日本刀やんっ☆
結論から言おう。
ハイリザードマンの素材売却とその情報報酬は、それまでのトール氏の年収を超えた。
☆暴君蜥蜴の魔石
☆等級 A−−
☆LV ―――
☆水の属性を宿す希少価値の高い魔石
☆暴君蜥蜴の毒腺
☆等級 B−
☆LV ―――
☆たてがみや背びれに毒を供給する器官
☆暴君蜥蜴の尾骨
☆等級 B
☆LV ―――
☆尻尾の先端の一際硬い突起骨
まず魔石。
こいつが思ったより良い値がついて、35ソル。
あ。一応全部ソル(金貨)単位な。
ザックリで1ソルが1万円くらいの価値。
だから35ソルで約35まんえん!
で、毒腺が20ソル。
骨が意外と高くて、45ソル。
そして情報料が、なんと200ソル!
トールさんが10分もかからずにちゃちゃっと仕上げた報告書で、200ソル!!
全部合わせて、300ソルだ。
【運河の畔亭】に600泊できる金額だな。
まあ、ウーバイと頭割だから取り分は半分だけどそれでも当分は遊んで暮らせる。遊ばんけど。
これもザックリの感じだが、トール氏の年間総売上が約200〜250ソル。
これから必要経費を引けば利益は幾らほどになるのか分からんけど、今回の【西の渓谷】でかかった経費なんて二人合わせて1ソルもない。
粗利がっぽりの、丸儲けである。うひひ。
ガヤガヤと賑わう夜の酒場【愚者の掃き溜め】のカウンター席。 席といっても脚があって背もたれのあるイスはなく、立ち飲みスタイルだ。
打ち上げを兼ねてウーバイくんと飲みに来てます。
「 しかしいくら何でも等分はありませんぞ?」
しつこいなあ。
パーティー組む時に説明しただろ?
経費も半分、取り分も半分。
分かりやすくてええやないのさ。
予想通りというか、ウーバイはハイリザードマン討伐報酬の受取りにブツブツと文句を垂れている。
自分はハイリザードマンと一合も合わせてないのだから、とか言ってもさ、パーティーでの討伐なんだからそーいうもんなんだよ。
あ。ちなみにウーバイくんはギルドの口座とかないそうだ。 蓄財は教義に反するとか。
いやいや、あんたんトコの偉いさんは、怪しいのいっぱい居りそうやで?
そんな訳で、全部現生で貰って、今はトールさんのなんちゃってマジックバッグに預かってる。
金貨150枚とか、初めて見たわ笑
「 拙僧は教えを乞うておる身。 もう少しトール殿が多く取るべきと思いますぞ?」
あー、うるせ。
ちゃんと冒険者ギルドと教会で交わした契約書にもあるんだから文句言うんじゃないよ。
そんなに要らなきゃ、全部教会にでも寄付しとけ。
「なんだトール。 珍しいツレだな?」
お、。
クラン【民の護り手】のバースくんじゃないか。
今夜もウルヴァリンヘアがキマってるね。
「ああ、バースさんこんばんは。 こちらは祭祀教のウーバイ司教。今臨時でパーティー組んでるんですよ」
有無を言わせず隣に居着いたな。
左に怪僧弁慶、右に狼男ウルヴァリン。
カウンターの中には黒猫姐さん。
なんだ?このカオス笑
なかなかに異世界っぽくてワクワクするね。
「 ご紹介感謝いたしますぞ 拙僧、修道士のウーバイと申します。どうかお見知りおきを」
「お、おお、。 【民の護り手】のバースだ。よろしくな、坊さん」
司祭さま、な。
バチがあたるゾ、バースくん。
「おお! あの【民の護り手】の方とは! 誉れ高きその名は王都まで聞こえておりましたぞ。」
「 お、そーかそーか、 なんだ杯が空いてんじゃねえか 姐さーーん!」
安定のチョロさだな笑
酒場店主のイースさんも苦笑いしてお代わり出してきたぞ?
まあ、君のそゆとこ、トールさん嫌いじゃないけど。
チャコとかバースくんとか。
冒険者は単純なヤツが多くて付き合いやすい。
悪いヤツらではないから、ウーバイくんに引き合わすのも躊躇しないよ?トールさんは。
正直、トールさんは冒険者としては異端だっていう自覚は、あるもんね。
ウーバイくんにも言われたし。
なので、冒険者の何たるかを学びにきてるウーバイくんは、どんどん周りのヤツらを見たほうがいい。
しかし、この前のチャコの乱入時もそうだったけどさ。
ウーバイくん、社交的だよなあ。
秒で仲良くなるもんな。
あ、? 乾杯すんの? 何に??
「「「「 、! かんぱーーい!!」」」」
なんか、後ろのテーブルのドワルブのオッサンまで一緒になって乾杯しとるやん。
ああ、楽しいなあ。
こういう楽しい酒、前の職場ではあんまりなかったよな。
こっちの酒は、ちょっと酸味が強くてのどごしもモッタリしてるけど。
やっぱりお酒は楽しく飲むのが一番だよなあ。
翌日。
【鎚の響き】の工房で、トールさんはマンガみたいな奇声を上げていた。
「ふおおおおおぉおっ!?」
「 !なんじゃい! ヒヒみてえに叫びおって」
だってさ、! コレ、あんたコレっ!!
トールさんの目の前の作業台に、無造作に置かれたソレは紛れもないアレだったんだもんよ。
刀身は細く長く。
やや反りのある片刃で、切先から物打、刃先へとスラリと伸びて妖しく研ぎ澄まされている。
鎬のラインからうっすらと独特の刃紋がのぞき、地鉄の紋様とあわせた工芸品のような美しさを放っている。
茎はむき出し。パッと見て銘も無い。目貫のされていない状態で、鍔も付けられていない。
しっかりと目の詰まった重そうな木の箱に、ソレは鈍く光って収まっていた。
これ、本気もんの日本刀やん!
懐が激アツになったトールさん。
これは市場に還元しとかないとね、ってことでメイン武器を新調しようと思ったんだよ。
トール氏には申し訳ないけど、正直ロングソードの扱いでは、いまいちテンションがあがらんのよね。
で。
ドワルブの冒険者クラン【鎚の響き】の工房で一丁オーダーメイドしたろ、なんて思ってテンション高めでやってきたのさ。
やっぱり、日本人なんだから日本刀!
そんなもん素人に扱えんのかい、て思うでしょ?
トールさんもそう思うよ。
でもね、スキル【両手剣】が【剣使い】に進化したからなっ。
長い修業とか鍛錬とか、すっ飛ばして使えちゃうんよ、コレが。
スキル最高。
ココはさ。もう異世界定番のロマン武器でしょ、って感じでさ。
ココはこうで、コレがアレでとかクランマスターのバッハさんとっ捕まえて熱く語ってたら、
ポンと出てきたのよ。 モノホンが。




