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もしかして古典世界!?  ~転生平安姫は、元・東大志望の受験生! ガリ勉パワーで破滅エンドを回避せよ!  作者: 開かない扉
旧版(空蝉事件のあたりの旧版)⇒※23年12月8日~24年3月7日まで連載したもの。新版と展開が異なります
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※【内容刷新工事中】第十四節 紀伊の介の館

R15指定は、一応念のために設定。

(『源氏物語』を取り扱う関係上、恋愛・性愛関係描写が出てきてしまうため)

基本、ドタバタコメディー(時々シリアスあり)です。

※この小説はあくまでフィクションであり、登場する歴史的事件、人物、企業名、大学名などは実在する同名のものとは別存在であるとお考え下さい。


【2023年11月27日連載開始】

**********現在・工事中です**********


※作品内容向上のため、現在(24年3月7日~13日まで)、大鉈振るって改良工事を行っております。空蝉事件編があまりに長期化したため、この部分の縮小・短縮化を図ることで、物語全体として流れ良く読みやすく改良したいという意図です。

(空蝉事件開始のあたりから短縮・改良版に置き換える予定です。付随して宇治・讃岐編も縮小予定)


※その結果、ここまでリアタイで読んで下さった読者様には、ご不便をおかけ致しますことをお詫び申し上げます。ご不便内容の具体例としては、大鉈振るった結果、物語の流れが変わる部分や削られたエピソードが出てくる可能性がございます。また、感想をお寄せ下さった方には非常に申し訳ないことに、一話削るとその話に寄せられた感想部分まで削られてしまう可能性があり、その点も心よりお詫び申し上げます。(感想が削られない方向を模索してみますが、その場合、掲載話と感想部分がズレるなどの現象が起こるかもしれません。)

※工事期間は3月13日までを予定しており、14日より新バージョンでの連載再開を予定しております。


※24年3月7日まで公開されていたバージョンは「旧版」としてどこかに保管する予定ですが、その中で公開されているネタは、新バージョンでの展開にて再利用される場合がございます。


**********現在・工事中です**********




【以下、旧版です】 





第十四節 紀伊の介の館


 兄に牛車で紀伊の介の館まで送ってもらう道中。

 なんで、あのくそ真面目な師匠が、そんな人妻に無理矢理関係を迫るようなことを!? というのを突き詰めて考えた末、私はちょっとあまり信じたくはないけれど、もしかしたら……という可能性に気付いてしまった訳だ。 

 ――もしかしたら、光る君があの行動を取るのって、悪友たちに「中流の女はイイぞ」ってそそのかされたのもあるけど、私があんなバカなこと言って怒らせたせいもある!? 確かに凄い嫌なこと言っちゃったよね。「鏡見ろ」とか「お前の鏡曇ってるだろ」とか「良い鏡がないならプレゼントしますが? うち金持ちだし?」とか。そんな風に、もとから打ち解けない嫌な妻状態だったところに、更にケンカしてストレスフルな状態になって、それで青春フラストレーションが爆発してって……うわぁ、考えたくないけど、可能性としてはゼロではない! ど、どうしよう!?

 ――この件、どう捉えるべき? 私の役どころって何なのか、そもそもホントに私がいけないの!? そして、私はどこまで介入するべき!?

 空蝉事件は一連の「中流の女ぞよき」の大量ラブハントのきっかけなので、これさえ起きなければ空蝉事件→夕顔事件→葵の上事件という連鎖を断ち切れるかも知れない(これも確証はないけどれど!)。

 そもそも、雨夜の品定めが起きないように介入出来ていれば中流の女への興味もシャットアウト出来たかもしれない(これもどうやって?という気はするけれど……兄に事前に釘をさしておくとか?)もっと言えば、六条の御息所の件だって防げていれば……という話になるのだが、あの件がなければ私はこれが源氏物語だと完全には確信を持てなかった気がするので、このあたりもう言っても仕方ないことばかりに思える。

 時間的に既に起きてしまっていることは変えられない。ならば、やはり、少しでも可能性がある方に賭けるべきだろう。空蝉事件は阻止できるものなら阻止した方が良いように思える(倫理的にも)。

 懊悩するの私を余所に、長兄の説教はまだ続いていた。

「――という訳で、お前が気前よくじゃんじゃんぶちかましたせいで、ここのところ都に入ってくる農産物の供給量がおかしいのではないかということが朝議の議題にも上がってきている。景気動向としては上向きなので、今のところはそこまで問題にはなってないが、景気が良くなればそれに付随して近隣から流民や果ては盗賊の類までもが流れ込んでくることになり、京の都の治安を取り仕切る検非違使、左右の羽林、果ては霜台までもが――、って、お前、ちゃんと聞いているのか!?」

