立憲民主党と国民民主党が絶対に再統合してはいけない理由
筆者:
今回はこのエッセイを選んでいただき誠に光栄です。
今日はかつて民主党や民進党時代は一緒だった立憲民主党と国民民主党が再び統合するかもしれないことについてみていこうと思います。
◇現実味がある話であり、解散総選挙も近い
質問者:
今のところ立憲民主党の岡田幹事長がその考えを示しただけですけど、
可能性は高いんですか?
筆者:
他の一議員が発言するのと、
他党との各種交渉の指揮を担当する党幹事長がこの考えを示すということはかなり意味が変わってきます。
幹事長の意見は、通常であればある程度立憲内で合意形成がされつつあるから発言したとみていいでしょう。
合意形成なしでの発言なら、それはそれで問題です(笑)。
質問者:
なるほど、思ったよりも現実味がある話と言うことなんですね。
しかし、こういう話があるということは「解散総選挙が近い」と言ことなんでしょうか?
筆者:
信じられないかもしれませんが、僕はかねてから「拉致被害者奪還解散」があると思っています。
時期的には岸田首相がアメリカに国賓待遇をされる4月末以降だと僕は推測しています。
恐らくはここで拉致被害者奪還の大詰めの話をアメリカとすると思っています。
総選挙とともに更に憲法改正の国民投票まで同時に行われるというのが僕の“読み”ですがね。
そこを逆算すると今から動かないと所属先が替わる人は大きく不利になることから、
他の政党もそれを読んで政界再編へ向けて活動しているということでしょう。
※個人的には拉致被害者は一刻も早く帰ってきて欲しいですが、
自民党の対応としては長期的放置であり、実現してもマイナスが減る程度でしかないと思っております。
質問者:
しかし、民進党で政治思想が違ったからこの2党は分裂したんですよね?
再結集する見込みはあるんですか?
◇小選挙区制度において「野党結集」は意味がありそうだが……。
筆者:
理論上は岡田幹事長のおっしゃることは一見すると真っ当にも思えるんです。
「勝者総取り」の小選挙区制において「自民反対票」を集中させる意味では有効なんです。
ただ理念が違う人たちが集まったところで、有権者目線で言うと「1+1=2」に必ずしもなりません。
むしろ政治不信に陥る人が増えて選挙の投票率が下がる懸念すらあるんです。
※個人的には小選挙区制度を中選挙区以上にし、党議拘束を無くして案ごとで採決を取ることが民主主義に一番近いと思っています。
質問者:
どういうことなんでしょうか?
筆者:
一番良い例は直近では23年の大分参院補欠選挙です。
この選挙区では与野党2候補の一騎打ちの激戦の末300票差で自民党候補者が勝利しました。
一見すると「野党結集したから激戦になった」とも見ることが出来ますが、
この大分県はもともと社会党代表で総理大臣にもなった村山富市氏の地盤で左系統の政党が非常に強い県です。
2019年には無所属とは言え民主党系統の議員だったために、
むしろ「勝たなくてはいけない」ところを「接戦の末に負けてしまった」というのが答えなのです。
投票率も42%と全国平均を大きく下回っており国民から見放されていると言って良いでしょうね。これが中道以上の県で起きたら自民党が大勝するでしょう。
現に21年衆院選挙でも立憲が野党結集を虚しく呼びかけましたが結果は自民圧勝でしたしね。
彼らは候補や政党を集約させると「自分たちに投票してくれる」と勘違いされていますが、
「投票に行かない」という選択を有権者がしてしまうことを考慮に入れていないように思えます。
質問者:
なるほど、「烏合の衆」の状態でまとまって「選挙互助会」になっても国民の政治離れが加速するだけだということですか……。
筆者:
岡田幹事長はトリガー条項発動に関して国民民主と一致しているので、
ここぞとばかりに秋波を送っているのでしょう。
この2つがまとまって唯一喜ぶのは両者のどちらに対して「推薦」を出していいか困惑している「連合」だけです。
「連合」の推薦があれば党幹部ぐらいは当選するんでしょうね。逆にあとのことは知らないという感じなのでしょう。
これらのことからもこの2党の統合案は「国民目線でないことが明らか」なために、
大反対だというのが僕の考えです。
◇立憲民主党が支持されない根本理由は?
質問者:
そもそも、どうして立憲は支持されなくなっちゃったんでしょうか?
政権を取った人たちが政党名は変えたとはいえ多く在籍していると思うんですけど……。
筆者:
やはり、どうして民主党政権が経った3年ちょっとで終わってしまったのか?
