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もしかして古典世界!?  ~転生平安姫は、元・東大志望の受験生! ガリ勉パワーで破滅エンドを回避せよ!  作者: 開かない扉
旧版(空蝉事件のあたりの旧版)⇒※23年12月8日~24年3月7日まで連載したもの。新版と展開が異なります
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※【内容刷新工事中】第十五節 空蝉~残された一枚のの衣

R15指定は、一応念のために設定。

(『源氏物語』を取り扱う関係上、恋愛・性愛関係描写が出てきてしまうため)

基本、ドタバタコメディー(時々シリアスあり)です。

※この小説はあくまでフィクションであり、登場する歴史的事件、人物、企業名、大学名などは実在する同名のものとは別存在であるとお考え下さい。


【2023年11月27日連載開始】

**********現在・工事中です**********


※作品内容向上のため、現在(24年3月7日~13日まで)、大鉈振るって改良工事を行っております。空蝉事件編があまりに長期化したため、この部分の縮小・短縮化を図ることで、物語全体として流れ良く読みやすく改良したいという意図です。

(空蝉事件開始のあたりから短縮・改良版に置き換える予定です。付随して宇治・讃岐編も縮小予定)


※その結果、ここまでリアタイで読んで下さった読者様には、ご不便をおかけ致しますことをお詫び申し上げます。ご不便内容の具体例としては、大鉈振るった結果、物語の流れが変わる部分や削られたエピソードが出てくる可能性がございます。また、感想をお寄せ下さった方には非常に申し訳ないことに、一話削るとその話に寄せられた感想部分まで削られてしまう可能性があり、その点も心よりお詫び申し上げます。(感想が削られない方向を模索してみますが、その場合、掲載話と感想部分がズレるなどの現象が起こるかもしれません。)

※工事期間は3月13日までを予定しており、14日より新バージョンでの連載再開を予定しております。


※24年3月7日まで公開されていたバージョンは「旧版」としてどこかに保管する予定ですが、その中で公開されているネタは、新バージョンでの展開にて再利用される場合がございます。


**********現在・工事中です**********




【以下、旧版です】 第十五節 空蝉~残された一枚の衣


 私は、慌ててその庇の間の横の角を越え、次の回廊のあたりにまろび出た。

 そこには予想通り、師匠と、そして十二、三歳くらいの少年の姿があった。

 ――良かった、師匠、まだ服着てる(!)。 もう一人少年がいる以上、そう簡単にはお脱ぎあそばさないとは思いますが、とにかく良かった! あれ? でも、この少年とも何かそれ系のことがあるんだっけ? いやいやいや……今はそこじゃなくて……えーと、とにかく見つけられて良かった~! 

  たぶんそこから先は塗籠という寝室にあたる場所へ至るのであろう、窓のない板戸のようなものが見え、二人は、しきりにその扉板をドンドンと叩いている。

 その音に紛れ私の立てた足音も搔き消えてしまったのか、二人はまだ私の存在には気付いていない様子だ。

 両開きの扉板には、何か女物の薄物の袿のようなものがはさまっているのが見える。

 そんな状態の中、光る君と少年は、扉の向こうへ呼びかけつづけている。

「あなたは本来であれば、このような場所でこんなことをする立場の人間ではない。後宮に上がり、多くの女官を付き従え、何不自由ない生活を送る、それがあなたの本来歩むべき道であったはず。現世うつしよの様々なしがらみにより、本来の道がねじ曲がってしまったというのであれば、その捻じれは直すべきだ。今の我にはその力がある。どうか少しでも頼りにして貰えないだろうか。小君こぎみ共々、結して悪いようにはしない」

「姉上! そのお話、私は今、初めてお聞きしましたが、私も、ここは光るの君様に全てをお任せするのが良いのではと思うのです。……だって、光るの君様はこんなにお綺麗で、お名前の通り光り輝くようで、そして、こういうお立場にある姉上を助けて下さろうとするそのお心映えも素晴らしく……ねえ、姉上様、きっとその方が上手くいきますって……!」

 まさに、口説き落としの真っ最中なのか、そんな熱烈な求愛台詞っぽいものが師匠の口から出ている。お琴レッスンでのお小言の印象ばかり強いので、そんな台詞言えたんだ的驚きがある。

 そして、この男の子が、やはり小君こぎみか。空蝉の君の弟の名が、確か小君だったはずなので、もう完全ビンゴだろう。

 ――じゃあ、この子が、例の青少年育成条例対象の!? 因みに、師匠の顔が綺麗な件と、それでいきなり全幅の信頼を寄せて良いかは別問題だと思うよ、そこ全然ヴァリッドじゃないよ、小君こぎみ少年!

