狩るぜ、ゴブリン
沢沿いの平坦地に広がるゴブリンのコロニー。
結構な面積だ。
流石にコレ全部【気化】させるとかは、無理。
単純に距離の問題で、一番遠くまでスキルを飛ばせるのが液体の気化。
次が個体で、その次が植物。
この辺りまでは目でしっかりと捉えることができればスキルが届く。結構遠くまでイケる。
ところがこれが動物、魔物あたりになると、おおよそ数歩くらいまで近付かないと発動しない。
そんな訳で、今。
トールさんはコロニーの下流側から緑チンパンの群れに、突撃をかましてます。
ロングソードを盾替わりに突っ込んで、捉えるはしから【気化】連発。
時折ヤツラの武器だの爪だのが掠めていくが、まあお構いなしでコロニーの中ほどまで突き進む。
小傷は後でまとめてポーションだ。
何せ【教会の護珠】もちのトールさんは、教会謹製のポーションも仕入れ値で買えるからなっ。
緑チンパンどもは、そら最初こそは半狂乱で襲いかかってきたけど、接近されたら終わりと理解したのか、遠巻きにして投石という攻撃に切り替えてきている。
誰かが指示を出してるというよりかは、別の個体のやり方で効率が良さそうなものを模倣する、といった感じかな。
この辺りの知能レベルも、まあチンパンジーと同じくらいなのかな。
とはいえこの投石攻撃は厄介だ。
石はもちろんだが、そのあたりにあるもん何でも投げてくるし、武器も飛んでくる。
ヤバいのは【気化】しちゃうけど。
ただ、フレンドリーファイヤも多いな。
やっぱゴブリンあほだわ。
動きを止めると投石が集中してくるので、絶対に止まらないように小さな沢沿いを縦横無尽に駆け回った。
うっすい緑の靄に変えられたゴブリンは、腰に差された呪物ナイフが豪快に吸い込んでいく。
時間にしてわずか数分も経っていないうちに、コロニーの中に動くゴブリンの気配は無くなった。
ナイフが吸い取らなかった石や障害物といった無機物の靄がたなびいているが、それも【気化】を解くとそこら中で音を立てて地面に落下していく。
☆魔凰女ステリアの魔石(復活中)
☆等級 S−
☆LV ???
☆無念の最期を遂げ、呪いを発動し終え役割を果たした魔王族の魔石
ゴブリンは、のう、、やはり雑味が強いのう。。
ドラゴンとは言わんが、せめてもう少し純度が欲しいのう。。
あ?
ええねんで? 永遠に封印したろか?
持ち主の好意でやってもらっとんねんで?
立場わかってる??
☆魔凰女ステリアの魔石(復活中)
☆等級 S−
☆LV ???
☆無念の最期を遂げ、呪いを発動し終え役割を果たした魔王族の魔石
も、、もちろん、今は実体も無い妾じゃからな。
じゃが妾が復活の折には、お主の望みは思いのま
うざっ。はい、収納収納。
しばらくお前、残飯整理専門な。
何も動くものが無くなったコロニーを、しばらく歩いて観察する。
無いとは思うけど、討ち漏らしや冒険者の遺品遺骨など無いか、一応チェックはしておくべき。
まあ、ほとんどは木や葉っぱの類で、偶に何処から持ってきたものなのかボロ布があるくらい。
金目のものや価値のあるもの、ソレらしきものなんて全く無さそう。。
まあ、こんな外周部のコロニーだからな。
と。
半分沢の水に浸かった木箱が目にとまった。
規模の大きな商人がキャラバンで使う規格の決まった木箱だ。
この前までの護衛依頼では、コイツらの間で寝てたっけなあ。。
蓋はもちろん開いていたが、中には革製の肩掛けバックがいくつか残っていた。
保存用の革油が臭かったのか、ゴブリンどもには興味がわかなかったようで、随分長い間放置されていたみたいなヨレ具合だ。
いくつかあるが、どれも微妙に作りが違うので量産品というわけではなさそうだけど。。
そのうちのひとつ。
タスキ掛けにかけて使う大きめのボディバッグのようなものを取り出して、ゴミや砂を払って弱めの【気化】をかける。
染み込んでいた水分が少し抜けて、シャッキリとした張りが蘇った。
これ、いいんじゃね?
