プロローグ~創世記、そして混沌へ
登場人物&用語
ギルー大帝:天界を統べる者。彼の施政によりこの世(天界)の平和が保たれていた。
魔法立国グリンダムヴァルド:ギルー大帝を筆頭に何百という魔導師が魔法を駆使しながら人民を統治する。善政の府。
東方隷国:ギルーの善政に反乱を起こした元天使の魔導師たちが作った悪徳の府。多くの邪鬼を抱え、魔法立国との戦争を闘う
心ある者たちよ、聞け
この世の災い、すべては東より来る。
我れが子たちは、常に東の邪宗に備えよ。
その悪徳に対し、この身は未来永劫、魔法立国グリンダムヴァルドを守護するだろう
グリンダムヴァルド大帝
ギルー始祖皇
原始創生の頃、人々は健やかにつつましく、そして朗らかに暮らしていた。
日が昇るとともに農地を耕し、家畜を慈しみ、夜がくると寝床に臥す、自然の恵みに感謝しながら──。そんな実直な暮らしが何十年何百年何千年も続いた。
それは庶民のたゆまぬ努力がもたらしたものともいえるが、全知全能、天界の創生者、ギルー大帝の治世に拠るところが大きい。自然の掟に生きる民を常に慈愛をもって接し、戒律の違反者は厳しく罰した。
その大帝がある日、急逝した。
天界はおおいに混乱した。後継者を決めておかなかったから、然るべくして起きた混乱ともいえよう。
結果、天界には分断が生じた。
大帝存命の頃から、邪心を隠しながら仕えていた者たちは、少なからず存在した。大帝の際限ない魔力を怖れ、大人しく従っていた彼らはその死とともに公然と反旗を翻した。
彼らは天界を去った。
天に仕える者──その聖なる法衣を傲然と脱ぎ捨て、悪徳に奉仕する堕天使の道を選んだ。彼らは天界の東の彼方に悪の帝国、東方隷国を興した。
魔術で国を統べる──それが魔法立国グリンダムヴァルドの代々の統治のしかたであった。魔導師の家系でもあるギルー家、その二代目ギルー2世はこのときまだ五歳であった。
天界に残された良識ある者たち──彼らはその幼帝を担ぎ東方隷国に対抗した。天界を真っ二つに割ったこの戦いはその後も何千年と続き、人心はおおいに荒廃した。
──そしてこの数十年、戦いは東方隷国の側が優勢にすすめていた。
そんなとき、天界に驚くべき報せが届く。この無益な戦いを終わらせることが出来るかもしれない伝説の書、『復活の詔』がどこぞに存在するかもしれないということを──。
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