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第63話

 今琴葉は床にあるモニターを見る為に四つん這いになって確認しているが、体勢的に少しきつそうだ。しかし彼女は特に泣き言を言わず続けている。


 そんな彼女の姿を見て再燃したのか、ふぅと小さく息を吐いた後にマキナはモニターへと視線を送った。


「……分かったよ。あ~今回の件が終わったら絶対にこのモニターの仕様修正を提言してやる~」


「ふふっ。その時は私も付き合うよ」


「それは頼もしいね~。あ、それはそうと琴葉ちゃん。その体勢、胸元見えそうだよ!」


「……っ! き、君って奴は……もうちょっとこう、指で自分の胸元をトントンするとか、小声で言うとか、そういう教え方は出来ないのか……!」


 琴葉はさっと体勢を戻した後に顔を赤くしてマキナを睨みつける。


 近くに居る探偵署の男性たちは居たたまれなさ過ぎて、聞こえていないふりを続けていた。お茶の間で空気が凍った時と似ている。


「百点満点の反応、助かります!」


「この……後で覚えてなよ」


 その後も適度に軽い会話を挟みつつも調査を続ける。ずっと気を張り詰めるよりは丁度いい息抜きになり、少しだけ集中力が上がっている気がした。


 それから更に一時間後。その時は突然訪れた。


「ひゃああああ!」


「うわぁ!」


 マキナの悲鳴に琴葉は驚きの声を上げ、周りの探偵署の人もビクリと肩を震わせた。


「何だ急に! 心臓に悪いだろ!」


「み、みみみ、み、見つけた」


「は?」


 マキナは興奮しすぎて要領を得ない。口をパクパクと動かし、具体性のある情報を一切発しない。だが少ししてから落ち着いたのかようやくマキナがまともに話し始めた。


「空久良さんが殺される瞬間の映像、あった。このモニターだよ!」


「え!」


 今やっている作業は運ゲーでもある。つまり運が良ければ意外にも簡単に見つかったりするのだ。そして女神はマキナに微笑んだのだろう。マキナが偶然凝視していたモニターに、まさにその瞬間の映像が映し出されたのだ。


 琴葉だけでなく記録室に居る全員がマキナの所に集まり、全員で該当モニターを見る。驚いてもそこは冷静なのか、マキナは映像を一時停止しており余裕を持って確認が行えた。


「こ、これ、空久良さんだよね?」


「ああ。牢政から送られてきた彼の画像とも一致する」


 琴葉はノアを展開して改めて比較確認を行う。映像に映し出されている男性とノアに送られた画像内の男性は同一人物であった。


「という事は彼の目の前に居る天狗のお面を着けた奴が犯人か? それに一体何だ、この巨大な……狼? こいつは何者だ」


 探偵署の男性が映像を見ながら感想を口にする。


 映像では空久良がふらつきながらも立ち上がり犯人らしき人物と対面している。そして犯人の近くには翼が生え、頭部は狼の四足歩行の生物が居た。

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