ギフテッド
「この子、俺と同じかもしれないな」
俺を見つめてそう呟いたのは伯父である父の兄。これまで母の親戚は沢山見てきたが、父の血縁者にあったのはこれが初めてであった。
そして、俺と目が合って一言目がこれだったのだが。
「同じって、ギフテッドってこと?」
母が俺を抱えたままそう尋ねると、神妙な顔で伯父が頷いた。ギフテッドってなんだ。その疑問に答えるように俺に向き合った伯父は、同年代と噛み合わない体質だよ、とだけ答えた。
前世の記憶からもそのことに関しては心当たりしかないが、この伯父もそうなのだろうか。ともかく、現世でも特に変わることがないことを察した俺は伯父から視線を逸らした。
「…知春は今4ヶ月だったか?」
「うん」
母が伯父の言葉に頷くと、伯父は少し考えて直感だからまだ確信はないということと、周りには言わない方がいいと告げた。
「えっと…ギフテッドだとして、俺たちはどうすれば…?」
父が若干不安そうに声を上げる。それに対して伯父は柔らかく微笑む。
「大事に育ててやればいい。それで困ったら頼ってこい。遠慮はするなよ。」
その後伯父は1時間も滞在せずに直ぐに帰っていった。
たったそれだけの時間であったが、彼がいわゆる普通から逸脱していることを理解するには十分すぎる時間だった。
しかし自分と彼は違っている。
両親は伯父のことを尊敬していたが、特に恐れるということはなく気さくに話していた。母の親戚と話している時よりもずっと距離は近く思えるくらいに。
俺は、彼のように誰かに好かれるということなど1度もなかったのに。
伯父(父の兄)
名前は怜一。
重度のブラコン。というか弟夫婦が愛おしくて仕方がない。