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第77話

 行動ガチャが入るせいで実際に蒼がこちら側にやって来る保証は無いが司たちが今居る周辺を調査する担当に任命される流れの為、高確率で想定通りに物語は進むだろう。仮に進まなかったらその時に考えれば良い。


 だがそんな心配は無かったようで。


「え……お……お兄……ちゃん?」


「……ッ!」


 背後から聞こえてくる耳馴染みのある声。


 司は衝撃で思わず固まる。何度脳内シミュレーションを繰り返したとしても、やはり実際にそれが現実として訪れると想定を遥かに超えるインパクトがあった。


「司くん、しっかり……!」


 隣に居たユエルは司の反応にいち早く気付き、蒼には聞こえない程度の小声で彼の目を覚まさせる。


「あ、はい! (落ち着け。耐えろ天賀谷司。今の僕は蒼の敵、この世界のラスボスなんだ……!) 」


 息を吸いこんでから吐き出した司は意を決して振り返った。ユエルもそれに合わせて後ろを向く。


「……っ……」


 彼女の姿を見た瞬間に涙が込み上げてきたが、死ぬ気で感情を押し殺した。


「聞き覚えのある声がしたと思ったら、やっぱり蒼か」


「 (司くん、良い感じ……! スッと入れはしなかったけど、違和感は全然無い。それにしても蒼ちゃん可愛い~! 超美少女……!) 」


「お兄ちゃん! やっぱりお兄ちゃんだ!」


 最初こそ驚いた様子だったがすぐに蒼は喜び、目に涙を溜める。


 ショートカットがよく似合う活発そうな可愛い女の子だった。肩が露出したワンピースを着ており主人公と言うよりはヒロインのような出で立ちだ。


 死んでから異世界転生するまでの間は歳を取らない為、当時の年齢のままである蒼は恐らくユエルよりも歳下だろう。


 蒼からしたら自分の最新の記憶から三年後の兄を目の前にしている訳だが、それでも一発で彼が司だと分かった。


「久し振りだね、蒼」


「うん……うん……。私、もう死んじゃったし、協会の皆さんが造ってくれた世界に転生しちゃってるっぽいし、二度と会えないと思ってた! 会いたかったよ、お兄ちゃん!」


 感極まって蒼は司に向かって駆け出す。この展開は序盤の方で予想していた流れだ。


 ここで自分の出番だと言わんばかりにユエルは一瞬で來冥者形態になってから前に出た後、蒼に当たらないように極小規模の爆発を彼女の前面に起こす。


「きゃっ!」


 思わず足を止める蒼は何が起きたのか分からないといった様子で司とユエルを見る。


「な、何? 何するの? ねぇ、お兄ちゃん! その女の子、誰なの? 何で私を攻撃したの? も、もしかしてこの世界のラスボスってお兄ちゃん……?」


 当然の反応をする蒼。ここで彼女の質問に正直に答えてしまっては作者が読者に対してネタバレをするようなものだ。


 司は後半の質問には答えず前半の質問には答えた。


「彼女は僕の仲間で、さっきの攻撃は警告だよ。ここは蒼が来るべき所じゃないからね。鯨夢の都がどんな場所か知ってるでしょ?」


「……。生きた兵器……」


 ここに来るまでに蒼はパノンに住む人々や仲間からこう聞かされたはずだ。鯨夢の都は名前だけが知られている伝説の都で、その昔戦争に使われていたと。


 都が戦争に使われていたとはどういう意味なのか具体的な事は明かさず、ここでその謎が明らかになる展開なのだ。実際に蒼もその知識を持たずしてここに辿り着いている。

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