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先々代の魔王

結局、魔族の婆さんことオルバさんとは日が暮れるまで話してた。

あ、もちろん目的の寝袋とマットはしっかりと手に入れたけどね。

お茶は、、でないよね。うん。



まず、魔族のオルバさんが何故ゆえにヒト族のこの国に身分を隠してまでいるのか?


これは思った以上に単純で、あくまでただの諜報活動らしい。

実は権力争いに負けて、、みたいなややこしい話は一切ない。

まあそりゃまともな対外政策をしている国家であれば、敵国への諜報活動をしないとか、あり得ない話やんな。


基本的にオルバさんはバリバリの戦闘職ではなく、どちらかといえば学者肌のようだ。

魔凰国領を出て諜報活動なんてしているのも、半分は見聞を広めるためのようなものだとか。


リオレに魔族はオルバさんひとり。

あとはどこに何人いるのかなんてことは、当然知らんらしい。

けどまあ常識的に考えて、そりゃアチコチに居るでしょ。

中には血の気の多いのもいるらしい。

、、中には??  おれ、ついさっきオルバさんにも凍らされかけたんだけど。

彼女の言う【中には】の中には、オルバさんは入ってはいないらしい。



ちなみに魔力の根源たる魔素の問題。

魔族は、その身に宿す膨大な魔力を維持しないと様々な体調の不備に見舞われるという。

その魔力の維持に使われるのが、魔素というものらしい。 うーん、酸素みたいなもんかね。


で、その魔素。確かに魔凰国領に比べればこの辺りの王国内は薄いらしいが、規模のデカい広域魔法とかを乱発しなければ問題はないらしい。

魔力が桁違いに多く、その分より多くの魔素を必要とする魔族も、何もしなければさほど困らないらしい。

感覚的には、あれかな。

酸素の薄い高所に行くと高山病になる的なやつ?

オルバさんは、『もう慣れた』そうな。



話しをもどそう。

つまるところ、彼女の諜報活動の内容から察するに、魔族に今すぐこの国に攻め込んでくる予定がある様子でもなさそうだ。

なにせ数年に一回くらいしか情報の伝達をしていないらしいからな。

それも内容的に軍事的なものよりも経済的なもの、文化的なものが主体だ。

まあ、リオレは商業都市だもんなー。。



で、トールさん以外の【オクリビト】。

これが衝撃の新事実。

今代の魔凰国国王、まあつまり魔王だな。

これがオルバさんの知るもう一人の【オクリビト】らしい。

というか、魔凰国では周知の事実みたいだな。


てか、 え、なに この格差。


かたや転生先が魔王。

トールさんは、しがない冒険者。


ちょっと落差が激しいんでないかね?

あの事務員神、歯切れが悪かったのはこの事だったのか?



とはいえ、今代の魔王陛下も最初から王家の血筋ではなかったようだ。

王位に就いたのは、『ほんの』200年ほど前。

それまでの王家を打ち倒して新たな王家を興したっていう話だ。


へー。なんか王道の異世界転生やん。

頑張ったんだなー。


てか魔族って寿命長いのね。

オルバさん曰く、平均で6〜700年ほど生きるらしい。


アールブのキャンデラさんが280歳くらいでそろそろ中年くらいらしいから、まあアールブ並みってトコだね。


ちなみにこの世界では、ドラゴニュートとドワルブが400年くらい。

ヒトが6〜70年。セリアンスロープは4〜50年くらいが平均的な寿命だ。



「 で? つまるところ、アンタは何者なんだい?」


いや、それな。

それ、トールさんも知りたいよ。

おれ、何が原因でこっちに来たのか、こっちで何をすればいいのか、なーんも分からないんだよなあ。


「 まったく、陛下といい、おまえといい、【オクリビト】はとことん掴みどころがないよ」


「いやあ、面目ない」


まあ、なんというかさ。

トールさん昔からそういう適応力みたいなの、恵まれてんだよね。

社内でリストラがあって、全く畑違いの部署に異動になっても、スグ慣れたもんなあ。


今のこの状況だってさ、普通の人なら何とか元の世界に戻る方法は、、とか考えると思うんだよ。

でもトールさんはそのあたりあんまり気にしない。


帰れる時は帰れるし、そうでない時は帰れないし。

だったらとりあえずこの世界を楽しまなきゃね。

最低限、それが可能なだけの力は貰ってるわけだしさ。


まあ当面の目標は、こっちの世界に腰を据える事。

で、落ち着いたらその魔凰国とかも行ってみたいかもしらん。

オルバさんが来てるって事は、コッチからも行けるわけだよな?

いーなあ。よし、行こう。いつか。


「 フン、 まあよいわ。 それより今後の事じゃな」


あー、まあ当然、お互い伏せておきたいトコはしっかりと黙っとくってことでね。

あ、なんか相談にのって欲しい時には、また頼むかも知れないけど、いいかな?


【オクリビト】なんていう言葉はトール記憶になかったものだからな。

おそらく寿命が長い種族に独自に伝わってるような類のもんだよね。


まあ今は別にどうでもいいけど、そのうち情報が必要になる時もあると思うんだよな。

そん時には、また色々と聞いてみたいもんだ。


あ。

キャンデラさん、知らないかな?