「……はい、兄様、私は確かにぶちかまし過ぎました……、今、海より深く反省してます。もう、しません……、あんなこと……」

「あ? いや、まあ、確かに反省を促してはいるが、お前主導でうちの荘園とその近隣一帯の生産効率は飛躍的に向上したのは良いことではあるんだ。それを、海より深くとか、お前、そういうところが本当にいきなり過ぎるんだよ。全ては匙加減というか、責任が取れる範囲で動くことが重要だと言ってるんであって」

「……そう、やはり責任は取るべきなのです……。特に、後妻の方はその後も気にして世話をする気だったみたいなのに、もう片方は完全にヤリ捨てですもの。それに確かもう一件、青少年の健全なる生育を疎外する行為も含まれていたような!?」

 実は、空蝉の一件には続きがあって、光源氏は空蝉の君に一枚の衣だけを残して逃げられた直後、側にいた別の女性に存在を気付かれてしまい、マズイと思って、その女性に対し「あなたの噂を聞いて忍んできました」とか適当な嘘をついて誤魔化し、その場限りの恋人としてしまうのだ。この女性「軒端の荻」と後の人々から呼ばれるようになる人で、その後も二三回、お歌のやりとりのみあるものの、光る君が一向に自分を顧みてくれないので、泣く泣く他の中流貴族と結婚するという言う展開だ。

 しかもしかも、光る君は、その後、空蝉の弟にあたる男の子を自分のもとへ引き取って、空蝉を思い忍ぶための代替マスコット扱いというのだろうか、何をしているのかはよく分からない表現になってはいるのだが、自分と一緒の布団の中に呼び入れて「よしよし」と可愛がったりしちゃうそうなのだ。ええ、紫式部先生、そこはまた上品にカットされてるわけなのだが、それこそ、クラスに何人かは必ずいる女子集団の妄想のしどころな訳で……。

 ――うわぁ、師匠、頼みますよ~! それは流石に青少年育成条例に引っ掛かりますって! ……この時代、そんなのないのは分かっているけれど!!!

「こ、これは、明らかに周囲の責任問題でもありますよ? いまだ法律が整備がされていないのであれば、周囲の者がもっと気を配り健全なる環境を用意すべきなのであって! あ、周囲って言えば! そうだ! これ、お父様のバカチンの影響かもしれないですよね! あんな大人を側で見てたら、青少年には多大な影響が! うぬぬ、あのチョビ髭、男女構わず愛人作りまくってからに……!前々から一度ガツンと言おうと思ってたのですよね、『お母様という方がいるのに、お父さま、アンタ、何してんの!』って」

「おい、今度はいったい、何が始まったんだ!? ゴサイ、槍捨て? 確かにお前、五歳の頃に墨子の兵法を暗誦し始めて大問題になったよな。それがどうして親父殿の愛人問題に繋がるんだ……? それとも、またどっかの神様が降りてきたとでも言い張るつもりか!? おい、楓、椿、何があったんだ、この神がかり娘の通訳をしろ、って、いないのかよ……」

「い、いえ、何でもありませんわ、兄様。あ、そう、そうなんですのよ? 本日は生憎、神様からの御指示ではないのですが、ちょっと昼間、夫との会話の折、墨子はやはり素晴らしいなということを再確認いたしまして。節用論の部分なぞ特に。為政者が贅を凝らした生活を送ることより、国家の基幹事業となりうるより実用的な分野への投資が必要である、と。ええ、本当に素晴らしいですわ」

 ――あ、ちょっといつの間にか独り言というか心の声ダダ漏れしすぎたかな? 兄様相手でちょっと気を抜いてましまったけど、うん、ギリギリセーフ……、だよね? しかし、私、墨子も暗唱してたかぁ(何、やってるの! 五歳の私!)。でも、師匠は明らかに節用論の人だから、これも嘘じゃないし。

 墨子の論をたらたらと並べ始めた時点くらいで、兄から「またかよ」と非常に胡乱な視線が向けられ「いいから座れ、牛車の中で立つな、馬鹿」と手を引かれた。どうやら、最後の方、父への怒りで力みすぎて、半分立ち上がりそうになってたらしい。

「おい、お前、またなんか肩で息してないか? ……はあ、こんなんで、他の貴族の家への方違えなんてやらせていいのかぁ? まあ、でも、あいつが付いてるというし……。俺も、この後の夜回りの件がなければ中まで同行するんだが、とんぼ返りに戻らないとならないしな……」

