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第24話

 一方最初のスタート開始合図以降ユエルの前に姿を見せていないマキナはと言うと。


「頑張れ~ユエルちゃん!」


 ユエルの探知能力に引っかからない遥か上空で、余裕の笑みを浮かべながらユエルの様子を眺めていた。彼女が装着しているゴーグルには双眼鏡機能も備わっており、今現在居る上空の位置からでもユエルの動きが把握できていた。


 巨大な剣を右手で持ち、先程からユエルの応援をしているマキナには初めから正攻法で挑む気が無いように見受けられる。もしも真面目に戦う気があるのであれば今もマキナはユエル同様下の方で破片集めに勤しんでいる事だろう。


「ふふっ! 四つ手にしたみたいだね~。じゃあ私もそろそろ動こうっと!」


 ユエルからすれば四つ目の破片を手にしたタイミングで、マキナにやる気が漲る。


 左手でコイントスのようにピーンと鏡の破片を真上に飛ばし、落下してきたそれを再度キャッチしたと同時にミサイルの如くユエル目掛けてマキナは突き進んだ。


「ふぅ。これで取り敢えず四つは集めたけど……最後の破片はどこなんだろう? 単純に探知の範囲外にあったのかな? それとも既にマキナちゃんが持ってたり……」


 上空から急接近してくるマキナに気付く事無く、ユエルは独り言を続ける。


 先程ようやく鏡の破片を四つ集め、次の行動に移す前に一息ついていたところだった。


「まぁ考えても仕方ないし、場所を変えてもう一回探知を……」


 ユエルが再度破片探しの為に能力を使用したいと思った次の瞬間、彼女が今居る岩よりも後方の岩石から爆音が轟く。


 ホラーゲームで急に幽霊が現れた時のようにビクッとなったユエルは、思わず肩を震わせた後にドキドキした状態のまま音源へと体を向ける。


「マキナちゃん……」


「やっほー! 破片集めは順調かな~? て言うか、私の事名前で呼んでくれた! 嬉しいなぁ!」


「……」


 マキナの質問に対して素直に順調と答えそうになったユエルは、直前で思い止まる。


 ここで嘘をついて一つも集められていないと言った場合、マキナに油断してしまう隙が生まれるのではないかと考えたのだ。


 まさか上空からずっとユエルの動きを監視されていたとは知らない彼女は、目を逸らしながら棒読みで嘘をついた。


「い、いやー……ぜ、全然ですね。一つも集められてないですよ、はい。このゲーム難しいですねーホント。それでは私はこの辺で」


 嘘をつく事は苦手である自覚があるユエルは、マキナにバレる前にこの場から逃げたいと思っていた。そのせいか、そそくさとした動作になってしまう。


「あははは! ユエルちゃんって異世界で主人公たちを相手にしている時の演技は上手いのに、リアルだと嘘は下手なんだ? 可愛いなぁ、もう~」


 余程ユエルの演技が大根だったのかマキナはツボに入ったようで一人大笑いしている。


「そ、そんなに笑う事無いでしょう! 良いじゃないですか、別に! ラスボス役の仕事してる時の演技が上手かったら!」


 思わずムキになって反論するユエルだが、それはつまり先程の発言が嘘であると認めたのと同義だ。


「ふふふ、ごめんごめん!」


 ゴーグルを装着しているせいで分からないが、恐らくマキナは笑い過ぎて涙が出ているに違いない。

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