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第2話

 ラスボス。

 

 それはアニメ、ゲーム、漫画など、あらゆる作品において主人公たちの前に立ちはだかる最後にして最大のボスの事である。

 

 作品において最重要視される敵キャラであり、誰がラスボスになるのかを考察する人も居るだろう。

 

 話の序盤から明らかにこいつがラスボスだと分かる王道ものから、意外な人物がラスボスになる奇抜なものまで幅広くあり、どちらが好みかは人によって分かれるところだ。

 

 『敵』という存在がある作品に絞れば、ラスボスの数はこの世にある作品の数程生み出されている。


 そんなラスボスたちは当然ながら主人公たちの敵であり、視聴者やプレイヤー目線からも『敵』や『悪』として映る事が大半を占めるだろう。だが彼らにも何故その道を歩む事になったのか、表では語られない物語がそれぞれあるのだ。


 先のシーンにおいて五名の男女に対立する形となっていた少女もラスボスである。そしてその時に彼女と話していたリーダー各の男性が、いわゆる主人公のポジションにあたる人だった。


 ちなみにその肝心なラスボス少女はと言うと。


「はぁぁぁぁ……」

 

 とある建物内で落ち込んでいた。机とイスが複数個並べられており、まるで会議室のようだ。その内の一つのイスに座り、両腕を枕のようにして左頬を付けて憂いの表情を浮かべていた。


 少女と五名の男女が居た世界とは別の世界、アルカナ・ヘヴン。それが今少女が居る世界の名前だ。そしてその世界の中で近未来的な国となる『メルトリア』に彼女は住んでいる。巨大なビルがいくつも立ち並び、世界の中心地の一つに相当する所となっている。

 

 そんなメルトリアに城のように聳え立っている巨大な機関がある。


 転生協会と呼ばれるその場所は、この国どころかこの世界の象徴とも言える存在で、外観は紛う事無き巨城だ。この転生協会の転生はいわゆる『異世界転生』の意味から名付けられていた。


 メンバーとして転生協会に所属している少女の名は皇真(おうま)ユエル。この世界で普段から『異世界転生した死者に異世界ライフを提供』する為に日々活動している。


 所属メンバーの全員が何らかの役目を担っており、ユエルが担当しているのは花形ポジションと名高いラスボス役だ。


 他にも異世界の創生や管理など多くの専門分野が存在しているが、やはり誰もが認める主役級の役職はこのラスボス役にあたる。主人公たちの前に立ちはだかる最後の敵としてその存在を記憶に深く刻む。まさに物語を象徴する敵と言っても過言では無いだろう。


 ラスボス役は誰もがなれる訳では無い。高倍率のオーディションを突破した演技力の備わっている『來冥(らいめい)者』でなければどれだけ懇願してもそのポジションには就けない。


 來冥者とは物理法則及び人智を超越した能力――來冥力を『高い質で使用できる』能力者の総称だ。


 來冥力はアルカナ・ヘヴンで生まれた者であるならば誰もが所有している。記憶力や体力などと同じで、各個人の『人としての能力の一つ』として認識されている。


 アルカナ・ヘヴン以外の異世界でも存在を確認されている力ではあるのだが、世界によっては來冥力を持てない場合もある。


 当然人によって扱える來冥力の質や量は異なり、そのレベルが高くない限り彼らを『來冥者』と認める者は居ないだろう。ただ他より少し歌が上手いだけの人をプロの歌手とは呼ばないが、それと同じである。


 転生協会のラスボス役は一人の例外もなく高い來冥力を扱え、自他共に來冥者と呼んでも差し支えないと言う事だ。


 そんなラスボス役を勝ち取った彼らが居る転生協会は、まず死を迎えた死者が転生する先となる『異世界』を事前に『創生』し、その場所へ主人公、即ち死者の魂を送る。そして転生協会が用意した様々な人が、適切なタイミングで主人公たちと関わり、最後にはラスボス役を担う來冥者が主人公と激突する。

 

 接客業に例えるならば、主人公はお客様、異世界がお店、世界観が商品、そしてラスボス役が店長といった具合だ。

 

 現実世界での生活を終え、異世界でのファンタジー生活を望む死者に、楽しく、時には苦しくもある異世界生活を提供する事を第一に掲げているのだ。

 

 異世界を運用する。一言で彼らの実施している事を表現するのであればこれに尽きるだろう。

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