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教訓、三十七。かわいい子には旅をさせよ。 1

 暇を持て余していたグイニスは、フォーリとシークがいないことに気がつき、こっそり屋敷から抜け出した。そして、冒険気分で村に下りていくことにした。すると、村人がいて……。


 ファンタジー時代劇です。一般的な転生物語ではありません。洋の東西を問わず、時代劇や活劇がお好きな方、また、ラブ史劇がお好きな方、どうぞお越しください。

 意外に頭脳戦もありますかな……。そこまで難しくないので、お気軽にお読み下さい。意外にコメディーかも……?


 転生はしませんが、タイムスリップや次元の移動はあります。(ほぼ出てこないので、忘れて読んで頂いてけっこうです。)

 グイニスは退屈していた。今日は、屋敷で働いてもらう村娘達の面接の日だ。どんな人達が来るのか、グイニスは楽しみにしていたが、会うなというフォーリの意向で会えなくなった。

 一人で部屋にいるしかなかったが、護衛のベイル達十人は側にいる。

 シーク達は街の森の調査や、裏に肥だめを作る場所をどこにするかなどを調べるため、ベリー医師や村長、村娘の管理をするジリナの夫のオルと、ベブフフ家の役人と一緒になって、測量などに行っていた。

 そして、フォーリは村娘達の面接。

 グイニスは窓の外を眺めながら気がついた。ここは一階の図書室。一階だ。シーク達の姿も見えない。書架があって、すぐにはどこにいるかは判別しにくい。窓はある。開口部も大きい。グイニス一人くらい、楽に出入りできそうだ。

 お目付役の人数が少ないのだ。フォーリには勝手に出かけないように、口を酸っぱくして注意されているが、シークに…彼が病気の間は、シークの叔父のエンスや長兄のアレスに武術を習ったのもあって、自信が付いていた。少しくらい、大丈夫だろう。

 きょろきょろしたら、ベイルと数人は図書室の本を抜いて読んでいた。真面目な部隊で勉強家が多い。

 グイニスはそっと椅子から立ち上がると、人目に付きにくい窓に近寄った。(ほこり)っぽいので、あちこち開けてある。まだ、ここら辺はそんなに寒くない。とても心地いい季候だ。

 そこで、グイニスは窓の下に椅子を運び、その上に乗って窓枠に手をかけ、みんなが見ていない隙に、窓の外に出た。本を読んでいるとはいえ、油断は禁物だ。しょっちゅう、目はグイニスの方を確認している。じきに気づかれるだろう。

 草がぼうぼう生えた中に着地したグイニスは、大急ぎで走った。記憶を頼りに裏庭から回って通路を走り、表の方に出た。どうやら敷地から出て、村に続く道にでたらしい。

 まだ、村娘達の面接は終わっていないらしく、帰る人もいないようだ。この時、グイニスは表に出たと思っていたが、実は脇にある出入り口の一つから出たのだった。

 とにかく、ちょっとした冒険だ。一人で出歩いているのだ。今までは領主兵とかいたし、そんな気分になれなかったが、馬車の外から窓を(のぞ)いていたら、純朴そうな村人達が興味津々で村の通りに立って馬車を眺めていた。

 シェリアの領地にいた頃より、安全そうな気がしたのだ。ちょっとくらい、フォーリがいなくたって、きっと大丈夫だ。

 ドキドキしながら道を下っていく。途中で分かれ道に来た。

「!」

 グイニスは思い付いた。前に本で読んだことがあった。周りを見回して棒きれを拾うと、分かれ道の真ん中に立て、手を放した。右側に倒れたので、右側に向かって進む。すると、さらに大きな道に出た。

 大きいと言っても、村の中では大きいのであって、シェリアの領地にある道路だったら、大変狭い道路だろう。

 後ろを振り返ったが、まだ追っ手は来なかった。ベイル達は気がついただろうか。もし、シークがいたらできなかったが、上手い具合にいなかった。後でベイル達がシークやフォーリに叱られるのは可哀想だが、ずっと閉じ込められているのも嫌だったのだ。

 思い切って大きい道路に出ると、今度は左側を行ってみた。すると、少し村の中心の方に行くようで、さらに下っていって小川の近くに続くようだ。スキップを踏みながら歩いて行くと、前方に子馬に袋を積んで運ばせている女性が見えた。初めて村人と話をするのだ。

 そう考えるとグイニスは少し、ドキドキしてきた。ちゃんと話せるだろうか。

 ところが、グイニスが話しかける前に、女性が子馬の(くら)を確認しようとしている。よく見ると、鞍がぐらついているようだ。しかも、女性はかなり若い。まだ、少女のようだ。てっきり、村中の若い娘達が屋敷で働くための面接に来ていると思っていたので、面接に来なかった少女を珍しく思った。

 しかし、仕事をしている所をみると、面接よりもこっちの仕事の方が良かったのだろうか。それとも、意地悪されて行けなくなったのだろうか。働いたら給金を貰えるので、村中で大騒ぎになっていると、村人と接する親衛隊の面々がシークやベイルに報告していたし、ベリー医師もそう言っていた。

 彼女も本当は行きたかったのかもしれない。だって、横顔が悲しそう。

 思い切って、声をかけてみようとした時だった。鞍がぐらつき確認しようとしている少女の上に、荷物が鞍ごと落ちかかったのだ。

「!」

 少女が危ない。グイニスは咄嗟(とっさ)に走って、少女を助けた。後ろに引っ張った。尻餅はついたが、下敷きになるよりましだ。

 少女は呆然としている。グイニスはにっこりした。良かった、怪我もなく大丈夫そうだ。

「ねえ、君、大丈夫?」

 少女は目を丸くしてグイニスを見つめていた。


(これ以降は『命を狙われてばかりの王子と田舎の村娘の危険な恋 ~けっこう命がけの恋の行方~』に詳しく書いてあります。)

 星河語ほしかわ かたり

 最後まで読んで頂きましてありがとうございます。

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