「姉上!」

「どうか、本当に話だけでも。決して、悪いようにはしない」

 光る君たちは、塗り籠めの戸をドンドンと叩き続けている。

 その真剣な様子を、私は、少し離れたところから息を殺して見詰めることしか出来なかった。

 ――いや、正直、今、私が出て行っても何も出来ることがない…んだよね。

 もし、本当に光源氏が女性に対し不当な扱いをする場面に遭遇したら、それを身体を張ってでも止めようという気持ちでやってきたけれど。

 でも、現状、女君は塗籠に籠ってしまっていて、身柄としては安全なように思える。

 ――じゃあ、このままほっとくのが得策? でも、このままじゃ、膠着状態だよねえ?

 そんな状況下、ここで、何故か私の左袖をひょいひょいと引く力を感じた。

 最初は、あて君かと思ったのだが、私は今その手にしっかりと猫を抱いている。

 ――え? じゃあ、何?

 振り帰ると、そこには手にはなにやら大きな壺のようなものを抱いた、袿姿の娘がいた。夏らしい鮮やかな女郎花の襲が目に眩しい。

 ――ん? この子、何か覚えがあるような……?

「あの……、姫様……三条の二の姫様……芙蓉の君様であらせられますよね? こんなところで、どうなさいましたか? 私、三条のお屋敷で北の方様付きの女房を勤めさせて頂いております、野萩です。姫様にも衣替えや薬玉作りの折など、東北の対の女房の手が足りない時に、何度かお目にかかったことがございます。本日は久々に宿下がりをお許し頂けて、都での実家にあたるこの屋敷に逗留している次第なのですが、何かお困りでしょうか? 私でお役に立てば幸いなのですが……」

  声を掛けてきたのは、どうやら我が家に勤める女房の一人だったらしい。どうりで覚えがあるはずだ。ああ、それに、この子、例の兄様による女房の忠誠心テストで「頭の中将様は姫様を軽々しく扱い過ぎです!」って発言して「もしかしたら忠誠心高いかも」とランク付けされていた女房だ。

 ――えっと、この子、ここが実家なの? それに、野萩って名前……。

 もしかして『源氏物語』の軒端の荻の荻って、この野萩から来てる? 確かに紀伊の介の妹にあたる役柄だったよね、軒端の荻って。萩と荻、字が似ていてよく間違われるこの二つの植物。諱を伏すことが通常であるこの世界では、また通称の名前の方もも連想ゲームのように変化していくことが多い(私の芙蓉君とは紋所姫とかはその典型)。野萩という名前が軒端の荻へと変化していったとしても、それは然もありなんという感じだ。

 ――うわ……じゃあ、物語通りなら、ここで空蝉の君に逃げられたら、今度はこの子が危ない訳だけど……・

 ――あ、でも、待っ待って、もしそうならば、この場合……!

 私は、その後、野萩にいくつかの質問をし、更に、一つ用事を言いつけた。


 ***


 私が、()()()に到着した時は、まさに光る君が最終手段に出ていた時であったようだ。

「なぜこの状況に甘んじているのか。其方もその周囲の者も、このままで良いはずがない。先程も言ったが、私にはそれを変える力がある。――失礼する」

 光る君は、ついにそう叫びながら塗籠の板戸を文字通り踏み破った。

 ガンッという、大きな音と共に、板戸が室内側に倒れ込む。

 その勢いで、室内には埃の柱が幾本も立つ。

「……うっ、これは……。どういうことだ?」

 埃が収まり、室内が見渡せるようになると、光る君は怪訝そうに呟き、床に落ちていた一枚の薄衣を拾い上げた。先程、まさに板戸の間に挟まっていたものだろう。

 このあたりで、私は声を掛けた。

「光る君! 見―つけった!」

 わざと、そうやって明るい声を作って。

「二の姫……!? 何故、其方が塗り籠めの中に!? いや、では、あの人は……?」

 光る君は驚いているみたいだけれど、これは冷静になって考えればそんなに難しくない情況なのだ。

 私が、野萩に尋ねたのは、この家の塗り籠めの構造についてだった。普通、塗り籠めは母屋もやという帳台(貴人のベッド)がおいてある寝室エリアに付属する、四方を壁で囲まれた「暗室」のような部屋で、物置として使われていたり、帳台に寝るのが好きじゃない場合はこっちの暗室の側にお布団を敷いて寝る場合もある(私自身、塗り籠めにお布団敷く派)。その塗り籠めの構造は、通常、廊下側と母屋側に扉が一つずつあるものなのだ。そして大抵、廊下側の扉は塗り籠めの中から閂が出来るようになっているけれど、母屋側の扉は母屋側からつまり外側鍵または閂がかかる。そういう一方通行的にしておかないと閉じ込めの危険性や、逆に立て籠もり(今の情況がまさにそれに近いね)の危険性があるので、大抵のお屋敷でそうなっているはずなのだ。私は小さい頃、たぶんまだ宇治時代だったくらいの時分に実際に塗り籠めで遊んでいて閉じ込められそうになったことがあり、そういう時は「内側の閂を外して廊下側から脱出を図るように」と楓先生にきつく叱られながら教え込まれたのだ。

