表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/21

呪物ナイフ(復活中?)

さてさて、やってきました【西の渓谷】。

野営地でぐっすり眠ったトールさん、ヴェロキもどきにリベンジですよ。


野営地は、マジで魔物除け完璧だったなあ。

どーいう仕組みなんだろな。

ぐっすり眠れたけど、何気にマントと敷物が快適だった。

しっかりくるまって寝てたから、虫とかも気にならなかったし。

何度か洗って水分を【気化】かけまくったら匂いもとれたからな。



で、朝も早よから意気込んで来てみたものの、リザードマンは影も形も見えず。。

もう小一時間くらいは、岩場から岩場を探しまくってる。

やっぱトカゲは体温が温かくなるのに時間がかかるのかねえ。。


昨日の夜にも考えてたんだけど、トールさんのエモノのロングソードはツヴァイハンダーほどの重量や長さはないが、日本刀の太刀くらいはある。


まあ、日本刀を実際に持ったことないけど。

でもかっこいいよなあ日本刀。

トールさん、いっとき日本刀とか興味あって、本とか買って読んでたりネットで検索したりもしたなぁ。



ああ、いかんいかん。

閑話休題。


で、このロングソード。

重さは相当に重い。特に剣身は先にいくほど微妙に厚みが増しているし、先端には地面に叩きつけても刃が欠けにくいように細長いハンマーみたいなのも片刃側だけ付いてる。。

斬れ味も鋭そうな刃には見えないな。

どっちかというとナタとか斧に似たような刃だ。

こちらの世界では主に軍の歩兵が装備している。


日本刀のような切り裂くための武器ではなく、重さとパワーでもって叩き斬るといったものか。

トール氏はほとんど無意識で使いこなしてたんだろうな、記憶として使い方のコツみたいなのが見当たらない。

トールさんはそのあたりちゃんと検証して、スキルを自分のモノにしていかないとダメっぽい。



☆【両手剣】

☆等級 B

☆LV 18(new!)

☆両手で剣を扱う時に常時発動

重量軽減(小)・体力補正(大)・体捌き補正(大)・威圧効果・瞬歩



あれ?、レベル上がってる。

昨日のリザードマンかな。


重量軽減(小)と瞬歩ってのがこのロングソードを使いこなすキモだろうな。

瞬歩のスピードと剣の重さで溜めて、インパクト直後の瞬間に片手を入れて斬り口に衝撃を一気に叩き込むイメージだよな。

あれか、薩摩示現流の一撃必殺戦法。

トールさんのは西洋剣のツーハンドだけど、握りは鍔元と柄尻のが相性良さそうな気がする。



で、、、リザードマン。

     、、いた、


小さな枝沢の陽のあたる岩棚に、一匹。

ただ、その少し下流の対岸にも一匹いるんだよな。

岩棚は広くて足場も良さそうだから、上から回り込んで一気に畳みかければ何とかなりそうだけど、下流のがその間にどう動くか。。


ブッシュが程々あって、角度的にも岩棚に乗ると下流のが視野から外れそうなんだよ。

くそ、やっぱ狩りをするケモノだな、位置のとり方に隙が少ない。



しばらく様子を見つつ、それでも岩棚のに奇襲をかけられる位置へと慎重に移動する。

不思議と昨日ほど緊張はしないな。慣れたかな。



静かに腰の剣を抜き、肩に担ぐように構える。

昨日は煩いほどに頭に響いた自分の呼吸が、今は全く聞こえない。

全方位への集中が、深く研ぎ澄まされていく。


その瞬間。

瞬歩によって弾き出された身体に少し遅れるように大きく振りかぶるロングソード。

3歩目を蹴るのと振りかぶったロングソードを解き放つのが連動して、太いトカゲの首元へと殺到する。

両腕に抜けていく切断の確かな手応えのあと、間抜けなくらいにキョトンとしたリザードマンの顔が、音もなく宙に舞うのが視野の端に捉えられた。


空気が抜けるような断末魔の声と、2メートルの巨体が前のめりに倒れる音。


その向こうで下流の方に居た一匹が、ブッシュの中に飛び込むのが見えた。

あれ、逃げたんじゃないな。


十分に視野の遮蔽物となり得るブッシュに囲まれたこの岩棚に、このままとどまれば恰好の的だ。

普通ならば。


【気化】


下流側の目に留まるブッシュを片っ端から【気化】で薄茶色い靄に変えていく。

これ、草刈り最強だな。


数発目の【気化】でもう一匹も靄の向こうに発見。

潜んでいたブッシュが突然消滅して、かなり面食らったようだが、奴はそのままこちら岸へと突撃してくる。


これが普通の獣と、魔物の違いだ。


獣なら、こちらを狙っていたとしても、この段階で逃げるという選択肢をとる。

ところが魔物は、一度その存在を感知したヒト種を決して見逃さない。

というより、見逃せないのか。

本能なんだな。



ひと呼吸の間に岩棚の下まで登ってくる。

2メートル近い巨体が、この速さで迫ってくるのはかなりの恐怖だな。

岩陰に入って一瞬、視界からリザードマンが消えた。


次の瞬間!


