ウーバイ司祭
「もうっ!、しばらくトールさんは【小鬼の森】出禁ですからねっ」
どう見ても小学生にしか見えん合ロリ受付嬢のライアさんが、ぷんすこしとる。
かわええ。
まあ、一言で言えばトールさん、狩りすぎた。
キャンデラさんには既に怒られてるんだけど、コッチもそりゃ怒るよな。。
一般的なソロ冒険者は、1回あたり100を超える魔石は持ち込まないから。
パーティーが持ち込む量だよな。
実は、コロニーの分を入れたら200も超えそうなんだけどさ。
怒られる理由は、危険度が高いから。
100を超える魔物の討伐をこなすのに、普通の武器防具は耐えられないのよ。
普通は、壊れる。
比較的丈夫といわれる両手剣でさえ、ゴブリンを2〜30も斬れば鈍るし刃こぼれもするし、下手すれば折れることだってある。
体力だって無限じゃない。
人間、動けば消耗するし戦闘を重ねれば傷だって受ける。
攻守の入れ替えができないソロではポーションの使用だって厳しいだろう。
討伐中に武器体力の限界が超えてしまった場合、それは死を意味する。
ソロの場合はそのリスクが格段に跳ね上がるわけやね。
ちなみに今、リオレの冒険者ギルド所属のランクD以上で主にソロで活動しているのは、たったの5名だけだ。
トールさん入れても、5名。
トールさん以外はランクBが1人で、あとはみんなランクA以上。みなアホほど強い。人外。ヤバい連中やな。
ランクB以上が一流冒険者。トールさんのランクCは、せいぜい中堅レベル。雑魚ザコやん。
ソロなんてのは駆け出しのEとかFに割り当てられるくらいの依頼でないと、本来なら危なすぎるんだよな。
だからそのクラスの斡旋が無くなるランクCあたりの中途半端なソロが、一番危ういのよ。
「 ・・聞いてますかっ!? トールさん!」
あー、ごめんごめん。聞いてたよ。
心配かけるのはよくないよね、ごめんね。
て、ライアさん年上だったっけ。
どーもこのコとの接し方が小学生相手みたいになっちゃうな。
「ギルドとしても変な実績作られると、困るんですよっ」
いや、ごめんなさいて。。
次からはバレないようにするからさ。
狩りすぎた分は全部、呪物ナイフにくれてやるとしよう。
バレなきゃええねんや。
ソロなら何やってもバレないからねーー。ふひ。
やれやれ。
軽く30分以上はカウンターで公開説教を食らってしまった。
とはいえこれで、当面は暮らせるだけの報酬もゲットできたわけだし。
元エリート営業は、怒られるのなんか慣れっこだしな。やっすいもんや。ふひひ。
「 めーちゃくちゃ怒られてましたねーーー、トールさあーん。」
この間延びした甘い喋りは、巨乳修道女のウィオラさんか。
なんだい、ギルドへ納品かな?
なんだ、変なトコ見られちゃったなぁ。。
「いや、お恥ずかしいトコロを、、って 」
て、お隣にいらっしゃるゴツい殿方は、、どなたでしょうか?
修道服を着てるからには、修道士なんだろうけどトール記憶にもない人だな。。
こんな人、リオレの祭祀教会にいたっけか?
「 あ、コチラは今日からリオレ冒険者ギルド付けで赴任されたジャスレ司祭です。」
あ。
たゆん、とお胸が揺れてて目で追ってたら、トールさんの耳に入ってこなかったよ。。
☆ウーバイ・ジャスレ
☆種族 ヒューマン(男)30才
☆職業 司祭(熟練度A)
☆体力 A++
☆魔力 A
☆耐久 B+
☆敏捷 B
☆知性 A−
☆運勢 A−−
☆加護 地母神の導き
☆所持スキル 【オーバーヒール】
うぇえ、司祭?
神父さまやんか。
まあリオレの祭祀教会のトップは司教だから、その一個下やんな。
普通司祭って、こんな修道服着てるんだっけ?