 で、塗り籠めというものがそういう構造なのが普通である中、少年たちはその廊下側の扉のみをドンドンやっていた訳だ。塗り籠めのその二方向ドア方式知らなかったのか、焦っていてそれを忘れていたのか、とにかく光る君たちはなかなか開かない天の岩戸式の扉に業を煮やし、結果「廊下側の扉を蹴破る」という暴挙に出た訳なのだ。

 が、その数瞬間前、私は野萩に命じて、反対側の扉から入れて貰うことに成功していた。母屋側の閂はやはり当然の如くかかっていたので、それは外して貰った。

 流石に私がここで出て来たら、光る君としても空蝉の君だけ抱きかかえて別室へ、って流れにはならないだろう。正妻云々というのは別としても、こういう時、知り合いのお姉さんや知り合いではない別のお姉さん(野萩)が出て来ちゃったら、やりにくいよね、という目論見だ。

 さて、その問題の「空蝉の君」は……、と、私も辺りを見渡す。光る君たちが扉を蹴破る前に入って先に逃がしてあげられれば良かったのだけれど、タイミング的にそれは無理だった。なのでせめて今からでも見つけ出して……。見つけた後どうするかはノープランだ。けどとにかく穏便な方向に持っていきたいとは思っている。そのためには、空蝉さんも野萩(軒端の荻候補)も小君少年も、全員取り敢えず私の目の届くところで一箇所にまとまっていて欲しいのだ。

 ただ、照度による調整が効かない目の状態を「鳥目」というわけで、つまり鳥目の私は薄暗い塗り籠めの中に徐々に目が慣れてくるのには時間がかかったのだが、見えるようになるとそこには結構びっくりする光景が広がっていた。

 女の人は確かにいるにはいるのだが、複数人いるように見えるし、しかも目を凝らして更によく見れば全員が一本の縄でぐるぐる巻きにされて繋がれていて、口には猿ぐつわのようなものを噛まされている……!?

 ――え!? これ、何!?

 そう思い、後ろを振り返ると、そこには、私をここに入れてくれた野萩が手に灯りを持って立っている。野萩も「え!?」という雰囲気で、その縛られた女の人達を見ている。彼女もまた、この状態を予測できていなかったのだろう。

「……どういうことだ?」

 光る君はばっと手を出し、その女性達の縛られた背中の側に誰か隠れていないか等と捜索活動を続けた後、最後に「やはり、いない、か……」と絞り出すような声で言った。

 その後、野萩のいる母屋側の出口に大股で歩み寄りそこから一端外に出て周囲をざっと確認した後「今、ここから女が出て行かなかったか? この衣を着ていた者だ」と残された薄物を指して質問し、野萩が「いいえ」という返答を返すと、今度は自分が蹴破った方の入り口に戻りそこでも周囲確認の動作をした。そして、再度、野萩に対し「そこの閂はかかっていたのだな。外側から」と確認するように尋ね、野萩は「は、はい、それは間違いなく」と真剣な口調で答えた。

 そして、どうやら誰もこの塗り籠めから出て行った様子がないことを確認すると、ここで光る君、小さくでもはっきりと「消えた。人一人完全に。神隠しの如く」と呟き、その後は目をぎゅっと固く閉じて考え込むように黙り込んだ。

 密室情況からの人の消失。……神隠し。

 この状態は確かにそう表現するしかないのかも知れない。

 ――え、私も本当に分からない。何、この情況!? 空蝉って、まさか本当に「忍法・空蝉の術!」って、人一人消えちゃうことなの? いやでも、ちょっと待って、密室って言っても他に誰もいなかったっていう訳じゃあ、ないよねえ、この女の人たちの存在は? ……ん? どういうこと?

次回更新予定:来週中頃~来週末?(少しお時間頂きたく思います。クリスマスの頃にはまた数話まとめてお届け出来ればと思っております)



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― 新着の感想 ―
[良い点] おや、なんと、密室ミステリー開幕!?
[良い点] なんとなく今までは主語は全部主人公っぽかったのに、 ***のあと、いきなり出だしは主語が違う?!ワクワクって感じになってきますね~。
[一言] なんか、転生物からいきなりミステリーに!? この時代の建物の密室って、いくらでも抜け道ありそうだけど、そんなミステリーのお約束違反(館シリーズは置いといて)しないよね!?
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