今度、聞いてみよ。







トール氏記憶での魔族は、はるか遠くの魔族領に住む種族で、やたらと魔力が強くて多彩な魔法を自在に操る種族。

好戦的で、ヒューマンを含むアールブ、ドワルブ、ドラゴニュート、セリアンスロープなど他のヒト族に対して常に敵対行動をとる、というもの。


魔族がヒト族と仲が悪い理由?

まあこれもオルバさんに聞いた話だから、あくまで魔族側の主張だけど。

まあ神話の類だとすれば、なかなかに興味深いストーリーでは、あるね。


ざっくり言えば、『害された者の復讐』という事らしい。

この辺り、トール氏の記憶には無い話、

ヒト族には、この理由について深掘りするという心理はないみたいだ。

魔族は、とにかく悪い奴だ、って感じ。



はるか昔のその昔。

神々がこの世界を作った時。

様々な生物達の良いところを合わせて作り上げたのがヒト族の起源だった。

それらは次第に特徴ごとにいくつかの種族に分かれて、この世界に馴染んでいったんだそうな。


その中でも特に魔力に優れた種族が、アールブと呼ばれるようになり、ヒト族を束ねる導き手となった。

 

アールブは創造主たる神を崇め、大地を慈しみ、善くこれを統治していった。

ここまでは、まあイイ話だよね。


ところがこの世界に溢れる魔素により、その耐性の低い種族が魔物と化し、そうでない者でも長く生きられないという問題が出てくる。


アールブは考えた。

考えた結果、この世界に魔素が溢れ出す地点を絞り、そこを封印することで魔素の量を調整すればよいということに結論したんだな。


その魔素が溢れ出す地の多くは、彼らによって封されて、現在は『魔素溜まり』と呼ばれる魔物のリポップスポットになった。

【西の渓谷】とか【小鬼の森】みたいなのな。

あんなのはこの国だけじゃなくて、世界中にたくさんある。


だが、そのうちの最も大きい『魔素溜まり』は、どうしても内側に依代をとどめ、封印を維持し続けなければならないことがわかる。


当然、誰もがその役目を嫌がった。

そこでアールブはヒト族の中で最も数が多く環境への適応力に優れたヒューマンの一部を選別し、『最も大きい魔素溜まり』に封印の依代として閉じ込めたのだった。


これにより、この世界の魔素の量は絞られ、それぞれの種族は平和に暮らすことが出来るようになったのだそうな。

めでたしめでたし。。。



・・・・で。


その封印の依代にされた人々ってのが、今の魔族の起源なんだそうだ。

封印を持続させるための術式によって、完全に魔物化せずにヒト種の知性や特徴を残した特異体。

長い時を経て自力で封印を解き、国を興して力を蓄えていく。


それが謂れなく永く閉じ込められた恨みを忘れるわけもなく、ヒト族への、特にアールブへの憎悪となっているというわけだ。





うん。


これ、アールブ悪いヤツやん。

いやまだ魔族側の話しか知らんけど、コレがホントなら、、ねえ。


まあ、オルバさんの話では今代の魔王になってからは、その辺りは少しマイルドな路線になってきているらしく、積極的な攻勢は一切していないようだ。

 

確かにこの100年以上は、魔族との大きな戦争もなく、戦争といえばヒト族の国同士でのいざこざのほうが多いもんな。

トールさんのような一般人にとっては、魔族なんて全く見たこともない存在だ。


あ。あるか。

例の呪物ナイフ。


気になったので【無限収納】からブツを取り出す。



☆魔凰女ステリアの魔石(復活中)

☆等級 S−

☆LV ???

☆無念の最期を遂げ、呪いを発動し終え役割を果たした魔王族の魔石

なんじゃお主?ようやく妾の配下になりたくなったのかえ?



あ。やっぱ、もう仕舞おうかな。

ゴトリと机の上に置いたナイフは、なんとなく前より禍々しい気配が強くなってきてる気がするな。。


「 ん? なんじゃ、そのナ    、、」


あ。 オルバさん、立ち上がってフリーズした。

大丈夫? 呼吸、しような。


「オマエさん、それ  いや、その御方は、、」


ホント大丈夫か? 声掠れてるぞ。

たぶんそんなに覚悟せずに【心眼】でみたんだな。

まあ、落ち着けよ。


「  や、  ああ、うむ。。」


おお、持ち直したな。

さすが300歳。亀の甲より年の功ってね。

まだちょっと震えとるけどさ。

まあ座りなよ、ばあちゃん。


「 誰が、ばあちゃんかっ、!」


なんだよ怒るなよ。

ほらほら落ち着いて、な。


「はあ、 おぬし、そのナイフが何であるかは、知っとるのであろうな??」


そうそう。思い出したから聞いてみようとおもってさ。 魔凰女ステリアって、有名人なのかね?

なんかコイツ、スゴい尊大というか、さ。

偉そうなんだけど。


「 ステリア様はの、 先々代の魔王様じゃ。」





え。 まじ?


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