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魔凰女ステリア

破界の魔王。

かつてヒト族をして最も怖れられた魔王。

数百年前の大戦で魔王領を現在の版図まで拡げたかの魔王に、ヒト族は【破界】の二つ名をつけたのだった。


まあ確かに【破界の魔王】ってのは、トール記憶にもしっかりとあったな。

なかば伝説級の魔王だな。


「 、それがこの【魔凰女ステリア】?」


短剣を手に取ってクルクル回してみる。

やっぱり武器独特の重みがないなあ、コレ。


「たわけっ! もっと丁重に扱わんかっ」


慌ててオルバさんが風を紡いで優しく短剣を包んで机に戻す。

器用だなーー。

さすがスキル【魔導師】。

一応かいつまんで、このナイフを手に入れた経緯は話してある。

オルバさんが言うには、この元魔王のステリアってのはかなり自由奔放なタイプなようで、戦争がひと段落ついたらサッサと退位して旅に出てしまったまま長らく行方不明だったらしい。



☆魔凰女ステリアの魔石(復活中)

☆等級 S−

☆LV ???

☆無念の最期を遂げ、呪いを発動し終え役割を果たした魔王族の魔石

ふふん、ようやく妾の偉大さが理解できたようじゃな。 今からでも遅うないぞ、跪いて忠誠を誓うがよいぞえ。



なんだかなー。この小物感しか感じない物言い。

だってコイツ、黒焦げになって死んでた訳だし。

ホントにそんな強い魔族だったのかね?


「莫迦者っ! 無礼を申すなっ  ステリア様は魔導の至極であるぞ! 今代陛下と対等に渡り合える唯一のお方なのだっ」


あー、わかったわかった。

もう300歳の婆ちゃんなんだから、あんまり興奮すると血管切れるぞ?

で?魔導の至極ね。なんかよくわからんけど、凄そうなのは伝わってくるな。


でもじゃあなんでそんな凄いのが魔凰国から遠く離れたこんなトコで真っ暗焦げにされなきゃならんのよ?


「おそらくは、不意打ちであろうが、、おぬしの話によるとかなりの高熱で焼かれていたのであろう?」


オルバさん、無念そうだな。

このステリアって魔王は国民からの支持が厚かったのかも知れないなあ。

まあ、なんか憎めない感じのトコあるもんなー。


「ステリア様の耐性を貫通するほどの火力となれば、間違いなく四魔将であろうな。。」


はい、四天王キターーーーッ。

やっぱり魔王には四天王だよねっ。

さすが【オクリビト】。 抜かりはないわ。


つまりはコレなに。暗殺されたってこと?

自分を脅かす存在の激ツヨ先々代魔王なんて、そりゃとっとと殺しとくに限るもんな。


「 や、いや。 今代陛下はそのような方ではない。 まずは四魔将の独断を疑うべきであろう」


あ。そーなの。まあ、知らんけど。



☆魔凰女ステリアの魔石(復活中)

☆等級 S−

☆LV ???

☆無念の最期を遂げ、呪いを発動し終え役割を果たした魔王族の魔石

妾を焼いたあの小僧かえ? まあ確かに強烈な焔ではあったがのう。 顔も名も知らぬが、おそらくは妾の【砕魂】で塵一つ残さず消えておろうな。



 ・・だそうだよ?

てか面倒くせえな、コレ。

なんとかこのウィンドウ、他人に見せるようにできんのかな。


「 ・・・・小僧呼び。。 ではおそらくは焔将ガルニア殿じゃな。。」



てか物騒な話だよな。。。

なんだよ【砕魂】て。

タマシイ砕いちゃうの?てか砕けるんだ。

やっぱコイツ、ヤバい奴認定だな。


「 というか、おぬし ステリア様のお世話はしっかりと出来ているのであろうな?」


えー、そんな睨まれてもさ。。

コイツすんげえ大喰らいなんだよ?

トールさんの稼ぎ、みんな喰っちまう勢いだし。


「 ぐむむむ、、 確かにステリア様ほどのお方の肉体を再構築する程となると、、、見当もつかぬな。。」


でしょ?

それにさ、コイツ仲間に暗殺されてた訳だよな。

それが復活して国に帰ったりしたら、間違いなく火種にならんかな?


「 しかしその怪しげな空間にステリア様ほどの御方がお一人で御わすなど、、」



☆魔凰女ステリアの魔石(復活中)

☆等級 S−

☆LV ???

☆無念の最期を遂げ、呪いを発動し終え役割を果たした魔王族の魔石

まあ確かに何もない所じゃな。 じゃが此奴の魔素はの、なかなかに居心地が良いものじゃぞ?



