表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/108

第80話

「蒼! その男……その男の特徴は!?」


 司も冷静さを欠いている。これが全く知らない人間が犯人だったら演技しつつも情報を聞き出せていたのだが、暦が事件に関わっているという真実はあまりにも衝撃的過ぎた。


「誰だったかは、よ、よく分かんない……。でも結構暦ちゃんと親しげな感じだったよ」


「……」


「つ、司くん……」


 これ以上得られそうな情報は無いだろう。だが暦が蒼殺害に関与していて彼女と親しい関係にある男性が真犯人ともなればこれはもうほぼ解決したも同然だ。後は暦を問い詰めて蒼にとどめを刺した男を判明させるだけである。


「先輩。演技を続けましょう」


「は、はい……!」


 コソコソと打ち合わせを終わらせた二人は一旦暦の事は考えないようにして、まずはこれから始まる予定の負けイベに持っていこうとする。


「そっか。それじゃあ今僕が追っている奴が犯人かどうかは分からないね。引き続き警戒は続けるとするよ」


 そう言って蒼に背を向け、最奥部に存在している城に向かって歩き出した。


「お、お兄ちゃん? どこに行くの? ねぇ、同じ転生者なら私たちと一緒に……! えっと……いわゆるダブル主人公って状況でしょ? これ」


「蒼には関係無い。話はもう終わったからね。さっきも言ったけど、早くこの都から離れるんだ。もっと大勢の外部の人間に見つかるのも時間の問題だと思うからね」


「ちょっと待ってよ! 仮にそうだとしても、それは協会が用意した展開でしょ?」


「残念だけどもう僕たちが会う事は無い。例え協会が決めた台本上で僕たちが手を取り合う流れだったとしても、例え演技の世界だったとしても、僕はもう二度と蒼を危険な目には遭わせたくない。協会が用意したストーリーに、僕たちが律儀にも合わせる必要なんて無いんだから。もしそれでも……どうしてもって言うなら……ユエル」


「はい」


 今は演技している最中の為、司は普段とは違いユエルを呼び捨てにする。


「怪我させちゃダメだからね」


「分かってます」


 ユエルは司と蒼の間に割り込むように立った。明らかにボス戦が開始される雰囲気が漂っている。


「あなた……どいてよ!」


「もしどうしてもお兄さんと一緒にこの物語を乗り越えたいなら、私を倒してみてください。実力が十分だと判断できたら通してあげます」


「……。良いよ……それが条件なら受けて立つから」


「 (よし、乗って来た。後は良い感じに相手した後に私が勝って……あ、あれ? 何かおかしい気が……) 」


 ここでユエルは違和感を覚えた。そしてそれは彼女たちに背を向けて歩いていた司も同じだった。思わず立ち止まってから上半身を捻って振り返る。


 今司たちが居る場所は広場のような場所だ。中央に大きな噴水があり、周りにはベンチが置かれた憩いの場といった感じとなっており、更にその周囲には洋風な家がいくつも建てられていた。


 蒼は気付いていないかも知れないが、実は彼女の仲間たちは各自家と家の間に隠れており、状況を見守っていたのだ。良きタイミングで姿を現せるように。


 予定では今がそのタイミングで蒼に合流して仲間たち全員でユエルに挑む展開になるはずなのだが、彼女のパーティメンバーが出現する様子は皆無である。


 色々あったがユエル戦開始雰囲気が満載のこの状況で出て来ないのは変だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