 兄はそんな風によく分からないことをぼやきながら、紀伊の介の屋敷前まで送ってくれると、言葉通りそこで引き返してて行った。 


***


 私が紀伊の介の屋敷に到着すると、中からドタバタという音と共に紀伊の介本人が出てきた。

 ――うん、あのオッサンだ。間違いない。うちの讃岐の田舎屋敷に、よく部下を大勢引き連れてやって来ては、大酒を飲み、大飯を食らっていく、あの人。しかも、手土産に持って来るものも女房達が鼻つまみにするような品ばかりで、かなりケチンボな人らしい。でも、それが光る君相手だと御家来衆にまで、そんなにいいお酒を出すほど大盤振る舞いなのが不思議だ。帝の皇子様には胡麻を擂っておきたいということなのかもしれないが、態度が違い過ぎやしないか。

 ――そして、実は、今の我が身は、その帝の皇子様の妻なんですけどね!

「こ、これは、これは、三条の姫様! 文を頂き驚きました。で、今宵はどのようなご用件で?」

 私は、扇で顔をほぼ全面覆うようにしながら牛車から降りてきた訳だが、ここでパチンと音を立てて扇の一部を閉める動作をし、椿に合図を送る。椿は長台詞を言う前の準備としてふうと息を吸い、その後、一気にまくし立てる。

「水無月とは名ばかりの長雨が明けた頃、ようやく虫の音の聞かれる季節となって参りました。虫は水の声を聞き、音に映すと申します、遣り水の流れを映す虫の声とはいかに響くものでありましょうか。今晩は朔夜さくやにて普段は人の心を惑わす月もなく、そうした心憎い虫の楽に耳を澄ませるにも良い頃合い。御方様におかれましては、今宵はこちらで殿と庭の散策を楽しまれたいというお心づもりにていらっしゃいます」

 当たり前のことだが、左大臣家の姫である私が紀伊の介と直接言葉を交わすことは本来ない。ただ、田舎でのことがあるので、紀伊の介方は少し馴れ馴れしい感じで直接話しかけてきたのだろう。それを扇の音で制し、筆頭女房である椿の少納言に代弁させたのだ。

 しかし、ここで、紀伊の介からは、

「は? と、殿とは、私のことでございますか? つまり、姫様、やっとその気に……!?」

 と、なんとも間抜けな返答が返ってきた。

 私は再度パチンと扇を鳴らす。

「無礼者! 其方と姫様なぞ、身分が違い過ぎると何度申したら分かるのか。鄙びた讃岐の地で姫様をお見かけしたからと何を勘違いしたのか、思い上がった文なぞ送ってきてからに!」

 ――あー、椿が何か凄い怒ってるね。つらつらと思い返してみると、なんか、そういうのがあった気がしてきた。このオッサン、私に恋文っぽいものを贈ってきたことが、あったあった。たぶん、左大臣家の姫で田舎に流されてるなんて、きっと身体に少し問題でもあって、都ではまともに結婚も出来ない身なのだろう、上流の姫と受領の自分とは本来は身分違いだが、そういう何かしら欠陥がある娘なら自分でも手が届くだろう、とか、そういう勢いだったんだと思うのだけれど。(私ここでもまた欠陥品扱いだな……)

「それに其方、存ぜぬのか? 我が姫様は、先ごろ、帝の二の宮様とご婚礼をされた。その方が今宵はこちらに方違えで来訪されているはず。御方様は、そちらへ案内を所望されていらっしゃる。で、その御方様の背の君様であらせられる二の宮様はどちらです? かの君に相応しきもてなしがされているのでありましょうな!?」 

「え? 二の宮様……、と申されますと、今いらしてる、()()光るの君様が、三条の姫様の……!」

「如何にも。だから、はよ、案内せいと……、あ、姫様! 待って下さいませ! そんな! ここまで私に言わせておいて、お一人、先に行かれては!」

 女房たちと紀伊の介の長々しい「貴族の体面を保ための儀式」的なやり取りは、この際置いておいて、先を急ぎたかった。無論、体面を保つのもある程は度重要だと思うからこそ扇の合図は決めてあるわけなのだけれど、今回ばかりはそれは最小限にしておきたい。


 ***


 貴族の屋敷の造り、それも中流貴族の物なぞはだいたい似たようなものなので、あたりをつけながら、ずかずかと踏み込んで行く。先程見た映像の記憶もある。あの場所を目的地とすれば、ほどなく辿りつけるはずだ。

