第40話
「本当にごめんね、変な感じで二人に近付いて。私の名前はマキナ。探偵署所属で協会歴は二年! 普段は來冥者の調査とかメインでやってるんだ! ちなみに琴葉ちゃんは私の親友であり仕事仲間でもあるよ!」
探偵署。調査対象が來冥者専門の探偵業を生業とする部署である。転生協会はラスボス役を筆頭として異世界を運用するだけでなく、こうした仕事も請け負っていたりする。調査対象が來冥者である場合、最悪危険な事に巻き込まれる可能性もある為に意外と需要はあるのだ。
依頼主は一般市民や一般企業だけでなく、転生協会内のパターンもある。不審な動きを見せている來冥者を発見した際、秘密裏に調査を行って欲しいとお願いされる事も珍しくはない。
マキナはその探偵署に所属しており、その仕事スキルからかユエルの事を短期間で調べ上げる事ができたのだろう。司に関しては探偵署でさえも分からなかった訳だが。
「君の所属は探偵署だったのか。転生協会について色々ユエル先輩から教わっている時に確か聞いた気がするよ。結構評判良いんでしょ? 牢政の人と一緒に仕事もしたりして、事件解決に貢献した実績もある部署ってね」
「世間的にも協会内でも、一応評価はそんな感じみたいだね。私はまだ牢政の人と一緒に仕事した事無いから、貢献ポイントは稼げてないけどね~」
牢政と共に事件を追うと言うのは犯罪事件に巻き込まれてしまう可能性が一気に上昇するし、一つのミスが取り返しのつかない悲劇を生み出す。探偵署に居るからと言って、誰にでも任せられる仕事内容では無いのだろう。
だがマキナはそんなこと一切気にしていないようだ。フォークにパスタをくるくると巻き付けて口に運び、美味しそうに声を漏らす。
「あの……琴葉ちゃんとは友達で仕事仲間って言ってましたけど……」
具体的な関係を聞きたかったユエルに対して琴葉はマキナよりも先に答えた。
「初めて彼女と会ったのは人事部が採用した來冥者に対する調査をお願いした時さ。依頼人は私で、引き受けてくれたのがマキナだった。同性で歳も近かったから何回か会う内に仲良くなってね。今じゃ仕事だけでなくプライベートでも会う関係なんだ。いつかユエルにも紹介しようと思っていたんだが……まさかこんな形で実現するとはねぇ」
右手で頬杖をついて琴葉は呆れたような笑みを浮かべる。
「あ、あはは」
マキナは気まずそうに苦笑いした。
二人の関係性を把握したユエルは数回頷き納得した様子を見せたが、すぐに次の疑問が浮かんできたようだ。
「もしかしてですけど、司くんの調査依頼したのって琴葉ちゃんだったり……?」
「いや。確かに気になりはしたけど、さすがに私情は挟めないからな。転生協会内の人間が探偵署に依頼を出す時は個人としてじゃなくて組織として依頼する必要があるから、私だけの判断で動く事はできないさ。どこかの誰かさんと違ってな」
「それってもしかして私の事?」
「他に誰が居る? 『能力だけ見たら優秀ではあるんだが、自身の興味と報酬の度合いによって熱量がガラッと変わるのは何とかして欲しい』って探偵署の人間が言ってたぞ」
「えへへ~優秀だって。照れちゃうな、もう~」
「都合の悪い所だけ難聴にならないで欲しいものだね。ちなみにだがこんな事も話していたのを小耳に挟んだな」
琴葉はその時の事を思い出しながら聞いた話を伝えた。




