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遺跡探索2 這いずり回る冒険者  作者: 弓納持水面


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15/42

不信感

ディッツ視点です。

 商隊は無事ロイターの街に着いた。

儂ら[鋼鉄の鍋]と商隊との契約は終わるので、商館の中庭で一人頭銅貨100枚の支払いを受ける。

契約が終わった他の冒険者達も支払いを受けているが、大半が17を恨めしい眼で見ていた。

多くの冒険者の少ない手持ちをダイス賭博で、かき集めてしまったからだ。


 ここ数日は17に金を貸してくれと言う者や露骨に口説いてくる者を儂や信濃が追い払う日々が続いていた。

ただ、依頼人だけは自身への関心が薄れた事を喜んでいた様に見えた。

隙を見せれば売り飛ばされかねないエルフにしてみれば、より簡単に金になるデコイが居るのは悪くないのだろう。


 商館を出た儂らは近くのハーピー商会系列の冒険者の店に入った。

数日ぶりに飲むエールは美味かったし、温かい食事は有り難かったが価格は合わせて銅貨3枚と割高だ。

依頼人は別として、博打で勝ったシーフの17と基本、下級神官で金には困らないペプシだけが、もう一品頼んでいた。


「17、明後日には街を出る。旅打ちは無しだ」

念の為、17に釘を刺すと不満そうな顔をされる。


「えー、顔繋ぎだけでもダメ?」

やはり17は裏街に繰り出す気でいたらしい。


「駄目だ。食い詰め冒険者クズ共にお前が泡銭を持っていると知れ渡っている」


 泡銭を持った売り飛ばせば金になる女を食い詰めたクズ共は見逃さない。

シーフギルドも建前は構成員を守るらしいが、他所者よそものの保護には熱心ではないだろう。


「あーしのは泡銭じゃないんだけどな〜。信濃、明日は買い物に行こう」


「私は金がない」

信濃は竜人にしか現れない、しかも竜人にしても珍しい金の瞳を17に向け答える。


「そうだった。これ種銭を借りてた御礼。賭け金の原資は信濃のファイトマネーだったからね」

小袋に入った貨幣を17は、信濃に渡した。

更に店員を呼び、信濃にエールのお替りと一品つける。

後で確認すると金貨が3枚も入っていたそうだ。


☆☆☆


 翌日、夕方


 冒険者の店の6人部屋で依頼人のエルフと儂ら[鋼鉄の鍋]は荷物などの最終確認をしていた。

地図によると西に向かう小道を進めば、人間の村が一つとオークの集落が一つあるだけで、後は未開の地になる。

武器等装備の補充がきくのは、この街が最後だ。

確認を怠れば困るのは自分達になる。

まず儂が最初に口を開いた。


「得物はメインが戦斧、サブで手斧、戦うしか能はないし、すまぬが全盛期は過ぎとる」

ペプシがメモに話した内容をまとめてゆく。


「信濃が戦えるのは見れば分かる。ペプシ、17、依頼人エルフ殿はどの程度戦える?」


「わ、私はゴブリンなら倒した事あります。し、神殿での基礎訓練程度です」


「あーしは無理、ギルドで学んだ投げ短剣は使えるけど腕は並〜」


「弓と魔術なら使えるが白兵はした事がない」


 儂の問いに、それぞれが答えた。

やはり17は野外探索では[おのぼり]よりも使えない。

見た目よりも計算高い様だが、それは人間相手に発揮される技能だ。

荷物持ちとして利用するしかないが、襲われたなら、ゴブリン相手でも死ぬ可能性が高い。

起こすトラブルを考えたら早めに入れ替えを考えた方が良いかも知れない。


「水については心配要らない。私はウンディーネを友人としている」

エルフが腰の瓢箪を軽く叩く。


「そ、それは助かります。す、姿はエルフタイプですか?」

ペプシが珍しく積極的に話をしている。

魔術に興味があるのかも知れない。


「いえ、水球タイプです。米粒程のオリハルコンを核に入れてあるので宙に浮きます。エルフ型は宿などで出すと床が水浸しになり困ると聞いたので」

使役精霊はエルフにとっては奥の手だ。明かしてくれたのは信用せざる得ないと腹を決めたのだろう。


「オリハルコン!?エルフってヤバ〜」


 17は希少金属のオリハルコンに興味を示した。

浮遊金属オリハルコン、万能金属ミスリル、超硬金属アダマンタイト、三大希少金属でどれも高価な代物。

特に合金化で色や強度などが変幻自在のミスリルは人気が高い。

オリハルコンは海から取れる塩の精製過程で、極微量に取れる物を加工せねばならず、市場に出回る事はまずない。

米粒程でも金貨50枚は軽くするだろう。


「手に入れたのは里と取引のある人間の商人からです。人間の富への欲求の方が恐ろしいでしょう」


「フール殿。エルフの遺跡には何がある?」

!?

依頼に一番関心の無さそうな信濃がエルフにいきなり尋ねた。

儂が、どう切り出そうかと策を練っていたのが無駄になったが、かえって会話を誤魔化しにくいだろう。


「何があるのか?それを私も知りたい。エルフが五部族が分かたれる前に何があったのかを」


 何故か儂には、若いエルフの眼が酷く老いた者の様に見えた。

 ペプシが記入していたメモを元に自身の手記に下記の内容の記録を残している。

ディッツ、リーダー、ドワーフ

戦斧、手斧、各1

戦闘力並

信濃、竜人、竜力10

リザードマン刀[上弦][下弦](魔剣)

戦闘力強

通称17、人間

短剣、投げ短剣3、馬上筒(弾数20)

戦闘力皆無

ペプシ(私)、人間、神力6

両手用フレイル、神聖魔法

戦闘力弱

通称フール、エルフ、魔力8

短剣、エルフボウ(残矢18)、エルフ小魔法

使役精霊ウンディーネ

水、食料の心配はなし。

薪など燃料については不安が残る。


私の黒歴史がまた1ページ。

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