 庭の中でも子供たちが蹴鞠を出来るほどの開けた場所、その前に造られた庇の間。その近辺が我が夫に提供された「お客様エリア」だろう。

 問題の庭に面した庇の間付近に到着すると、ニャーンと言う可愛らしい鳴き声と共に艶やかな毛並みを持つ黒猫が擦り寄って来た。この時代、猫は結構貴重な生き物で、その中でも毛艶の良い唐猫はかなり珍重される。受領クラスの家においそれといるものではないものなのだが、そんな中、何故貴重な黒の唐猫がいるのかといるのかというと……。

「アテネ、お前、一人なの? もうダメじゃない! 師匠を見張ってないと!」

 私は、黒猫を急ぎ抱き上げると、小声でそうクレームをつけた。

 猫は、分かっているのか分かってないのか(後者だろうなあ……)、ゴロゴロにゃーんと喉を鳴らしながら顔を擦りつけて来る。

 そう、私の「秘密兵器」こと、光る君様御一行が方違えに出立する直前、既に牛車に乗り込んでいた師匠に私が無理やり押し付けたもの、それはこの黒猫だった。

 当然、当初、師匠からは、

「何故、この忙しい時に、猫を連れて行かねばならぬのだ」

 と反発されたけど、そこは、

「猫と一緒にお庭散策! きっと楽しいはずですわ。ね、あて君も行きたいよね? んー、そうだよね、行きたいよねー? ……という訳で、私は用意に少し手間どるでしょうから、先に行ってそのナントカの介の屋敷の庭で、猫と遊ぶのに相応しい場所を探しておいて下さいませ。ささ、では、行ってらっしゃいませ~!」

 と、無理やり押し切ったのだ。

 ――ここまでして猫を同行させた、その心は! 

 人間、ペットと一緒だと、なかなか悪いことはしにくい。何か見られている気がするというだけでも抑止力になるという。向こうの世界でも、犬の散歩をしている女性はナンパされにくいという話をクラスの誰かが言っていた気がする。どんな小さいお座敷犬でもキャンキャン啼いて番犬の真似事くらいはするかも知れない、そう思わせることがナンパ野郎への抑止力になるのだ。猫は、まあ、犬ほどは役に立たないだろうことは分かってはいたが、それでも少しは行動の重しになるだろうと、そう思い急遽押し付けたのだ。それがあの場で私がとっさにできる精一杯だった

 少なくとも、師匠はあて君のことは可愛がってはいるようなので、連れて行く以上は粗雑には扱わないだろうと思っていた。

 実際、先程、角盥に張った水を使って遠見した折も、その腕にはしっかりとこの黒猫は抱かれていたのだ。

 ただ、それが今は、その腕から降ろされて、こうして猫が独り歩き状態になってしまっている。それは大問題なのだが。

 でも、猫の首輪と引き紐には、まだほんのりと、人肌を感じる程度に熱が残っている。

 そして、その残り香は白檀の香り。

 ということは、本当にほんの少し前まで、あて君はあの人のもとに居たはずだ。

 私は辺りを見渡す。そろそろ夕暮れも近く、夜目が利かない私には少々辛い時刻になってきている。

 そして同時に耳を澄ます。

 すると、その庇の間の角を曲がったあたりから、低く囁くような声が聞こえてきた。

「……――あなたは、そうしてまた固い殻へと閉じこもってしまわれるのか」

「姉上、流石にそれは酷いですよ。光るの君様が、せっかく、ここまで仰って下さっているのに」

 声の主は少年師匠と、あともう一人? 師匠より更に年少の男の子のようだ。

 側にいるその男の子は、あの頃の少年師匠を思い出させるボーイソプラノの持ち主で、「姉上」という発言から、そこにはもう一人、女性がいるらしいことが伺えるが……。

 ――ま、まさか! そこにいるのが、「空蝉の君」? そして、今、まさにことに及ぼうとしている場面だったりするの!?


次回更新予定:明後日朝8時頃 

(基本、毎日更新ですが、2話一気に更新した日は1日置いてからになります)



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― 新着の感想 ―
[良い点] いざ、乗り込め~!で、次回のぶちかましに期待膨らむ!
[一言] 黒猫キターー(2回目) 秘密兵器にしては、役立たない感が半端ない。 まあ、猫はそこが良いのだが。 それにしてもR15的には一話(半話?)前とレベル変わらなくない?
[良い点] おお!現着、ギリギリ間に合いましたね! そしてアテネちゃんも大活躍。果たして阻止できるのか、はたまた壮絶な修羅場に突入して、光る君のストレス値をMAXにはね上げるのか?! 次回が楽しみです…
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