第23話
正解の場所が遠ければ遠い程、泥沼化するのは目に見えており、マキナからすれば興醒め以外の何物でも無いだろう。
この場におけるゲームマスターは彼女だ。ある程度のバランスは保った状況にしてくれているのでは、とユエルは考えた。
即ち、正解の岩石は比較的近くにあると予想できる。
「 (もしも私の予想が当たっていたら、多分私の探知能力が通用するはず) 」
自分の考えを信じたユエルは、自身に纏っている霧のような紫のモヤモヤとした光を円形に飛ばす。ユエルを円の中心として光はドーナツ状に広がっていく。
「……」
ユエルは目を閉じる。そんなユエルの脳内に、まるで走馬灯のようにあらゆる情報が雪崩れ込んでくる。
今も周囲に広がり続けている紫の輪はユエルの第三の目の役割を担っている。光が触れた物体に関する視覚情報が、彼女の脳内へと送り込まれるのだ。その精度と解像度は、間近で観察しているのと大差は無い。
多くの映像が同時に流れ込んでくる為、監視制御室にある監視カメラの映像を映し出しているモニターを見ているような感覚に陥る。
情報が次から次へと更新されていくせいか、脳内に浮かぶその映像から知りたい手がかりを一瞬で得る観察力と、不要な手がかりは即切り捨てられる取捨選択力が求められる。
最初こそ不慣れだったユエルだが、今はもう使いこなしている。
どれだけ上手く隠れようとも、ユエルの目を欺くのは不可能に近い。この探知能力は今回のゲームでは有効だろう。接待と呼んでも差し支えはない。
「よし、取り敢えず四つ見つけた!」
やはりユエルの予想通り、極端に遠い場所には破片は飛んでいかなかった。
そこまで探知の輪を拡大させずとも、五つの破片の内四つは落ちた場所を特定する事ができたのだ。ラスト一片は既にマキナがゲットしたのか、それとも探知外の場所に落ちているのかは不明だが、それに関しては一旦後回しだ。
マキナに先に取られないよう、早めに回収しに向かった方が良いだろう。
「えっと、ここから一番近いのはあそこ……」
目的地となる岩石を視界に入れたユエルは宙に浮遊した後にその場所へと向かう。
「これだね……」
無事破片を手にしたユエルは左手の中に収める。自分の探知能力が正常に機能している裏付けであり、ホッと一安心する。これだけ存在している中から一発で正解に辿り着けたのだ。偶然ではないだろう。
まだ五分の一を入手したに過ぎないが、ユエルは思わず気を抜いてしまう。
この調子でユエルが探知機能で発見した他の三つも手にしたら、ラスト一片に全力を注げば良いだけになる。どんなに疲弊していたとしても、それが最後のピースとなれば難しい事抜きにして限界まで頑張れると言うもの。ラストスパートとして全速力を出すマラソンとどこか似ている。
「あと三つ……! 早く集めよう」
なるべく余計な体力は消耗しないようにする為、ユエルは常に最短となるルートで次々と移動して行く。最初から行くべき場所が分かっているが故に可能な芸当だ。
全体図を把握できれば細かい計画も立てやすくなる。それは今回のこのゲームでも同じだった。




