16.醜態
登場人物
ミラ 魔導師。ギルー25世からメポリー姫のおそば付き兼監視役に任命される。青い髪でボブカット
マハ 東方隷国の邪鬼モンスター。低級邪鬼との蔑称で呼ばれる。タコのような腕を6本もち、鉄仮面の風貌。目が飛び出ている。いわゆる雑魚扱いだがシーザノゥム村の戦いでは改良型が投入されている。
ガジャン元帥 東方隷国の邪鬼モンスター。階級は元帥。邪鬼モンスターと人間のハーフ。
早河義之 陰キャ高校生。魔法立国グリンダムヴァルドの救世主と期待?されている。
(ひえぇぇ!!なんなんっスかこの修羅場・・)
ミラの背後にしゃがみ込んで早河はひたすら地面を見つめていた。
当然といえば当然の反応だった。この間までただの陰キャだった早河。魔物たちとの超常現象的な戦いにいきなり対処できるワケない。
(お姫さまたちはなんの説明もしてくれないし・・)
こういう異世界転生ばなしだと、主人公は秘めた能力の伝承者だったり、魔法が自然と仕えたり、必勝のアイテムをいきなり探り当てたりが定番のハズだ。
(ストーリー序盤からチート発揮して無双する展開はドコいった?)
もうこうなったら現実逃避──早河はそう決めこんだ。
現代の甘っちょろい学校生活でも色んなことから逃げっぱなしなのに、こんなハードな世界を切り抜けられるなんて思えない。
(もう、ラクに死にたい)
それだけが今の願いだった。
(とにかく・・痛いのだけはゴメンだ)
〈ギュゥイー・・ギュゥイー・・〉
ミラにぶった斬られたモンスター達の断末魔が絶えず聞こえてくる。
(やってられん)
早河は耳を塞いだ。ついでに目もつむってしまった。
〈ギュゥイー・・ギュゥイー・・〉
耳を塞いでるのに聞こえてくる。
(ダメだ・・)
目を閉じた暗闇の世界、聴覚だけの世界でむしろその悲愴な叫びがより増幅されるようだ。
恐る恐る早河は目を開けた。
ミラの華奢な背中が見えた。彼女は一心不乱に剣を振りまわしていた。軽やかなステップで前後左右に動きモンスター達の触手を断つ。が、モンスターは大軍だ。斬り損ねたモンスターの触手はしなる鞭のごとくミラを打ちつける。彼女は膝をついた。
「は、早河っ!」
膝をついた姿勢のまま、ミラが怒鳴った。
「は、はいっ!」
ピカピカの一年生みたいな、実に素直なお返事だ。
「う、後ろへ・・退くんだ」
「あ・・はい」
退がろうとして振り向いた。
遅かった。モンスター達がキレイな横隊を敷き、退路を塞いでいた。不気味に蠢く触手が嫌でも目に入ってくる。その触手に炎がまとわりつき盛んに燃えていた。熱いのはその燃えさかる炎のせいだった。
「どうやら・・て、手遅れの・・ようで」
早河は呆然と立ち続けるしかない。
「あらら・・」
ミラもモンスター達の群れをジッと見つめている。彼女の端正な顔が煤けていた。
「ふっ」
ミラが笑う。冷めた笑いだった。
「後ろのコイツらはなんとかなりそうだけど──」
ミラが呟いた。自分を慰めるような、元気のない口調だった。
「──前のアイツは・・ワタシのスキルじゃどうもならんかもね」
「前って・・?」
振りかえった。
正面に群れていたモンスター達がモーゼの十戒のように左右に割れていく。そこを長身の人物が悠々と歩いてくるのが見えた。
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