「 拙僧階位は司祭ですが、冒険者はランクDであります。 今後ともよろしくお願いいたします。ウーバイ・ジャスレと申します。」
丁寧な口調だけど、ゴツいお手々の握手。
よく響く肚から出る声。
この人、、バリバリの僧兵だ。
日頃から重量級の武器を扱ってないと、こんなゴツゴツした皮膚にはならんやろ。
そのうえ立派すぎるこのステータスなら、本来後衛の治癒師なのに十二分に前衛を張れそうな勢いやで。
「あ、これはご丁寧に。 冒険者のトール・エアリスです。 、、ランクDって、ああなるほど」
「ええ、登録したてですね」
特例登録で2クラスアップてやつだな。
この人のステータスでもっと前から冒険者登録してたら今頃はランクAは行ってるはずだもんな。
軍属の兵士が冒険者登録する時なんかも、実績次第でこういった特例登録をすることがあるらしい。
まあ、普通はステータスなんて細かく分からないんだから、よっぽど分かりやすい実績がないと、だけどな。
「ギルド付き、ってことは、本部に?」
「いえいえ拙僧、主に現場に出たいと考えています」
まじか。
なに、教会でなんかマズいことでもしたのかな?
祭司教の司祭なんてそのまま勤めてれば一生食いっぱぐれ無しやもん。。
まさに、この世界のエリート。
ヤクザな冒険者なんて関わらなくても、ましてや魔物なんかとガチンコファイトなんてせんでもいい人達のはずだけどな。。
「 実は拙僧、辺境宣教師志望でして。 しかしながら、、王都育ちのまだまだ弱卒ゆえ、、」
なるほどね、。
国中を教義を説いて回る宣教師か。
辺境を渡り歩くなんて、生半可なサバイバル能力では務まらないか。
確かに鍛えてはいそうだけど、色んな所を旅して回るには総合的な経験値も必要だもんな。
上位ランカーのパーティーには、ほとんどの場合冒険者兼任の修道士がいる。
教えの届きにくい辺境へ旅する宣教師なら、なおのこと冒険者の経験が役に立つしな。
キャンデラさんと同じS級にも1人宣教師兼冒険者のおっさんが居るはず。もちろん会ったことなんかないけど。
てか、このステータスで弱卒とか言われたら、トールさんなんかミジンコ並みやん。。
この人、めっちゃ謙虚なイイ人なのか、権謀術数渦巻く巨大組織で成り上がるために擦れまくった結果なのか、、。
まあ、たぶん後者だな。
なんかそんな雰囲気あるもん。
裏表がしっかりとありそうな感じ。
取り引き先のやり辛いベテランバイヤーを思い出すわ。
今もこちらの細かい仕草とかに意識を向けてきてるからな。
トールさん、キミが探りをいれなきゃならんような相手じゃないと思うんだけどなあ。
何処にでも居る善良な中堅冒険者だよ?
と、そんなやりとりをしていると受付カウンターの向こうから無精ひげのおっさんがやってきた。
☆ケント・タリスマン
☆種族 ヒューマン(男)49才
☆職業 ギルド職員(熟練度A)
☆体力 S−
☆魔力 B
☆耐久 S
☆敏捷 A−
☆知性 A+
☆運勢 C
☆加護 ―――
☆所持スキル 【馬上槍術】
「おー、トール居たか。 間にあった」
如何にもくたびれたサラリーマンといった風体のこのおっさん。
このリオレ冒険者ギルド西門支部の支部長で、前職は王国軍の軍属だ。
戦争で重傷を負って退役して冒険者ギルドにヘッドハンティングされたって噂だな。
あんまり接点もなかったからお互いに顔と名前を知ってる、くらいだったんだよな。
なので今までのイメージは、大口の取引先との太いパイプがある中途採用の上司、くらいな感じだったんだけど、、。
改めてステータス見ると、スゲえな。
めちゃくちゃ強いわ。今まで、ちょっと舐めてた。
【馬上槍術】ってことはあれか、騎兵隊とかだったのか。軍隊の華形職じゃないの?
やっぱ冒険者界隈、そろそろヒト認定外れそうなのばっかりおるな。
俄然、異世界ライフっぽくなってきたよ。
「顔合わせは、、もう済んでるな?」
へぇ?
支部長、、なんで肉弾司祭さまとトールさんの顔を見渡してるのかな?
「お前、明日からジャスレ司祭と組んで依頼受けてもらうから。 こっちでパーティーも申請しといてやったからな。」
へええ?
ドユコト??
『 ウーバイが なかまになった 』




