1禁忌
のりのりで3話書き始めてます!!2話もぜひ楽しんでください!!
街に帰ると俺はいつも一人だ…。兄貴は村一番の騎士でみんなに必要とされてるから、あちこちを行き来してて何年も会えない日々もあった…。でも、別に嫌じゃなかった。兄貴は帰りが遅くなった分だけ俺にすっごい冒険の話を持って帰ってきてくれるから。俺はいつだってわくわくしながら兄貴の帰りを待っていられた。兄貴と村に帰ってきてそう時間は過ぎてないけれど、兄貴はもう村の人たちとなにやら話し始めている。
「わっりい、ベル。先、家に帰っといてくれ」
兄貴は強い上にお人よしだったから頼まれたら断れないことも知ってる。また、みんなのために人助けをしに行くのだろう。
「うん!!わかった先帰ってる!!」
俺は兄貴に踵を返す。家の方へ向けて足を踏みだした。と、次の瞬間、
「ぎゃあああああああああああああ」
「うわあああああああああああ」
「剣を抜けええええ!!」
「敵襲~~~~」
あちこちからみんなの叫び声が飛び交い始める。uuuuuu~~~~とサイレンが鳴り響く。敵襲。兄貴に伝えなきゃそう俺はとっさに反応して踵を返したはずの兄貴の方に向き直り
「敵襲だ、あにっ」が、そこで言葉を止める。
伝える必要がなかったから。もう兄貴は刀を抜き、敵の腕を斬り飛ばしている。
「ベル。逃げろ!!邪魔だ!!」
俺はそこで始めて気づく。自分の愚かさに。兄貴を信用できなかった自分のふがいなさに。俺が兄貴に危険を知らせる必要なんてなかった。俺が真っ先にしなければいけなっかたことは逃げること。兄貴の足を引っ張らないこと。自分の弱さに悔みながら俺はその場を離れる。振り返ってはいけない。全力でにげることだけを考えて。
「こっから先にはいかせらんなくなっちまった。」
「ふ~ん。なるほど。ごついっすね~。僕ら吸血鬼は人間が数百人いても一瞬で滅せるんすけど。あれで腕を斬り飛ばしてくるんすか?人間のなかにもそこそこの実力者が数人いるのは聞いてたんすけどね~。それでもなんというか、、、想像よりっごっつ弱くね?!」
敵が跳躍する。目で追う。目で追う。追う。見逃す。
「ここっすよ。人間」
それは俺の背後に回り込み、斬り飛ばしたはずの腕をいつの間にか拾い上げ不思議そうに眺めながら何やらぶつぶつと話している。異常だ。人間の構造であれば腕は戦闘において重要な働きをする。俺はその腕を斬り飛ばしたのだがこいつからは焦りどころか痛がる素振りさえない。
「なるほど。本当に吸血鬼らしい」
俺は生かされている。この化け物に。吸血鬼とはこの世に存在する26の禁忌の一つとして世間に認知されている。普段の生活や戦闘、生物であれば皆マナを持ち、そのマナを消費して魔法とする。その魔法の中でも、使用者1人のマナでは使いこなせない魔法は禁忌とされ犯してはならぬ絶対の領域として世間に認知されているのだ。本来、人間1人では払いきれないマナを必要とする魔法を使用する際は足りないマナは魔法の使用に同意した他者から少しずつマナを分けてもらい発動するこれは制御下における魔法なので禁忌には当たらないが、例外もあり、圧倒的な素質と強大なマナを持つものに限り強力な魔法を使用する際は魔法の使用を同意したものに限らず無差別に周囲の人間からマナを吸い集めるという強引な方法をとることもできるこれが禁忌だ。まあこれができたものは歴史上に数えられる程度しかいないのだが…。そんな歴史上の伝説が世界に産み落とした悪。無差別にマナを吸い取られ抜け殻となった負の魂の集合体。それが吸血鬼。世界に11体しかいない禁忌のうちの一体がこんな村に何の用があるのだろうか。
「何が目的だ?吸血鬼」
俺はストレートに聞いた。小細工や、悪知恵はあてにならない。今、目の前にいるのは”死”そのものであるから。何をやっても通用しないだろう。禁忌とはそれだけ人間には手に負えないものばかりなのだ。
「あらら、逃げてもいいんすよ?」
と禁忌が馬鹿にしたような顔で聞いてくる。
「君ほど強ければ、逃げることもできたはずなんすけどねえ~」
嘘だ。それは絶対にない。こいつが本気を出せば逃げるどころか死を感じることもなく俺は消滅させられるだろう。それを俺が理解していることを知ったうえであの化け物は俺に逃げるように提案をしてくる。まるで可能性がある。と。希望はまだあるといわんばかりに。ならば答えはこうだ。
「どうせ、お前からは逃げきれない」
「ちっ。つまんないっすねえ。ここから本気出して、頭を使って、小細工を用意して、僕に立ち向かってくるお馬鹿ちゃんをつぶすのが楽しみなんすけど?。でもね、本当に君は禁忌に匹敵するほどの力があるように僕には見えるんすけどねぇ
「......。」
「ん、決めた。君はつまらないという理由で僕を退屈させたっすから僕の遊び相手にさせてもらうっすよ~」
いかがだったでしょうか!第3話は絶対にここから始めたいっていうこだわりがあって、気になるところで終わらせちゃいました。そのおかげでノリノリで3話進められてるので次回作もお楽しみにっ!!!