こん中から出したみたいに【無限収納】でとりだせばマジックバッグっぽく見えるよな。
大きさも程よくて動きも妨げなさそうだし。
試しに背嚢をニュルリと取り出してみる。
あんまり袋の中深くで出すとパンパンに詰まっちゃうからな。タイミングが難しいな。
ちょっと要練習だな。
で、、スキルは、と。
☆【気化】
☆等級 SSS+++
☆LV 8«new»
☆液体・固体・動植物・魔物・ヒトを気体に変える事が可能
わーお、ヤバいのきたね笑
・・・そっと閉じた。。
あかんて。
ヒトは、あかんて。
ソレは超えてはあかん一線やから。。
王下◯武海とかのレベルやん。。
気を取り直して、とりあえずギルドの野営地まで戻ってきた。
最初は毒にも薬にもならん人の良さそうなカオしてた【気化】。
ここにきてその凶悪なぶっ壊れ性が露呈してきた感じだな。
これ、対人戦で使う時は、見た人間は必ず殺す勢いでないと、アカンぽい。
もうすぐ野営地というところで、櫓の上に多くの人の気配を感じる。
話し声からして、冒険者のパーティーだろうか。
【小鬼の森】の依頼を受ければ、ほとんどの場合はこの野営地が拠点となるので、他パーティーと一緒になる事はよくある事だ。
手ぶらじゃ戻れんので【無限収納】からトール氏の背嚢を出して背負う。
おうふ、。
意外というか当然というか、結構肩にズシっとくるなこれ。20㌔くらいあんのかな。。
マジックバッグ的なものがない普通の冒険者って、こんなん背負って何日も歩くのか。
そら、鍛えられるわけだわ。
「 なんだトール、お前もここか。」
櫓の入り口の所で腕を組んでこちらを睨みつけるような顔を向ける男。
スラッと細いがバネのありそうな体躯に、金髪長髪碧眼と、サラサラヘアーから飛び出すほどの長い笹葉状の耳。
☆キャンデラ(真名――――)
☆種族 アールブ(男)281才
☆職業 冒険者(ランクS)
☆体力 A+
☆魔力 A+++
☆耐久 B+
☆敏捷 S−
☆知性 A+
☆運勢 B−
☆加護 精霊樹の護り
☆所持スキル 【剣聖】
はい、エルフきた。
てかエルフて、弓術のイメージだったんだけど。
【剣聖】て。
背中に斜めに掛けた巨大な十字架のような長剣に、猛禽類のような鋭い眼光。ゆったりと長い丈のベージュのロングコートに同色の山高帽子。
棒有名海賊漫画の鷹の目ミ◯ークの色違いみたい。
年齢もそこそこイッてらっしゃるけど、せいぜいトールさんよりちょい上くらいにしか見えないしね。
イケメンご長寿で強キャラとか、如何にも腐女子に受けそうだな。
「相変わらずソロか。感心せんな。」
そーだよねー。あぶないよねー。
トールさん的には別にソロにこだわりはないんだけどさ。
トール氏は、こだわってた、、というか拗らせてたのかな。
とはいえ、この中身入れ替わり&スキルやば増しが少しは片付かないとパーティーは組めんよな。
ん?これフラグだったりする??
とりあえず【無限収納】の偽装は練習あるのみ!
「 キャンデラさんも【小鬼の森】?」
ここはちょっとはぐらかしておくべ。
このエルフ氏、面倒見が良くてすごい善人なんだけど、説教が長いんだよな。
まあ300年近く生きてりゃ、たかだか何十年のヒューマンなんてアホな子供にしか見えないんだろうしなあ。ツッコミどころ満載なんだろ。
いや、いい人なんだよ?
リオレ3大クランのひとつ、【民の護り手】を率いる国内でも5人しかいないS級冒険者だし。
ちなみに若かりしトール氏が冒険者登録した時の試験官と指導員がこのキャンデラさん。
なのでトール氏は頭があがらんのです。
「ああ、クランの新人研修だ。」
「 なるほどー、西側は昨日今日と自分入ったので、明日は東側がいいと思いますよー」
「そうか、どれぐらい狩ったのだ?」
「えーー、っと、、」
あ、。ヤバいなー、これ怒られるかもしらんなあ。
まあ誤魔化しても後でバレるし。。
「 、ざっくり120から130。。。」
・・・めっちゃ、怒られた。
ちーん。