ということを総括をし切れていない。
そして同じ過ちを繰り返しそうな雰囲気があるからだと思います。
民主党政権では、
“埋蔵金がある”と言ったのに何もなかったなどの公約違反、
福島第一原発事故への対応、
官房機密費については政権直前まで追及しておきながらいざ自分が政権に就任すると無視する、消費税増税を決める――などなど最悪でした。
ただそれを下回るぐらいの政治腐敗、増税、海外バラマキ、意味不明なところに補助金(利権政治)など、今の自民党はもっと酷いと思うのですがね。
質問者:
それを下回るってどういうことなんでしょうか……。
筆者:
やはり現在の立憲と当時の民主党との最大の差は共産党と共闘する姿勢があるか無いかだと思います。
共産党は依然として党要綱に「革命」と言う言葉を残しており、公安から注目されてしまっているような組織です。
民主主義に真っ向から反抗する状況はどう見てもダメでしょう。
そういった組織と事実上一緒になることは、コアな支持層からは辛うじて受け入れられても、
無党派層からはアレルギー反応が出て失望されても仕方ないでしょう。
質問者:
だから「立憲共産党」とか揶揄されているんですね……。
筆者:
それでいて共産党が主張している中ではかなりまともな、
消費税減税について立憲は否定するなど、良いところがあるのかな? と思わざるを得ません。
それと国民民主がまとまったところでプラスにはならないでしょう。
数が少ない国民民主の方が取り込まれ、主張が封殺されるのは明らかですしね。
◇これからは政策ごとにまとまった方が野党の評価が上がる
質問者:
2月7日に国民民主党がトリガー条項発動に関して自民党との協議離脱をしたことについてどう思われますか?
筆者:
賛否が分かれることかもしれませんが、
国民民主党がこの協議から離脱してよかったと思っています。
むしろトリガー条項1点突破のために国民民主党が国会で身動きが取れなくなっており、
この1年自民党に完全に「隷属」状態でした。
最たる状況として2023年の国民民主党が予算案・補正予算案にすぐさま賛同して、
追及してこなかったことの方が国にとってマイナスだったと思っています。
それでいて、“増税メガネ”はこの1年相変わらず「検討」で終わっていますし、
これ以上協議に時間をかけても無駄でしょう。
むしろ、このままでは自民党に吸収されると思っていましたからね。
(逆に立憲に吸収されるリスクが出てきましたが……)
質問者:
もう自民党は変わらないと割り切った方が良いということでしょうか……。
筆者:
派閥が空中分解したことにより秋の総裁選による首相交代の流れも来ないような気がしますし、“増税メガネ”のままでは自民党内の改革は困難を極めると思います。
日本政治に絶望的な雰囲気があるのも野党が受け皿になれていないためであり、
野党をそれぞれ強力にすることがとても大事だと思います。
現在の野党の最善はトリガー条項のように政策ごとに話し合って協力することだと思います。
無理やり党がまとまってもすぐに空中分解しますし、国民はその都度野党に呆れます。
それより、法案や理念ごとでまとまって束になる状況がむしろ良いと思います。
自民党は「党議拘束」と言う下らないものが存在するので
現状は自民党案がそのまま通る状況は変わらないのですが、
建設的な対案を示し続けることで、世論が「自民1強」と言う状況から変化していく可能性が高いと思います。
質問者:
なるほど、野党それぞれが建設的な対案をつくって「受け皿」になることを証明するわけなんですね。
筆者:
僕は注目の各法案について自民党政府案の問題な(ヤバい)ところをその都度指摘しています。
しかし、野党はその対案すらまともに出せていないというのが悲しい現実なのです。
反対しているだけの状況では受け皿になれないでしょう。
適切な指摘や対案を出すことが大事だと思っています。
質問者:
現状それも見えないという感じですよね……。
筆者:
特に経済対策での消費税減税か社会保障費削減は受け皿としてマストの政策です。
立憲はそこが見えていないのは致命的なマイナス点だと思いますね。
あの財政均衡・削減主義筆頭格の維新すらも消費減税を言い始めているのに……。
質問者:
こうなると国民民主党は冷静な判断(統合拒否)をして欲しいところですね。
筆者:
本当にそう思いますね。無意味な野合は身を亡ぼすだけです。
ということでここまでご覧いただきありがとうございました。
今回は理念が違う政党が選挙のためだけにまとまっても、
政治不信は高まって投票率が下がり、むしろ日本全体にとっては危険ではないか? ということと、
野党は今後建設的な対案を出していった方が国民から評価されるのではないか?
ということをお伝えさせていただきました。
今後もこうした政治・経済、マスコミの問題点について個人的な解説をしていきますので
よろしくお願いします。