臨時国会召集の時期と「政治空白」について
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は「臨時国会の召集時期」について個人的な意見を述べていこうと思います。
質問者:
自民総裁選の投開票が10月4日に決まったので、
自民内では臨時国会の召集は早くて10月中旬以降との見方が広がっているようなんですけど、
そんな日程で本当に大丈夫なんですか?
本当に政治空白は生まないんですか?
筆者:
まず、 参議院選挙直後の参院議長を決めるためだけの臨時国会を除き、令和に入ってからの秋の予算を決める臨時国会の召集日付と会期末日を振り返っていきます。
令和元年 10月4日~12月9日
令和2年 10月26日~12月5日
令和3年 10月3日~10月14日(衆院解散)、12月6日~12月21日
令和4年 10月3日~12月10日
令和5年 10月20日~12月13日
令和6年 10月1日~10月9日(衆院解散)、11月28日~12月24日
とこのように令和3年と5年は10月20日以降からの召集となっているために、
例え10月15日ぐらいに召集であったとしても特筆すべきほど遅いわけでは無いようです。
むしろ、令和3年と6年の「衆議院解散」の方が補正予算や法律などの審議日数が3分の2と少なく、「政治空白」を生んでいると言って良いようです。
質問者:
これでも「平常運転」だなんて何だか意外ですね……。
筆者:
野党は衆参両院で早期の臨時国会の開催を要求していますが、
日本国憲法53条の後半には
『いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。』
とあるのですが、いつ召集するかどうかは結局のところ内閣が決めるんですね。
有力な学説でも憲法53条は「履行を強制する法的方法はなく、内閣の政治的責任が生じるのみ」としています。
別に臨時国会を開催することそのものを与党が拒否するつもりはないようなので、
速く臨時国会を開催する要求は吞まれることはなく「野党のやった感じ」で終わる可能性は高そうです。
◇どうして「政治空白感」があるのか?
質問者:
と言うか、国会の会期日程を見ていると通常国会が終わる6月末から10月の最初まで、
「例年通りの政治空白」と言う感じなんですね……。
今年はどうしてこんなに「政治空白感」を感じるんでしょうか?
筆者:
やはり自公政権が選挙で大敗した後なので「政治が変わって欲しい」と言う国民の思いがあるんだと思います。
令和6年の秋の解散時の後にはすぐに臨時国会がありましたし、
臨時国会が終わってもすぐに年初には通常国会が始まりましたからね。
また、ガソリン税の暫定税率廃止すらも野党同士で一致できていない様相(特に“財源”を巡った論点)なので国民のフラストレーションが溜まっているのでしょう。
そのために、
「例年通りの政治空白」
も国民側からすると容認できないといった感じなのだと思います。
政治家の方は基本的には国会中以外は地元に帰って票田固めのためのイベントに参加しているか党内の政争をしているだけの人達ですからね。
そんなことをしていないで国民のための政策(主に減税や給付)について考えてくれよということなのです。
質問者:
なるほど、心理的状況がこれまでの令和の国会日程通りだとしても容認できないということなんですね……。
筆者:
党内での政治的議論(公約の2万円給付など)も進んでいない印象があったので、
いつもよりも「空白感」があったのかもしれませんね。
しかし、こうした国民の心理状況を野党の国政政党も理解できなければ、自民党とともに埋没していくでしょうね。
◇新総裁と衆院解散の可能性
質問者:
現時点では高市さんか小泉さんが自民党総裁になることが有力視されていますけど、
衆参過半数割れの状況で首相にそのまま指名されるんでしょうか?
筆者:
自民党総裁選については新総裁が決まってからまた詳しく語ろうと思いますけど、
基本的には自民党総裁がそのまま総理大臣になりますよ。
今年の春の通常国会でも事実上の連立の枠組み拡大でなくとも、
自民党予算に維新が乗り、
自民党の事実上の年金増税に立憲民主党が乗り、
通常通りの日程で物事が進んでいきました。
また、首相指名選挙でも野党同士がほとんど一糸乱れずに手を取り合わないと野党から総理大臣は出ませんからね
そんなわけで基本的には、自民党新総裁=内閣総理大臣だと思いますよ。
高市氏なら国民民主党、小泉氏なら維新の会と事実上の連立先は変わると思いますけどね。
質問者:
その「基本的には」と言うワードが気になるんですけど……。
筆者:
衆議院で解散をして自公が更に議席を減らせば様相が一変し、
比較第一党が自民党であったとしても考えが近い野党がまとまるだけで政権が誕生したり、他の政党の党首を首相にして自民党が与党にい続ける選択を取るかもしれません。
質問者:
でも、選挙で負けると分かっていて衆議院の解散ってやりますかね?
筆者:
しかし、石破総理はどう見ても去年の衆院解散のタイミングを誤り、
有効打だと自らが思っていたことは全く国民に響かずに議席を減らし続けましたからね。
安倍元総理の最も優れていたところは「保守っぽい演出」と「衆院解散タイミング」でした。
岩盤保守層を囲い込めば選挙に勝ち続けられたので、消費増税の実行や移民受け入れなど「やりたい放題」出来ました。
しかし、その「演出」や「タイミング」を小泉氏や高市氏が出来るかは怪しいと思いますよ。
衆議院の過半数割れはいつでも内閣不信任可決のリスクがあるので、
一応は勝つつもりで解散すると思いますけど、政治家は上級国民なので庶民の気持ちなんてわかりませんからね。
そんなわけで衆議院の解散の確率は勝てるか? 勝てないのか? の問題とは関係なく一定以上常にあると思います。
質問者:
勝つ気持ちがあったとしても実際のところ勝てるとは限らないということですか……。
筆者:
今の状況の解散は限りなく博打に近いと思いますけどね。しかも支持率からすると損する確率が高い博打です。
最低でも3割、出来れば4割近くは自民党支持率が無いと自公過半数を超えることは厳しいでしょう。
解散で議席が増やすことが出来れば一気に党内で勢力を拡大でき、減らせば即座に退陣もあり得ます。
選挙には3つの坂があると言われていまして、上り坂、下り坂、そして、突然やってくる「まさか」です。(これは選挙演説でよく使われるものの一つです)
そして「まさか」を起こすのは国民1人1人の思いだと思いますね。
基本的には政治家の方は選挙の時しか「国民目線のフリ」すらせずにあとは党内の政争ばかりしていますからね。
質問者:
なるほど……。
筆者:
いずれにせよ、昨年から自公過半数割れした国会になっていますので、
「野党の評価がしやすくなった」と言うのは本当に有権者としてのメリットは大きいです。
自民党新総裁や野党がどのような動きをするのか逐一個人的な意見を述べていきますのでどうぞご覧ください。