・・だってさ。

なんだよ、魔力に居心地とかあるんや。

まあトールさん的にはさ、拾った野良猫を餌付けしてる感覚かなあ。

悪ささえしなきゃ、ちゃんと餌はあげるよ。

・・・なんて言ったらオルバさん激オコだよな。

なんかこの婆さん(見ため熟女だけど)元魔王のステリアっていう魔族のこと敬ってるぽいもんな。

まあそうか、魔族にとってみれば今の魔凰国の礎を築いた英雄だもんなあ。

日本人に例えると昭和天皇みたいなものかな。

そー考えると、何だかちょっと下には置けなくなっちゃうな。


仕舞っとこ。


「ステリア様が構わぬのなら、よいのだが、、 よいか?くれぐれも丁重にお世話するのだぞ!」


ああ、分かったよ。

トールさん頑張るよ。








西門街の道具屋で魔族の婆さんに出会った翌日。

トールさんは【迷いの森】と呼ばれる魔物のポップスポットに向かっていた。

自分で言うのもなんだけど、よく働くよね。


「 まさに利他精進の心でありますな!」


なんて、隣で豪快に笑ってるバトル坊主も一緒にだけどな。

今回は久々の依頼。

といってもウーバイくんが持ってきた教会絡みの採集依頼だけど。


なので同行者はあと二人。

どちらも教会の工房で、ポーションの作製を担っている錬金術師さんである。


ポーションの中でも段違いに効き目の高いハイポーションの主な原料となるいわゆる【魔草】というのは、つまりは街の道端にも生えてる薬草がポップスポットの濃厚な摩素を浴びて変質したものだ。


冒険者が小遣い稼ぎについでに採ってくる事が一般的ではあるのだが、採り方が雑だったり運び方が適切でなかったりで、まあ品質は下がってしまっているらしい。

品質が下がる分、大量の魔草が必要になるため、価格がオニ高くなる訳だな。


そこでウーバイくんが目を付けたのが、トールさんのマジックバッグだ。

 

「なにせトールどののは、時間経過無しでありますからな」


時間経過無しのマジックバッグなど、普通の冒険者が持てるようなものではない。

ごく稀に魔物がドロップしたりするものなんか、貴族や大商人がアホみたいな高値で買い取ってくれる。

まあ普通の冒険者ならふたつ返事で売るくらいの高額な買い取り額だね。


温かい食べ物を野営で食べようとか、ほとんどの冒険者は考えないからな。

トールさんはこだわるけど。

ギルドで売ってるあの激マズ超カタ保存食バーは、可能な限り食いたくない。



つまり今回の依頼は、教会からの指名依頼。

自生地でしっかりと下処理を施した【魔草】を大量に持ち帰る事が目的だな。

帯同の錬金術師も、まさにそのためだ。

採取依頼ではあるけど、どっちかというと採取する人を護衛する依頼といったほうが正確だよな。


もちろん彼らは非戦闘員なので、危険度の高い【小鬼の森】には連れて行けない。

【西の渓谷】にはそもそも薬草が生えてない。

なので比較的危険度が低く、【魔草】の群生地もいくつか確認されている【迷いの森】へと赴いたわけや。



【迷いの森】はゴブリンの【小鬼の森】の南東にある巨大樹の森。

ほらあれ、なんだっけ、メタセコイアだったかな。

それこそ樹齢千年とか超えてそうな太っとい針葉樹の巨木が林立している森で、ポップする魔物はアラクネと呼ばれる蜘蛛の魔物だ。


ギルドの公式記録によると、このアラクネの脅威度はC。

まあ群を作ったゴブリンと同等レベルだな。

ただ、これはあくまで単体での話。

ゴブリンほどではないがアラクネも群れる傾向があり、群の規模によっては脅威度はBにあがる。


粘着性のある糸と、強力な大アゴ、八本の脚で巨木の間を立体機動する人間大の蜘蛛。中には毒を持つ個体も確認されている。


トールさんは別に虫とか苦手じゃないけど、人間大の蜘蛛って、、さすがはファンタジー。

直に見てみたいような、見たくないような。。

ちなみに稀にドロップする【スパイダーシルク】はとても質のよい糸で、細く強度に優れる。らしい。




今回は錬金術師の二人がいるので、移動ペースはかなり遅い。

今日はこのまま【迷いの森】には行かずに、手前のギルドの野営地までの予定。


あ。

【小鬼の森】の時に使った野営地と同じトコな。

明日の朝一番で【迷いの森】に入る算段だ。



もうそろそろ陽が傾き始めようかという頃に、ようやく野営地の櫓が見えてきた。

やっぱり冒険者の身体能力に比べて、一般人のそれは格段に低いな。

これ、トールさんとウーバイくんのふたりだけだったら、昼前には着いてたよ。

常にヒールをかけて回復しても、やっぱり遅い。



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