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4.スカウト?

登場人物


メポリー姫 魔法立国グリンダムヴァルドの正統後継者。赤い髪で気性が荒い


ギルー25世 魔法立国グリンダムヴァルド国王。メポリー姫の父


ミラ   魔導師。ギルー25世からメポリー姫のおそば付き兼監視役に任命される。青い髪でボブカット


早河義之 陰キャ高校生。魔法立国グリンダムヴァルドの救世主と期待?されている。

「アイツが有史以来の希代の冒険者?」


 真っ赤な髪を搔きむしりながら女の子が呟いた。

 彼女の視線の先──風采のあがらない若い男があたりをキョロキョロしながら歩いてくる。ボサボサの不格好なヘアスタイル、前髪が汗で額に張りついていた。

 女の子の眉間にはクッキリと深いしわがきざまれていた。


「せ、正確にはこ、候補です。将来、最強の冒険者になれるだろうなーなれたらいいなーっていう」


 スカイブルーのボブカットの女の子が質問に答えた。二人はいま、『市川大門司商店街』と大書されたアーケード大看板に腰掛け、真下を見下ろしていた。大勢の客が行き交うも誰も二人には気づかない。ある『属性』を身につけた者にしか、この世界では二人を見ることは不可能なのだ。


「そのデータ間違ってるんじゃない?」


「うーん・・間違いないと思います、です・・姫さま」


 魔法立国グリィンダムヴァルドの正統後継者──姫さまと呼ばれた赤毛の女の子の正体だ。皇子皇女は他にも沢山いるが、このメポリー姫の血筋の良さは他の追随を許さない。しかし肝心のメポリー姫、良くいえばお転婆、悪くいえば落ち着きがない。思春期のヤンチャ坊主みたいにカッカする激情の持ち主なのだ。

 国王のギルー25世──メポリーの父親だが──娘のそんな性格を気に病んでおそば付き兼監視役にある少女を任命した。それがスカイブルーの髪の娘、ミラだった。


「そもそも、その潜在魔力測定カウンターって正確なの?」


 メポリー姫は明らかにイライラしていた。


「い、いや。た、多分。大丈夫です、ます・・ハイ・・ただ──」


 しどろもどろに答えるミラ。彼女は今、タブレットのような手鏡を覗きこんでいた。


「ただ?」


 案の定メポリー姫の目がもう吊りあがってる。──美しいお顔がもったいない──ミラはいつもそう思う。


「・・な、なんせここは下人どもの群れ住む下界」

「ンなこたぁ知ってますよ」


 姫はぞんざいに答える。


「我らの住む清廉な天界とは違います。汚された自然環境、不安定な磁界、住人どもの卑賎下賤な邪気、その他もろもろの積み重ねがバグ的要素になり・・測定カウンターが正常に作動しないということも・・」

「フンっ」


 メポリー姫の鼻息が荒い。


「下僕の弁解なんぞ聞きとうありません」


 姫はいきなりミラの手元から手鏡?を奪い取った。


「あぁ・・」


 ミラのため息が小さい。メポリー姫はミラのことなんかお構いなしにカウンターの画面をスクロールしていく。


「現行魔力指数58・・」


 つまり、このまま邪鬼モンスターとの実戦に投入されても相手が低レベルの量産型なら勝率6割をおさめることが可能な数字だ。


「潜在魔力指数が93?!」


 潜在魔力指数90超え──努力次第では国立魔法学院の特待生クラス、首席も狙える逸材ということを意味する。ちなみにメポリー姫、特待生クラスには入れたが二年留年した。魔法能力が劣っていたというより素行の問題だった。ミラは逆で、入るのに二年ほど浪人したがストレートで卒業した。


「うーん・・」


 メポリー姫は腕組みして考え込んでしまった──実にさえない若造の顔写真づきデータがタブレットに表示されていた。メポリー姫は顔をあげ正面を向いた。


「このデータ間違ってない・・のよね?」


 自分に言い聞かせるように姫は呟いた。

 早河義之──東方隷国を打ち砕きグリンダムヴァルドを救う希代の冒険者──彼こそが王国の検索システムがはじき出した至高の男・・?

 それが今、メポリー姫の目の前をマヌケ面晒してフラフラ歩いる。


「うーん・・マジなの?」


 メポリー姫の眉間のしわがさらに深くなった。

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