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第37話

「……。自分自身でも驚きだ。たった一人の兄を殺しても、何の感情も湧かないんだからな。それじゃあな……兄貴」


 襲撃者Xは仮面を着け直しながらぶつくさと呟く。


「よくやった、ガルム。どんな來冥者もやっぱりお前には敵わないだろうな」


 ガルムとは恐らくは空久良を噛み殺した召喚生物の名だ。


 襲撃者Xは、もう死体となった空久良に興味は無いようで背を向けて歩き始めた。


 ガルムも付いて行くようにゆっくりと歩き始める。


 先程のセリフからしてこの襲撃者Xは恐らく空久良の家族だ。この者が何故司の情報を欲していたのか。その疑問に対する回答を持ち合わせている者は、この場には誰も居なかった。そして司やユエルがこの件を知る事になるのはもう少し先の事になるのだった。




 一方手鏡を再構築したマキナは司、ユエルと一緒に元居た世界へと戻る。転移先は初めてマキナと会った転生協会資料室の前だった。


 ユエルは結局あの後起きる気配が無く、マキナがおんぶして連れて帰る事に。


「はぁ。やっと帰って来れた」


「ねぇ司くん。ユエルちゃんのお家分かったりする? こんなに気持ちよく寝てるのに起こしちゃうの可哀想だし」


 可愛いらしい寝息を立てながら気持ち良さそうに寝ているユエルに配慮し、マキナは小声で司に質問する。


「いや、分からないよ。先輩の家にお邪魔した事無いし。と言うか知り合って一週間そこらの異性の先輩の家に行くって、大分距離の詰め方エグいと思うんだけど」


「あはは。それもそっか」


 最初のピリピリとした空気はもう消え、今はもう友達のような雰囲気になっていた。司からすればマキナの目的を完全にハッキリさせる事ができて、マキナからすれば消化不良感は否めないものの一応は二人と対戦ができてお互い満足したのだろう。


 ユエルに関して言えばマキナに対してまだ警戒を緩めていないと思われ、目を覚ました時にパニックになるかも知れないが。


「ユエルの家なら私が知っているぞ」


「「え?」」


 不意に後ろから声が聞こえ、二人同時に振り返る。そこには満面の笑みを浮かべた草薙琴葉が立っていた。心なしか目が笑っていないように見えるのは気のせいだと信じたい。


「うげ……琴葉ちゃん……」


「 (え? 知り合い?) 」


 琴葉の登場にマキナは冷や汗交じりに苦笑いを浮かべる。今この場で最も会いたくない人物に会ってしまった時の反応のようだ。


 琴葉は笑顔を維持したまま一歩ずつマキナに近付く。整った顔立ちの彼女が笑顔でいれば本来は可愛いはずなのだが、不思議な事に今は恐怖しかない。


 やがて琴葉はマキナの目の前まで来た。


「司くんとユエルを巻き込んでの異世界デートは楽しかったかい? マキナちゃん」


「あはは~。それはもう……楽しかったよ~」


 声が震えている。どうやらマキナは琴葉に対してかなりの恐怖を感じているようだ。

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