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第31話

 ユエルはラストスパートをかけるように更に力を込める。その瞬間、帯電した巨剣は召喚生物の強力な拳打によって爆発音と共に破裂し、元のサイズに戻った。


「はぁ~~~……よし!」


 打ち勝った事による喜びと安堵からかユエルは気と力の両方が抜けてふにゃっとなる。両拳をグッと引き寄せて小さく喜びを咲かせた。


「 (今の人影はもしかして……ううん、今はそれよりも……!) 」


 戦場では気の緩みは命取りだ。当然と言うべきか、ユエルの隙をマキナが見逃す訳も無く、サイズが戻った剣を空中でキャッチして一目散に彼女の元へと向かう。


「隙だらけだよ! ユエルちゃん!」


「え……あ……」


 先程の戦いで力を出し過ぎたのだろう。マキナが火力に自信無いのであれば、ユエルはスタミナが圧倒的に不足していた。


 マキナはまだ動ける体力があるみたいだがユエルはもう全身に力が入らないようで、眠そうな目で迫って来るマキナを呆然と眺める。このままではやばいと思いつつも体が言う事を聞いてくれない。


 こうなると頼りになるのは召喚生物だが、召喚主がこの状態では同じく満足に動けないらしい。


「はぁあ!」


 両手で握った剣を高々と振り上げ、それを一気にユエル目掛けて振り下ろす。


「……っ!」


 最後の力を振り絞ってユエルはギリギリの所でかわす。


 そのせいでマキナが放った斬撃は召喚生物の頭部へと命中し、召喚生物は苦しそうに暴れ回った。ぐらぐらと揺れ動かれた事によって召喚生物の上に座っていたユエルは体勢を崩し、頭部付近から転落してしまった。その際に彼女が所持していた四つの破片が宙に舞い、一緒に地へ向かって落下していく。


「ユエルちゃん!」


 もう彼女には戦闘できるだけの体力は無い。そう判断したマキナはこれ以上ユエルに対する攻撃は意味が無いと思い、助ける方向へとシフトチェンジした。


 ユエルから手放された破片は後でゆっくりと集めれば良い。まずは地面に落下しそうな彼女を助けるのが先だ。


 空中でユエルをお姫様抱っこする形で受け止めたマキナは、地面に着地した後に彼女を寝かせる。


 いつの間にか召喚生物の姿は消えていた。


 頭部へ与えられたマキナの重い一撃によって撃破されたとも考えられるが、あれだけ莫大なエネルギーを内に秘めた巨大生物が、たったあれだけの攻撃を受けただけで終わる訳は無い。


 疑問の答えを探ろうと何気なくユエルを見たら答えが分かった。


 來冥力解放時形態は維持したままではあるが、瞼を閉じてすぅすぅと小さな寝息を立て始めていたのだ。疲れたのか完全に気が抜けたのかは不明だが、ユエルがこの状態であれば召喚生物も役目を終えて消えたのだろう。

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