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第45話

 どう転んでも依頼主が望みそうな調査結果は伝えられそうにない。


 そんなマキナの様子を見て考えたのか、司が予想外の言葉を口にする。


「まぁ別に良いよ。僕が牢政の人間だったって伝えても。空久良の弟が依頼人ならもしかしたら知ってるかもだけど、依頼時にその情報を君に伝えなかったところを見ると多分知らないだろうしね。僕のわがままで君の評判が落ちるのは嫌だし」


「本当? ありがとう~」


 何も伝えられないよりはマシだと思ったのか、マキナは悩みが吹っ切れたように笑顔になる。


「司くん、本当に良いんですか?」


 依頼主の目的が分からない以上、ユエルはまだ不安な気持ちが残っているようだ。


「心配してくれるのは嬉しいですけど、大丈夫ですよ」


「そう、ですか。分かりました」


 釈然としないが司がそう判断したならしょうがない。恐らく今のユエルはそんな感じなのだろう。


「思ったんだが、空久良さん……ああ、司くんの知り合いの方な。彼に聞いてみたら良いんじゃないか? 何故弟さんが自分の調査をしているのかを」


「そうですね。後でコッソリ聞いてみます」


 司の返答でキリが良くなったのか、この件に関する話はこれで最後となる。

 

 空久良がモデルNで既に殺害されたとは夢にも思っていない四人は、その後も呑気に夕食を共にするのだった。




 夕食を終えた四人は店から出た後に入り口付近で別れの挨拶をかわす。


「それじゃあ私とマキナはこっちだから。また明日」


「はい! 今日はごちそうさまでした。お疲れ様でした」


「二人ともばいばーい!」


「さようなら。琴葉ちゃん、マキナちゃん」


 ユエルはもうマキナに対して警戒心や敵対心は消え失せたようだ。


 帰り道が反対方向のようで琴葉・マキナ組と、司・ユエル組の二組に分かれてそれぞれ帰宅する事に。店から離れて数分後、司がユエルに言う。


「あ……もし先輩が嫌じゃなかったら家まで送りましょうか? もう夜遅いですし、女の子が一人で帰るのは危ないかなーって」


「え? あ、う、え、えと」


 司の提案にユエルは驚いた様子を見せたが、すぐに消え入りそうな程に小さな声で返答した。


「あ、だ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます。 (男の子に家に送ってもらうのなんて初めてだから、どう返答したら良かったか分かんなかったよ……思わず断っちゃったけど、これ大丈夫かな……好意を無下にしてるんじゃ……?) 」


 秒で脳内反省会を開催した後にユエルは恐る恐る司を見る。


「そうですか。分かりました。でも本当に気を付けてくださいね。まぁ僕みたいな細い男子に言われてもって感じだと思いますけど」


 冗談っぽく司は微笑みながら言う。だがユエルはそれを本気で受け止めたらしく慌ててフォローに入る。


「そ、そんな事無いですよ! 司くん、意外としっかりしていると言うか……初めて会った時に私転びそうになったと思うんですけど、司くんに受け止めてもらった時に男の子なんだな~って思っちゃいましたし」

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