あわてて下を覗き込もうと縁に近寄るトールさんの目の前をアホみたいに大きく開かれた乱杭歯の顎がかすめていく。

マジか! 下から優に4メートルはあるぞ。

ひと跳びでジャンプしてくるとか、身が軽いにも程があるだろ。

先に倒して徐々に煙になっていってるリザードマンの向こうで、クルッとステップを踏んでこちらに向き直る2匹目。


しかもこれで高さの優位は、なくなった。

もちろん奇襲による先手必殺も、使えない。

ガチンコのバトル開始だ。


血走った獰猛な瞳をこちらに向けて、クルルるるるるるる、と威嚇するように喉を鳴らす。

霧吹きみたいにプシュッっと鼻から汁を飛ばした。

なんだクシャミか?トカゲ野郎。


柄尻を上に。

剣先を下に。

重さのバランスが剣先にあるロングソードを素早く取り回せる独特の構え。


ジリジリと円をなぞるように回り込むと、それと同じだけリザードマンもステップする。

襲撃衝動が抑えきれないのか、盛んにクルルル威嚇しながら踏み込もうとする。

その度に、じりと剣先を下げて牽制。

トカゲ風情が主導権を取ろうとすんじゃないよ。

オマエの首を落とすタイミングは、トールさんが決めてやるのよ。


リザードマンの攻撃パターンは、後ろ脚と尻尾の溜めからの突撃プラス噛み付きだ。

組み付かれたらあの前脚の鉤爪も加わって厄介だけど、突撃なら顎の噛み付き一択。

動きが大きく的がデカい分、対処は容易い。

さあ、もっと焦れろ焦れろ。


近接戦闘なんてド素人のトールさんが、ここまで冷静で居られるのも、トール記憶の存在が大きい。

何せトール氏の記憶にはうんざりする程の対リザードマン戦が残っているのだから。



最初の立ち位置から半周も動かないところで、尻尾が大きく上がり、後ろ脚が沈む。

次の瞬間、極限まで開かれた不揃いの牙が視界いっぱいに飛び掛かってきた。


剣だけその場に置くように体をスライドさせて沈め、タイミングを測って剣先を斬り上げる動きに体重を載せる。

感覚的には、まるでスローモーション。

これが体捌き補正(大)の効果か?


一直線に飛んでくる噛み付きのサイドへと流れるように躱しつつ、喉元から顎、こめかみに抜けるラインを剣先が通った。

顎の噛み締めを担う頬肉の辺りをざっくりと斬り上げたロングソードのエネルギーは、そのまま100キロ以上ありそうなリザードマンの巨体をもんどり打たせる。

跳ね上げた勢いをそのまま殺さずに鋭く円を描くように次の太刀がヤツの天頂部に振り落され、顔の前半分が吹き飛んだ。


一呼吸での二太刀。


西洋剣術での基本的な型だ。

ある種独特な間合いのとり方と体捌きだけど、スキル【両手剣】による補正とトール氏のこれまでの経験とのおかげで、ごく自然に繰り出せる。


手応えは十分過ぎるほどあるが、倒れ込むリザードマンの脇を抜けて、そのまま一気に距離をとった。

爬虫類の脊髄反射だっけ、あと魔物だし、用心深いのさ、トールさんは。



しばらく腰だめにロングソードを構えて、周囲の気配を探る。

あ、【気化】で環境破壊しちゃったブッシュ。

ちゃんと戻しとかないとな。


て、あれ?

ちょっと密度が薄くなったかな??

気体化して散っちゃうとそれは戻らないとか?

まあ、このあたりも追々検証していくか。



そうこうしてるうちに、倒したリザードマンがどんどん煙になって消えていく。

うーん、ファンタジーやな。。


最初に倒した1体は、もうほとんど消えていて青い小さな魔石がポツンと残っていた。

元の体の大きさの割にホントに小さいな。親指くらいの小石だな。


で、もう1体。まだ首のあたりまで消えてるだけで胴体はそのまま。

コレ、解体とか出来るんかね?


【無限収納】からナイフを取り出す。


「あら??」


やべ、間違えてあの呪物ナイフ出しちゃったやん。


手に握られていたのはトール氏の解体ナイフではなく、あの独特な怪しい気配を振り撒くナイフ型の魔王族の魔石だった。


これ、ナイフとしては使えんとかでてたよな。

まあ、使わんけどさ。


「  、んんっ??」


そのナイフ。


リザードマンの煙を、凄い勢いで吸い込みはじめたぞ。ダイ◯ンの掃除機みたいやん。

まだ煙化してない部分も無理矢理に吸い込んでいくな。ヤバいんかな、コレ。



☆魔凰女ステリアの魔石(復活中)

☆等級 S−

☆LV ???

☆無念の最期を遂げ、呪いを発動し終え役割を果たした魔王族の魔石

あー、なるほどこういう訳ね。。まあ、これも何かのご縁ってことだから、腰に下げて育ててみたら?笑



・・・。

(復活中) て。。

魔族、なんでもアリかよ。


てか、他人事だと思って軽すぎんか?

イヌネコ拾ってくんのと訳がちがうんだぞ。

なんだよ、何かのご縁て。


まあ、つまりコイツは魔物を倒した時の煙を吸収する事によって魔石になる前の状態に復活しようとしてる、と。


イヤイヤイヤ、なんそれ。

復活したらどうなんの?

世界の半分とかくれちゃう感じのヤツだったら、どーすんのさ。

トールさんの、まったり気まぐれ異世界旅はドコいったよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