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第34話

「まぁ君の真の目的は『彼女と戦う』事と『僕について知る』事の二つだろうからね。どうにかしてユエル先輩をその気にさせたかったんでしょ」


「う。仰る通りです。 (全部見抜かれてるじゃん!) 」


 まるで探偵と犯人の対峙のようだ。図星を突かれまくっているマキナに司は更に追い打ちする。


「僕の想像だと、僕とユエル先輩に興味を持った君は、二人について調査をするも僕に関する情報だけは集められなかった。だから実際の僕に会って直接対決をする事で知ろうとしたって訳だ。ついでに協会内では十年に一人の逸材と呼ばれたユエル先輩とも一戦交える事ができれば大満足ってところかな。僕と彼女を切り離したのは、僕が他人に秘密を明かしたくないんだろうなと察して、ユエル先輩が側に居ると僕が実力を発揮しにくくなるから、二人まとめてではなく一人ずつ戦おうと考えた。どう?」


「う~ん、百点!」


 完全に自分自身を知られていると思ったマキナはどこか恥ずかしそうだ。


 司は推理が当たっている事に特に喜びや安堵を見せる事無く淡々と進める。


「じゃあ清々しい気持ちになったところで、そろそろ始めようか。ゲーム開始の合図は君が好きなタイミングでご自由にどうぞ」


「どこまでも余裕じゃん! どれだけ自分の実力に自信あるのか知らないけど、ナメないでよね。それじゃあ……ゲームスタート!」


「あ、ごめん。一つ聞いておきたいんだけど良い?」


 まずは宙に浮いて自分のペースに持ち込もうとしたマキナだったが、彼女が浮遊するよりも早く司が質問をした為に思わずマキナの動きが止まる。


「ん? 何?」


「君、今本当に破片持ってる? 君の目的は僕と戦う事でしょ? 破片持ってるふりをして今は持ってないとかあるんじゃないの? 持ってるなら証拠として見せて欲しい」


「それは無いから安心して~。ほら! ここに四個、ちゃんとあるから!」


 マキナが剣を持っていない左手を前に出してパッと開く。その手の中には確かに破片が四個あった。


「え……」


 何が起こったのか分からず、マキナは無意識に声を漏らす。


 それは瞬きすら許されない一瞬の出来事だった。


 マキナが所持している破片を見せたと同時にマキナは顔に風を感じ、気付いたら左手から四個とも破片が消えていた。


 破片はどこに行ったのか。答えはすぐに判明した。


「はい、僕の勝ち」


 司が何事も無かったかのように、さも当然のように先程までマキナが持っていた破片を見せつけてきたのだ。


 状況は至ってシンプル。マキナが司に破片を見せる為に手を開示したと同時に司が瞬時に彼女との距離をゼロにし、そのまま手から破片を奪い取って元居た位置に戻ったのだ。


 マキナが顔に感じた風の正体は、人が勢いよく通り過ぎた時に発生するものだった。


「え、は? ……ちょっと待ってよ! い、今、どうやって、ええ⁉」


 取り敢えず司に奪われた事だけは把握したが、結局今の一瞬で何が起きたのかは分からず、脳の処理が追い付かない。必然、今日一の驚きと狼狽えをマキナは見せる。

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