第22話
ユエルは不安から表情は強張り、息苦しさを覚えてしまう。
対してマキナは慣れているのか、それとも何とも思っていないのか実に楽しそうだ。
正反対の反応を見せる中、マキナが口を開いた。
「じゃあお互い準備は整ったって事で早速始めよっか!」
マキナの叫びに呼応するかのように、例の手鏡が二人の間に出現した。
一体何が始まるのかと見守っていると手鏡はパリンと音を立てて割れ、綺麗に五枚の破片になる。五枚の鏡の破片はそれぞれ散らばり空中に浮かんでいる岩石の上に落ちる。
「……?」
「ルールは簡単! 今散らばった五枚の鏡の破片を先に全回収できた方が勝ちの破片集めゲームだよ!」
「破片集めゲーム……全回収って事は……」
「うん! 相手がもし破片の内の一つを獲得した場合、奪い取らないといけないよね~」
「……なるほど……」
これが先に三枚集めた方が勝利ならそこまで熾烈を極める戦いにならなかったのかも知れない。だが五枚全部獲得しなければならないのであれば、話は別だ。
ストレート勝ちのパターンを除いて奪う奪われるがどうしても発生する。そして最も簡単に奪い取る方法が相手を倒す事だ。
無数に浮いている岩石のどこに落ちたのかを探すだけでも労力を要しそうだが、それに加えて相手が獲得した破片の奪取プラス、自身が獲得した破片を奪われないようにする為の防衛戦闘。
気を回さなければいけない事は多いだろう。ゲーム提案者であるマキナの方が有利なように見えるが、果たして完全初見のユエルがどこまで通用するのか。
「じゃあお喋りはこの辺にして……よーい……どん!」
自分で口にした開幕の合図と同時に、マキナはユエルの真横を猛スピードで通り抜け、早速破片を探しに行く。
彼女の動きには迷いが無い。もしかしたら破片がどこに落ちたのかを把握しているのかも知れない。あるいはローラー作戦を行っているのか。いずれにしろ、こちら側も早く行動に出ないといけないだろう。
だが焦りは禁物だ。破片の奪い合いでマキナとの衝突も考慮した場合、いくら來冥者形態になっているとは言えスタミナの温存は必須事項だ。片っ端から原始的に探していくのは確実性はあるが得策ではない。
ではどうするか。そこはユエルに備わっている探知能力が役に立つ。
「 (彼女の飛行移動も無限にできるはずない……。つまり、ローラー作戦が現実的に実施可能なレベルの範囲に破片を落としている可能性が高い……!) 」
例えば破片が落ちた岩石同士の距離が何十キロとあった場合、移動だけで相当な体力と時間、気力が消費される。
それに加え、これだけ大きさも形状もそれぞれ異なる岩石が数多ある中で、自分がその岩石を調べたかどうかもなるべく覚えておかねばならないのだ。神経衰弱の比では無い記憶力も試され、同じ場所を何回も調べてしまう可能性も十分に有り得る。




