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10.人生を賭ける?

登場人物


ドワーフ風の小男たち 身長約1m。全員、髪を長く伸ばし弁髪にしている。ミラと確執あり?


メポリー姫 魔法立国グリンダムヴァルドの正統後継者。赤い髪で気性が荒い


ミラ   魔導師。ギルー25世からメポリー姫のおそば付き兼監視役に任命される。青い髪でボブカット


早河義之 陰キャ高校生。魔法立国グリンダムヴァルドの救世主と期待?されている。

〈ドンドンドンドン!〉

「ひ、姫さまっ!」


 ドアを激しく音、続いて切羽詰まった男の声──。


「フン。下郎どもが」


 メポリー姫は動じない。


「狼狽えるなっ!」


 叫びかえし、抱えていた鍋を小屋の奥に放った。

〈ガシャシャシャーンッ〉

 物騒な音が響いた。

(乱暴なお姫様だこと)


「か、かなりの規模の敵襲ですっ!」


 別の男の声がそう報告してきた。


「かなりの規模ってどれくらい?」


 答えたのはメポリー姫ではなくミラだった。


「・・・」

(あれれ?黙っちまったよ)


「ミラなのか・・?」


 探るような声色だった。


「お前がなんで姫さまのお傍に?」


 微妙な雰囲気だった。

(外の男たちとミラ、因縁でもあるんか?)


「お前らっ!」


 メポリー姫が扉に歩み寄って行きサッと引き戸を開けた。

(あら可愛い)

 身長約1メートルほどの男たちが10人ほど押しくらまんじゅうでもするがごとく立っていた。

(ドワーフ?アラサーくらい?)

 皆ずいぶん若く見えた。くすんだ茶色のヒゲを伸ばし、ヘアスタイルはなぜか弁髪風にしていた。長髪で毛の先が地面につきそうだ。


「ひ、姫さま!」


 先頭の男は泣きそうな顔でメポリー姫を見上げていた。


「情けない顔するんじゃない」


 メポリー姫は小男たちをかき分け外に出た。続いてミラ。最後は早河だ。恐る恐る小屋から足を踏み出す。

 見渡すかぎりの平原がそこにはあった。


「ま、眩しい」


 お日様の日差しがキツイ。周辺には高い建物も木もなにもない。


「このヒョロヒョロの青二才は?」


 小男たちの一人が呟く。

 さすがの早河もムッとした。(失礼な言い方するね、このチビ助)


「ンなことより──」


 メポリー姫は小男たちをチラッと一瞥した。


「何個師団の邪鬼モンスターが来てる?」

「に、2個師団です・・」

「たったの2個師団?」


 メポリー姫の眉がグッと上がった。


「い、いや・・」


 小男たちは一斉に慌てだした。


「ら、来襲したのは・・以前のような低レベルの邪鬼モンスターではなさそうで・・」

「具体的に誰?」

「も、ま、マハです・・」

「アンタら!」

「お、お許しを」


 メポリー姫の叱責に小男たちは委縮するばかりだ。


「マハなんて量産型の使い捨てじゃないの!」

「いえ・・」


 集団のいちばん後ろに控えていた小男がおずおず口を開いた。


「明らかに改良された形跡があって。とても私どものスキルや魔法トリックで太刀打ちできるものではなく・・」

「フンっ」


 メポリー姫は鼻を鳴らし、黙って空を見上げた。

 雲ひとつない憎らしいほどの快晴で、お日様はギラギラと輝っている。ふいにメポリー姫が振り返った。


「早河義之──」

「ふぇ?」


 早河の間の抜けた返事。


「下界に戻るか?」


 姫の眼が細くなっていた。

(なんだなんだ?勝手に連れてきて今度は戻れだぁ?)


「ひ、姫さまっ!」


 ミラが慌てだした。


「そ、それはいけません。せっかく連れてきたのに・・確かにこの者、現状ではポンコ──」

「どうせ陰キャな学園生活なんだろ?」


〈ポンコツ〉と早河を罵るミラの言葉に覆いかぶさるようにメポリー姫は早河に問いかけた。


「う・・ま、それは・・」


 図星だった。

 朝起きフラフラ学校に行ってトボトボ帰宅する。勉強もスポーツもからっきし、ギターも弾けない。(ただ焔サンの姿を追っているだけだ・・)ストーカー一歩手前、陰キャ道ばく進中。どうやら最近では両親にも見放されったっぽい──。

「アンタの惚れてるあの焔って娘──」

「あ、アンタ、惚れてるとかねそのね、そ、そんな断定的にアンタ・・周りの人が聞いたら・・た、好意を持ってるのは確かです・・ハイ・・」

「あの娘を助けることに人生懸けてみる・・しみったれた青春に見切りをつける──残りのライフ、そんなんどうよ?」


 メポリー姫の眼がいちだんと細くなった。

(人の気もち見透かすようなこと言いやがる・・)

 なんか癪に障った。というかこの連中、他人の心がある程度は読める。

(それじゃぁ何ごとも隠しようないじゃないか・・)

 明確にYES、そう思ったワケじゃない。

 が、YESの気分8割ってところだ。


「なるほど。答えはYESね」


 メポリー姫が俺をチラッと見た。


「ンじゃ出発!」


 ミラがやけに明るい声で言った。

 次の瞬間、周囲の景色が急に回転し始めた。



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