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第43話

「だからマキナちゃんは執拗に司くんを調べたりしたんですね」


「半分私的な興味、半分仕事って感じかな~」


「……あの。結局マキナちゃんは司くんについて何も知らなかった訳ですよね」


「そうだけど、どうしたの? 急に」


 マキナの問いにユエルは少しだけ考える。今ユエルが知っていてこの二人が知らない司に関する情報がある。それは彼が五大機関の一つ、牢政に元々は所属していた事。


 これを伝えても良いものかどうか悩んでいるようだ。


 そんな時ユエルと目が合った司は彼女が何について今迷っているのか何となく分かったようで、助け舟感覚で自ら語り出した。


「もしかして先輩、僕が元牢政の人間だって話しても良いか迷ってます?」


「……!」


 完全にバレていると思ったユエルは息を呑むが、それよりもマキナと琴葉の驚きの方が圧倒的に上回っていた。


「「ええっ! 牢政⁉」」


「ふ、二人とも、声、声! 大きいですよ」


 ユエルに注意され、ハッとなった二人は周囲から注目されていると気付き、わざとらしく咳払いをしてから会話を続ける。


「ご、ごめん。あまりにも意外な名前を聞いてな。そうか、君は元牢政の人間だったのか」


「超エリートじゃん!」


「いや、今の僕はあくまでも『元』ってだけで……」


「そんな謙遜しなくても良いぞ? ……あ、もしかしてこういう風に盛り上げられるのが苦手だったりするかい? それで経歴を隠していたりとか……」


 司に気を遣った琴葉は申し訳無さそうに質問する。


 だが司にとっては話を都合の良い方向に持っていきやすくなり、まさにナイスパスとも言える展開だった。


「まぁそんなところですかね」


 取り敢えずは琴葉に乗っかる事で真の理由を語らずに済むのであれば、全力で乗るしかない。だがユエルにはバレバレだったようだ。


「 (司くん……今絶対嘘ついた……) 」


 そうは思ったが決して口には出さないユエルであった。


「なるほどな。それにしても牢政か……私はてっきり『リバーシ』のメンバーなんじゃないかと疑ってたけどね」


「……! リバーシって、あの……?」


 司は琴葉がオセロじゃない方の意味で言っていると思い、別のリバーシを頭に思い浮かべながら問い掛けた。


 普通その名称を聞けば白と黒の丸石を用いて遊ぶゲームをイメージするが、この世界ではもう一つの意味を持つ。


「ああ。五大機関の頂点である『エンペル・ギア』直属の諜報機関――『リバーシ』。様々な組織や機関に紛れ込み、行く先で仕事をこなしながら情報収集を専門としている……更には來冥力も規格外と噂の、まさに最強のチームだ。君の感じからするにそうじゃないかと疑っていたよ」


 琴葉の目は完全に司をそうだと決めつけているかのようなものだった。彼女は人事部らしいが協会を受ける受験者たちは、この目で注視されながら質問の答えに対する深堀りをされるのだろうと考えるとどこか気の毒である。


 緊張感が場を支配する中、三人の注目を受けている司は少しの間だけ沈黙し、やがて非常に落ち着き払った声で一つの質問を投げ掛けた。


「……。もしも僕が本当にリバーシの人だったらどうします?」


「……!」


 この時の司は冗談を言っている感じでは無く真剣な目をしていた。そのせいか琴葉は思わず固まり、彼の目を見つめ返す結果となった。

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