商業都市には、相応のそういった暗部や闇のような部分もあるのは知っているのだが、真っ昼間からそういった輩がウロウロできるほど治安が荒れているわけでもないのも知っていた。


トール記憶万歳。


いや本当にトール氏どこ行っちゃったのさ。

教えて【ステータス確認】。


、、、目に映らないモノには反応しないのね。。

トール氏、心配だなあ。

あの事務員神に会える機会があれば絶対に聞いておきたいよな、住田透の精神衛生上はさ。

俺、他人の人生乗っ取ってる訳じゃないよね?



で、この【気化】。

【ステータス確認】してみると、


☆【気化】

☆等級 SSS+++

☆LV 1

☆液体の熱を奪って気体に変える事が可能

え、これってただの自然現象ですよね? 長年この仕事やってるけどこんなスキルあるんですねえ



、、、おい。


お前絶対にあの事務員神だろ。

何だあれか、サポート要員なのか?

これ、お前役場の窓口とかだったら絶対にジジババ共からクレームくるからな?


てか等級。

インフレおこしとるやん。

なんやの、SSS+++てさ。

世界獲れるクラスなんちゃうの?

絶対にこれ、最高等級やろ。


の、、割には効果がショボい、というか、、ホントにただの自然現象だし。

等級は、ただのレア度ってことかな?

それともLVが低いから、ショボいのか。うーん。


ま、ハズれスキルかね。



液体の、というとおり固体にスキルを意識しても何も起こらない。

溜まった水溜りには効果はあるようで、みるみる干上がっていくのは楽しい。

が、それだけだ。


何かの役にたつか?コレ。。

洗濯物が早く乾く?とか干物が作れるとか、。。

うん、ないな。

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― 新着の感想 ―
「気化」やりようによっちゃ、簡単に殺せますよね。
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